NO MUSIC, NO CLOUD. ■続・家づくりの玉手箱

2024/02/2416:57246人が見ました

音楽の楽しみかたの変化

 

 

かれこれ40年以上好きな音楽を聴いていますが、その間ずいぶんと楽しみ方が変わってきました。小学生高学年の頃にラジカセを買って音楽生活デビュー。当時はイヤホンで深夜ラジオを聴きながら寝ていました。当時はおもしろ系が多かったので布団で笑いをこらえながら毎日クスクスしていたものです。

 

まだその頃は家にはポータブルのモノラルレコードプレーヤーしかなく、音楽ソースは主に、ラジオからカセットテープに録音(これをエアチェックと言いました)するか、ステレオセットを持っている友達にレコードからカセットテープに録音してもらうかのどちらかでした。

 

A君(またはA君の兄弟姉妹)からレコードを借りて、B君宅のステレオセットで録音してもらって新しい音源を入手するといったことも普通でしたから、学校から帰ってからの友達の家の移動は激しいものがありました。たいていは、あちらこちらから集まった何枚ものレコードをまとめてやってもらうので、レコード枚数✖️関係者全員分の録音作業を行うのです。そうして、A君もB君もついでに新しい音源を入手できるというWin-Winの構図ではありました。みんな協力して新しい音楽に出会っていたのです。

 

中学校に入って兄貴と共用でステレオコンポを入手。当時はアナログレコードからカセットテープに録音して楽しむのが普通でした。なので、レコード針とカセットデッキには最大限の予算をつぎ込みました。「最も音質に影響する」とオーディオ専門誌に書いてあったからです。カセットデッキは当時ではハイスペックで、ソニーの最上位機種でした。

 

あいかわらず中学生になっても、新しい音楽との出会いのほとんどはラジオか友達からでした。ステレオセットの普及率も上がり、新しいカセットテープを渡せば録音してもらえる友達が格段に増えました。みんなアルバムのタイトルや曲名まで書き込んで渡してくれるのでした。そういうカセットテープには音楽愛がにじみ出ていますので、今でも捨てずに持っています。

 

また「おまけ」といって自分の大好きなアルバムを勝手に録音して渡してくれる人もいました。「これ聴いてみて。」みたいな感じで。そこからまた、音楽のジャンルの幅が拡がり、音楽つながりの友達の幅の拡がっていきました。当時のカセットテープを手に取ると、アーティストの顔は知らなくても録音してくれた友達の顔は浮かびます。

 

そのうち、自分でもおこづかいでLPレコードを買うようになりましたが、アナログレコードってその頃でも現在の価格とほぼ同じぐらいしていたので、当時の中学生にとっては高価なものでした。当然ネットもありませんので情報源に乏しく、レコードジャケットの中のライナーノーツなどは、ひっぱり出して店頭でくまなく読んでいました。 めったに買わないのですが、あしげく通っているとレコード屋さんの店主さんが欲しいレコードを一曲だけ聴かせてくれたりして、決めるまでに半日ぐらいはすぐに経ってしまうのでした。

 

「完全に無くなってしまうのだろう」と思っていたアナログレコードもまた盛り上がってきているそうですから、人間の楽しみは「合理性」ばかりでもないと言うことですね。

 

 

↑愛用していた初代ラジカセ(スピードコントロール付きで、再生速度を遅くしてギターの速弾きをコピーしていました)

 

 

↑ステレオコンポ第1期のカセットデッキ(機械的なレバー操作が主流であった当時では珍しい電気的なフェザータッチ操作搭載機)

 

 

高校生になってからもレコードは高価でした。しかし、レンタルレコード店という強い味方が地元の大学周辺中心に増えてきました。LPレコードを1枚買う金額で8〜9枚借りれるので、購入するよりもかなり冒険できるのです。いろんなタイトルに果敢にアタックしては、音楽世界を拡大していくのでした。

 

最大10枚までを1週間借りれるので、毎週LPレコードを10枚持ち歩いていました。これまでとは比較にならないスピードでカセットテープが増えていくのですが、テープ代もバカにならず、いまいちだったタイトルは消してしまって新しいのを録音していました。それでも増殖は加速していきます。

 

大学生になっても毎週10枚の習慣は変わらず、その週録音したカセットテープを10本カバンに入れて持ち歩いていました。通学中はガッツリ聴き込んで、ずっとその10本の品定めをするのです。そして翌週またカバンの中の10本が入れ替わるのです。

 

たいして勉強もせずどこにいっても音楽を聴いていましたので、その頃の曲を聴こえてくると、その頃の「情景」がよみがえってきます。映画音楽のように映像と音楽がセットになっているのです。脳みその中にオリジナル映画が入っているようなものです。

 

 

 

↑大学時代の「相棒」レコーディングウォークマン(録音もできるので、講義中録音ボタンを押してこっそり食堂に行ったりしていました)

 

 

↑一撃で「ご臨終」スポーツウォークマン(防水・FMラジオつきの優れものでしたが、海に持っていきすぐさま「ご臨終」に)

 

 

