第5回 住宅デザインの極意その1『楽をする』

2019/09/1107:30290人が見ました

はじめに

こんにちは。いよいよ今回から住宅デザインの極意を3回に分けてお話させていただきます。第1回のオリエンテーションで既にお伝えしていますが、ここで改めてタイトルをご紹介します。
極意その1 『楽をする』
極意その2 『きまりを守る』
極意その3 『勝手にやる』
少し大袈裟かもしれませんが、この極意はあなたにとって一生使えるものになるのではと思っていますので是非ご期待ください!
 

ひとつめの極意

さて、早速今回は極意その1の『楽をする』のお話です。親や学校の先生から「楽をすることばかり考えてはいけません」と言われた人も多いかもしれません。でも「楽をすること」こそが住宅デザインの極意なんです。楽をすることをとことん追求することが、良いデザインを生むために必要なのです。その理由を合掌造りの家を例にお話していきましょう。
 

合掌造りはなぜ三角屋根なのか

岐阜県の合掌造りの民家は皆さんご存知と思います。1995年に世界文化遺産に指定されました。あの建物群を見て、多くの人がその屋根形状の美しいデザインに感動しています。どうしてあのような三角屋根の形状をしていると思いますか?多くの人は「豪雪地域だから」と答えるのでしょう。でも私はそうではないと考えています。家を建てた当時の人々が「楽をすることを追求したから」というのがあの美しいデザインを生んだ理由だと思うのです。
 

楽を追求した結果

この地域では、江戸時代に養蚕が生きていくための大切な産業になりました。はじめは小さなスペースから養蚕をスタートさせたことでしょう。次第により豊かな暮らしを求めて広いスペースが欲しくなるのは容易に想像できます。より広いスペースを確保するという目的のために、最も楽な方法を追求するのは当然でしょう。その方法を考えるときに、土地の気候風土、手に入る建築資材、養蚕をするという使い勝手、建物のつくりやすさなどが判断材料になります。そして最終的に屋根裏を利用するのが一番楽だということに誰かが気づいたのでしょう。その人こそすばらしいデザイナーです。最も楽な方法はあっという間に周囲に広がり、結果あの美しい集落ができたのです。
 

まとめ

 
美しいデザインは、人が楽をすることを追求した結果ということがお分かりいただけただしょうか。逆に、楽をすることに無頓着なデザインは人に訴えるものが足りません。目的達成のためにどこまで楽ができるかという「せめぎ合い」から良いものが生まれるのです。最後にもう一つ例を挙げましょう。美しい自然を見てください。植物でも虫でも、命をつなぐために最も楽な方法を命を賭けて追求しているのです。そんな命のせめぎ合いを私たちは美しいと感じるのではないでしょうか。
次回は9/18「住宅デザインの極意その2『きまりを守る』」です。これもまたお楽しみに!
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