[第1回] ネストハウスとはどんな工務店?

2021/01/0616:48550人が見ました

ネストハウス専務取締役の石川貴大と申します。今回縁あって新建ハウジングのこのチカラボにて、連載をさせて頂くことになりました。よろしくお願いいたします。

私自身はネストハウスの二代目として会社に戻る前は、年間数百棟の中堅住宅会社にて現場監督から営業まで行い、店長としてマネジメントを経験しました。約8年間目の回るような忙しい日々でしたが、この経験は地域工務店の事業戦略に携わる中で多くの気付きを与えてくれています。

このことも踏まえ、全国の工務店経営者、特に若い経営者に向けて、自分たちの経験を通じて価値のある内容をお伝えできれば幸いです。

 

顧客管理システムを自社開発

さてネストハウスは、山口県岩国市・由宇町の工務店です。社員は約20人、自然素材を軸とした住宅商品「FASTA(ファスタ)」など注文住宅を主に事業展開しており、年間およそ40棟、リフォームも数億円規模まで上がってきました。

特徴的なことの一つは顧客管理(CRM)および集客導線の管理について、早くからシステム化を行ってきたこと。おそらく業界向けCRMサービスの先駆けとして、「パコスシステム」を自社開発で導入し、全国約30社の工務店に採用していただき活用して頂いています。現在ではこのシステムはより進化を進めて、芝浦工業大学の蘆澤雄助先生らと協働で「Scoope(スコープ)」を開発。こちらの運用を行っています。

 

 暮らし提案空間を運営

そしてもうひとつ大きな特徴は、こちらもご存じのかたがいらっしゃるかもしれませんが、リアルな場として「iroherb(イロハーブ)」という暮らし提案の空間を展開していることです。

イロハーブは弊社事務所の周りの土地を開発し、暮らしにまつわる様々な店舗が集まった場所です。いわゆる「ライフスタイルショップ」を全体で構成しているといえるかもしれません。カフェ・レストラン、グリーン、家具店、ヨガ&ピラティスなど……現在このコロナ禍において営業を再開できていない店舗もありますが、弊社の社員だけでなく外部からのスタッフも入って運営しています。

なんとなくお気づきの方もいると思いますが、CRMの活用によって、このリアルな店舗のどこでお客様がどのように行動しているのかが把握できるようになっています。お客さまには「イロハーブ」専用のポイントカードをメンバーズカードとして持参いただいており、食事をされた場合、イベントに参加された場合など、特典が受けられるようになっています。

もちろん、このポイント自体にはお客様に喜んでもらう以上の意味はありません。それ以上に、お客様やお客様が友人を誘って、このイロハーブという場所に足を運んでもらい、さらに将来もっと楽しい暮らしがしたい、豊かな生活があるのではないかと考えたときに、イロハーブという場所がぱっと一番に浮かぶようになってもらいたい。そのための仕掛けです。イロハーブの中にはネストハウスのモデルハウスもあります。あくまでそういった立ち位置なのです。

ただ先に申し上げておくと、これらのデータの活用といった点ではまだ弊社としても手探りの部分があります。幸運なことに約12000人(年間)の方に来場していただいていますが、このうち、家を建てるお客様のすべてがネストハウスで建てて頂けるわけでは当然ありません。どのようにアプローチをしていくべきか、改善の余地はまだまだあります。

 

この連載の中では、イロハーブに関するもの、弊社の商品に対する考え方、社内の体制、社員教育などについて解説していきたいと思っています。ここで語られるのは正解ではありません。工務店には工務店それぞれの地域ごとにとるべき戦略があると考えています。私自身多くの工務店経営者やそれ以外の業種の方からも多くを学び、今も学ばせて頂いています。しかし確実に言えることは、地域の人たちや社員に愛され、誇れるブランドをもつ会社とならなければ、これからの時代は生き残れないということです。なぜこの会社は存在するのか、どんな価値をもって地域に貢献するのか。結果的にはよくある理念の話になってしまうかもしれませんが、私自身も悩める若手経営者として、お話しできれば幸いです。

 

次回は、イロハーブという場所をどのように立ち上げていったのか、そのプロセスについてお話ししたいと思います。

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