社会人になってからは車通勤でした。今度はカーステレオが活躍しました。車の中では、ヘッドホンではなくスピーカーからの大音量で聴けるので、これまた盛り上がります。この頃にはレンタルレコードも完全にCDに移行していました。

 

録音メディアもカセットテープからCDR(書き込みできるCD)やMD(ミニディスク)に主流が移っていきました。アナログレコードよりもノイズが少なくて音がいいということで、お気に入りのタイトルは改めてレンタルCDを借り直してせっせとMD(ミニディスク)に録音したりしました。(ご苦労さんなことです)

 

その頃にはおこづかいも増えてきましたので、レンタル屋さんには置いてないマニアックなタイトルは自分でCDを買いました。アナログレコードと違ってかさばらないし、音質もよく、何回聴いても音が劣化しない(と思いこんでいた)のが魅力でした。

 

そうして自宅にはカセットテープ・CDMDの山ができてしまったというわけです。

 

 

↑現在も健在、摩天楼のような音源の山(家じゅうのを集めたらここの倍くらいあるのではないでしょうか)

 

 

さらにマニアックな「音楽ソースの音質」については、 NO MUSIC, NO LIFE. で語っています。

                                                                   

 

 

おそるべしデジタルリマスター商法

 

 

そんなこんなでオジサンになってからは、音楽はダウンロードやストリームで聴けるようになってしまいました。録音メディア自体が必要なくなってしまったのです。しかも音質もいい。スマホなのに自前の高級?オーディオセットを凌駕するような音質で聴けてしまう曲もあるのです。

 

今までの奮闘は何だったのか?この録音メディアの山をどうしてくれるのか?しばらく愕然としていましたが、カラクリが分かってきました。ストリームでスマホにダウンロードされてくる楽曲はデジタルリマスターされていたのです。デジタルリマスターとは、過去の映画や音楽などを最新のデジタル技術を用いて、再度マスター(原盤)を作成し直すことです。要するに最新のデジタル技術で音源そのものを補正しているのです。録音は同じものでも音源のレベルとしては全くの別物、別タイトルみたいなものなのです。

 

そうなれば音がいいのはあたりまえです。デジタルリマスター版は大流行りで、懐かしいタイトルがどんどんリマスターされて再発売されています。デジタル・リマスター、紙ジャケ再発、デラックス・エディション、最新リマスター、○周年記念盤(最新リマスター)etc…「お金持ってるオジサンのミナサン、同じCDだけど何度も買ってね商法」です。それに釣られて何度も同じ作品を買っちゃうオジサン(私)このデジタルリマスター商法とも言える上手な商売を「オジサンホイホイ」と、うまいこと言ってる人もいます。

 

 

 

↑『オジサンホイホイ』にハマって同じタイトルのCDを3枚も買ってしまいました(音質の違いはイマイチ分かりませんでしたが 笑)

 

 

 

ラジオ番組で思い出す友人たちの顔

 

 

下世話な商売の話はさておき、私の個人的な音楽投資額は相当なものになっているかもしれません。しかし、そのことで得られたものは様々です。音楽を通じてのゴキゲンな友人や時間の過ごし方は真に得がたいものでした。たまに昔のカセットテープを聴いては懐かしんでいるだけかと言うと、今だに新規開拓中なのです。(先日70歳になられた山下達郎さんも「今だに勉強中なので…」とアナログレコードをガンガン買い続けているそうです)

 

ちょくちょく聴いているラジオ番組で、人生の節目に聞いていた思い出のアルバムや人生に決定的な影響を与えたアルバムを毎夜1枚ずつのアルバムを紹介し、人生とのさまざまな関係をひとりのパーソナリティーが毎週5日間通して紹介しているのがあります。NHKの「夜のプレイリスト」というラジオ番組です。ラジオ番組といっても最近は聴き逃し配信も利用できるストリームで聴いています。もう何でもネット、何でもクラウドです。

 

2015年から色々な人がそれぞれのイチオシアルバムを紹介しているのですが、何だか中学や高校の頃の同級生が熱く語りつつ勝手に吹き込んできたカセットテープを渡してくれる、あの雰囲気なのです。出演者はみんな有名人ですが、イチオシアルバムの話をし始めると「素」であり「熱い」のです。何だか、カセットテープを渡してくれた友人たちとかぶります。聴いていると「なんかいい人やんか。このひと」と思ってしまう何かがあって、好きな番組のひとつです。

 

 

NHKのラジオ番組「夜のプレイリスト」(私の人生と共に在った5枚のアルバムを熱く紹介)

 

https://www4.nhk.or.jp/yoruplaylist/

 

 

こういうふうに感じ楽しめるのも「授業料」のおかげかもしれません。これまでも「明らかな失敗」も多いのですが、好きなこと、興味の尽きないこと、で拡がる世界は心地よいものです。ある人からは「暇つぶし」にしか見えないような事でも自分にとって喜びであれば、それは何でもいいのです。

 

 

 

社長は個人的に「授業料」をたくさん費やしてきたテーマはありますか?そのテーマは社長の生きる喜びにちゃっかりと結びついていますでしょうか?

 

 

 

 

 

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