【光をデザインするステップ<前編>】 ひかりを意識して考えたことはありますか?

2020/08/0914:0381人が見ました

光(ひかり)そのものは目に見えません。光は何かに当たって初めて存在が顕在化します。そして、光が存在する空間をデザインすることも出来ます。なるほど!と気が付いてしまえば、住まい方や暮らし方が180度変わるほど、光には「力」と「効果」があります。

ここは・・・と思う場所だけでも、光にこだわりを持つと、その場所や空間が驚くほど変わります。そう、驚くほど変わるのです。

光の存在に気が付けば、そこには光の役割が見えてきます。

しかし、気が付くまでは結構難しいもの。理屈や理論だけで落とし込むのでなく、最終的には感性に訴えるものだからです。

では、どのようなステップを踏むと光の存在に気づくことが出来るのか。これを見ていきましょう。

 

光(ひかり)に気付く訓練

 

今、この瞬間に目に入った物に対して光を意識してみて下さい。

PCの前ならその空間の照明を。外出先なら自分がいる360度全方向の空間を。普段買い物をするスーパーの照明も駅のホームの照明も、外食するお店の照明も、オフィスも、歩道の街路灯も、コンビニも・・・。それぞれその場所に適した照明があります。しかし、それぞれの場所でそこに適したひかりかは別問題です。まったく適していないひかりもあれば、自分好みではないひかりの場合もあります。そもそも、別に光の質なんて考えなくても良いと考える人もいます。

この記事をここまでお読みになっていると言うことは、照明に関心があると言うことが前提ですが・・・。要するに、まずはちょっと天井を見て下さいと言うことです。意外と色んな照明器具が付いているんだなぁと思うはず。

それに気が付いたら、いよいよ次は「自分ならどうするか?」をイメージします。

 

自分の暮らしに落とし込むイメージ

さて、自分の暮らしに照明効果を落とし込むと、沢山考えなければならないことが出てきます。

帰って来たときにホッとするエントランスの光。お帰りなさいの玄関の光。食事が美味しそうに見えるダイニングテーブルの光。一日の疲れを癒やすリビングの光。ゲストをもてなす和室の光。好みの絵画を照らす美術館のようなスポットライト。ニッチにも光があると小物が映えるでしょう。

洗面化粧室には肌の色が美しく見える光もあります。人感センサースイッチやコントローラースイッチも取り入れて。ちょっとだけ意匠のあるペンダント照明やブラケット照明をアクセントとして取り入れるなど、少し考えても住まいには考える場所が多く存在します。

いくつかこだわりたい場所を決めても良いですし、共有スペースだけに絞っても良いと思います。

コツは照明の意匠(デザイン)を考えるよりも、その空間にある素材を引き立てるイメージを描くこと。例えばニッチの光。ニッチにお気に入りの小物や季節感が出るアイテムを置くとします。そこに小さな光があり、その周りはこの小さな光によって照らされるだけ。そこだけフォーカスされるイメージです。

 

心の豊かさを提供する照明設計

専門家の私は、空間の価値を提案し、それをつくり、販売します。そこには「空間をつくる」というプロセスがあり、意味を見つけ出し、暮らしをイメージするというステップを踏みます。それを実現するために、照明器具を選定します。

家の中のすべての照明器具をカタログから選ぶ時代から、今は「どんなインテリア環境で暮らしを豊かにしたいか」を考え、それを提供する時代に入りました。

物質的な面での豊かさから心の豊かさを求める人が圧倒的に増えています。心の豊かさは、その人それぞれの価値から来ると考えます。だからこそ視覚に入る情報にフォーカスし、そこに光を当てることで満足度を上げることが豊かさを助長することにつながるのではないでしょうか。例えば子育て世代の照明計画には、子供の生活を中心に照明の使い方や効果を気づいてもらい、暮らしをより豊かに、快適に、楽しく、子供と共に親も成長できるような家づくりを目指します。

私の場合、商業施設の照明計画での経験が土台にあります。一般の住まいにも商業施設の照明設計ノウハウを取り込み、より個性的な住空間の演出と、照明の効果を提供するのが得意です。

商業施設では、照明の目的がシビアに求められます。様々な商業施設の照明計画に携わりました。アパレル物販店、お鮨やさん、珈琲チェーン店、ホテル空間、スキー場のナイター照明等など。物販店は売る仕掛けを、レストランは落ち着く空間に、非日常を演出するホテル・・・といったように、建築設計者や内装設計デザイナーと協業し、照明の効果を最大限に発揮できるよう空間をつくる仕事に向き合いました。

例えば、回転寿司のレーン照明。ここにはオーナー側のこだわりがあり、光の効果で売上を伸ばす戦略がありました。それは「マグロの注文を増やす」こと。マグロの色と艶にこだわり、納得の行く照明の色が出るまで何回もの実験を重ねました。この照明効果で、マグロの皿を手に取るお客が増えたことは言うまでもありません。(写真参照)

もちろん住宅にはここまで考える必要はありませんが、照明の効果は予想以上に大きいことに気づいてもらい、これから家を新しくする皆さんに私が持っている情報をお伝えし、灯りを暮らしの中に入れて欲しいと日々思いが膨らみます。ほんのちょっとした工夫次第で我が家の表情が豊かになり、「ホッとする」「帰りたくなる」マイホームを作ることができます。商業施設のようにお金をかけなくても・・・


[<後編>に続きます]

 

  

三原 慎一

株式会社 灯り計画  Lighting Planning Office 

mail: info@design-akari.com

Tel:04-7196-7142 Fax:04-7196-7272

 

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