忘れ得ぬひと言 その3−1 ■売れる力とは?

2022/01/2921:20581人が見ました

VC(ボランタリーチェーン)の正体とは?

 

それは、住宅系VC※にVCに加盟契約をされたばかりの企業でのミーティングに同席させていただいた時のことです。 その日はVC本部立ち上げに係るコンサルティングをされているK氏から、VC加盟による新事業の責任者であるS課長が今後の事業推進のためのレクチャーを受けるためのアポイントでした。

 

VC:(Voluntary Chain)独立小売店などが同じ目的を持った仲間達と組織化、チェーンオペレーションを展開している団体。FCfranchise chain)との違いは加盟店同士の繋がりがあること。

 

K 「そもそも、どうして畑違いの住宅事業をやろうということになったのですか?」

 

S課長 「既存の住宅会社の供給する住宅には、生活提案に乏しい印象があります。後発ながら、住む人に向けた生活提案をしっかり行いたい。そのためには自社で住宅事業を立ち上げて自ら提案しながら商品開発していく必要があるとの判断です」

 

K 「それは素晴らしい視点ですね。私は500社以上のVC加盟企業とお付き合いしてきましたが、本当の意味で生活提案が出来る会社は1社もありませんでした。ホームページ・広告では生活提案が得意なように見せてはいますが、実はみんな大の苦手です。酷いことに殆どの社長はそういったことに興味もありません。 だから、ホームページ・広告などもほぼ外注丸投げです。そのくせ集客数ばかり気にしています。最近ではWEBで情報収集されるお客様が増えていっていますので、発信内容に「暮らしの提案できます」的なお化粧をしっかりすることで狙ったイメージを作り上げて、一言も発することなくお客様を騙せるのです。騙せると言ってもあくまで表面上のことのように感じられると思いますが、VCの商品や販売スキームには、その仮想イメージが崩れる前にクロージングする技もパッケージ化されています」

 

S課長 「えー。そんな感じなんですか

 

K 「VC本部の人たちも先行している加盟店の面々も全く同じ感覚ではないでしょうか。そのような「手法」の出所であり、元締めの役割を果たしているのが彼らですから」

 

S課長 「では、生活提案についてVCから学ぶということはあまり期待できないということですか?」

 

K 「そういうことになります。VC本部から配布される広告ツールやWEBサイトのテンプレートなども制作はほとんどの場合外注・丸投げです。私たちの分野は狭い業界で、同じ外注先が様々なVCの様々な商品を手がけていたりします。中身が似たり寄ったりですから、効率がいいんですね。元をたどっていけば、全く同じ人がやってたりすんですよ。黒子として。」

 

S課長 「外から見えているイメージとなんか真逆の感じですね

 

S課長 「うちは社内に建築に詳しい人材がいないので現在募集をかけているところです。住宅について全く経験がないのでVCに加盟、ノウハウを吸収しながら事業をスタートすることにしました。また、施工体制も未整備なのでVCだとその点もカバーしつつ走り出せるのではないかと考え、実は先日あるVC本部との契約をしたところです」

 

K 「Sさん、基本的にVCとかFCの本部は住宅事業の実務をやったことのない人たちが殆どです。自分たちでは一軒の家を売ったことも建てたこともない場合も珍しくありません。このあたりは誤解をされる加盟店さんが実に多いのですが、VC本部の業態は基本的に「情報仲介業」といったものです。どこかの会社の成功事例を情報としてパッケージ化、その商品パッケージの利用権・エリア内での販売権を仲介または販売する仕事です。 ですから、御社はあくまでも地元での「販売権」を買ったということで、原則はVCが実施設計の実務や施工を代行してくれる訳ではありません」

 

S課長 「え!そうなんですか?」

 

K 「びっくりされましたか?私は決してVCを否定している訳ではありませんよ。VCに加盟するにあたって過度な期待や依存は避けた方がいいと申し上げているのです。往々にして新しいVCに初期に加盟してくる会社の中には、クレバーな経営者が少なからずいらっしゃいます。そうした方々は、VCの機能や限界を勉強されていてよくご存知です。また、自社のビジョンや加盟して獲得するものなど目的が明快です。そして、決してどハマりすることなく目的が終わったらさっさと抜けていかれるのです」

 

S課長 「それはそれですごいですね」

 

横でそのやりとりを聴いていて、私もおどろきました。どこの業界にも裏側の、普段は見えない闇みたいなものはあるものですが、ふたりのやりとりは生々しくダークでした。その時、私の頭の中には以前、耳にした「忘れ得ぬ言葉」がふたたび蘇ってきていました。

 

 

次回、忘れ得ぬひと言 その3− につづく。

 

 

以前耳にした言葉は忘れ得ぬひと言 その2をご覧ください。

 

 

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