地方のリノベーション事業 業績堅調な会社の取り組み(ビジネスモデルを支える人的資源)

2022/05/0422:51280人が見ました

 ここ数年、地方エリアにおいて、着実にリノベーション事業の事例が増えています。近い将来、事業年商10億円に到達する例も出てくる可能性を強く感じます。今回はこうした地方のクライアント事例として、3社を取り上げ、比較表や考察を記載しますので、ぜひご一読ください。

 

Y社(九州エリア)

・リノベーション事業年商4.6億円

・専門事業部、専属スタッフ(設計、施工管理、営業)

・性能向上リノベーション+木のデザイン

・県産材が標準

・リノベーション全棟でC値測定

・年間通じて、毎月販促企画

 

H社(北日本エリア)

・リノベーション事業年商5.1億円

・専門事業部、専属スタッフ(設計、施工管理、営業)

・WEBのみで集客(写真のクオリティ+コラムによるコンテンツSEO)

・性能を押さえた上で女性デザイン、インテリア提案が強み(スペックと情緒のバランス)

・年間通じて、モデルハウス、モデルルームの仕入れ計画+お客様宅完成見学

・モデルハウスはコストバランスを追求し、一定のリノベ案件を確保した上で、数ヶ月で売却

 

W社(東海エリア)

・リノベーション事業年商3億円+その他にリフォーム売上あり

・リノベーション専門会社、専属スタッフ(設計、施工管理、営業)

・性能向上リノベーション+木のデザイン

・国産材(県産材中心)、漆喰が標準

・新築サイトからリノベサイトへの動線

 

  今回は、上記3社をはじめ、いくつかの共通点がある中、今回は「専属スタッフ」の存在に焦点を当てたいと思います。

・分業制

 大前提として上記3社には、新築からのコンバート含め、営業、設計、施工管理といったリノベーションの専属スタッフが存在し、分業制が機能しています。さらに、各スタッフが自社の強みを共有し、あらゆる顧客接点で一貫して活かされている点も特徴です。

 

・マーケティング担当者

 また、SNSの発信、ブログ・コラム更新、広告・広報全般を内製化している点も特徴です。

 ブログは特に施工中ブログを推奨しています。施工中ブログは自社ならではのこだわりや差別化要素を打ち出しやすいのと、伝え方によっては学習コンテンツ、感情刺激コンテンツとして機能し、そのうち客の共感も得られやすいというメリットがあります。人員不足でブログ更新ができないという場合、ライティングを外注することも選択肢の一つですが、どうしてもオリジナリティや専門性が欠ける傾向があることが懸念点です。リノベーションサイトのブログでありながら、水まわりに偏っていたり、逆に新築と変らない内容になっていたりする例を目にします。極端な例かもしれませんが複数のリノベ会社のブログ文章が一字一句同じという例もあります。11社に合わせて作り込むという外注先もあるのでしょうが、このような状況ではGoogleの評価が下がり、デメリットのほうがはるかに大きいでしょう。

 内製化できれば自社の提供価値に対して整合性、一貫性のある内容になりやすく、更新の量産にも適しています。

 

・工事業化

その他、クライアントの中には、左官、タイル、基礎工事の内製化ができている例もあり、収益力、競争力を高めるために部分的な工事業へのシフトも今後の大きなテーマの一つだと考えています。エリアによっては、リノベーションの基礎工事ができる業者が限られている中、自社職人化はオペレーション面においても、大きな利点になり得ます。

 

事業の設計図が構築されて、全体設計のイメージができていたとしても、それを実行に移す人材がいなければ前に進みません。世の中に、業績アップにつながるビジネスの設計図は豊富にありますが、それを支えるのは人であり、専属スタッフの確保に本気で取り組めるかどうか、建築のプロとして育てることにどれだけ使命感を持ちエネルギーを注げるかどうかが大きなカギと言えます。「企業は人なり」と言いますが、リフォーム事業の中でも特に人の依存度が高いリノベーション事業はなおさらだとつくづく感じます。

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