住宅の性能がおかしなことになっている
住宅の設計で行われているお客様との会話、どこがおかしいか考えてみてください。
■省エネ性能についての会話
省エネ性能の「高い家」と「低い家」どちらがいいですか?
省エネ性能の高い家は、建築費用が多めです。プラス100万円ほどコストアップになります。
省エネ性能の低い家は、建築費用が少なめです。
省エネ性能の高い家は、建築費用が多めですが、住んでからの光熱費は少なめです。
省エネ性能の低い家は、建築費用は少なめですが、住んでからの光熱費は多めになります。
建築費用の100万円プラス分と光熱費の差額を比較すると、おおよそ10年でこの差は逆転します。どうしますか?どちらが良いか考えてみましょう!
この会話、とてもおかしいことに気が付いてください。選ぶレベルでは無いことを!
そもそも、100万円プラスした省エネ性能の高い家は、住んだ時の快適さが全く違います。さらに、家中の温度差がなくなれば病気のリスク、脳卒中のリスクも低くなります。
さらにさらに、省エネ性能の高い家は、自分自身の住宅に自分のお金を掛け、快適さを手に入れます。しかし、省エネ性能の低い家は100万円手元に残しているわけではなく、自分自身の家にはお金をかけず、寒くて暑い家で我慢して暮らし、手元に残した100万円を見ず知らずの電力会社に支払うことになります。
省エネ性能の低い家をつくる意味はどこにも無いことがわかります。
■耐震性能についての会話
耐震性能については、省エネ性能よりもレベルが低いと言わざるを得ません。なぜなら、お客様に聞く前に建築士が、耐震性能について設計するか、しないかを決めてしまうからです。構造計算するのかしないのかを勝手に決められています。
運よく、構造計算するとなってからの会話はどうかというと、
耐震性能について決めてください。耐震性能については、耐震等級1から3まであります。
耐震等級1は建築基準法で求めている耐震性能、
耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の耐震性能、
耐震等級3は耐震等級1の1.50倍の耐震性能です。
どれがいいですか??
コストや間取りにも影響しますので、これらを考慮して決めましょう!
(ここについては、前回のコラムも参考にしてみてください)
住宅の性能を車に例えるとおかしなところが良く分かる
いま、見て頂いた省エネ性能と耐震性能に関する会話、車に例えると、どれだけおかしいのかがよく分かります。
プリウスのHPから
エコカーとして有名なプリウスを買いに来たお客様とプリウスの営業マンの会話に例えます。
プリウスの省エネ性能と安全性能についてお選びください。
■省エネ性能について
じつは、プリウスには燃費の良いプリウスと、燃費の悪いプリウスがあります。
燃費の良いプリウスは若干お高めです。しかしガソリン代は低めです。
燃費の悪いプリウスはお安く購入できます。しかしガソリン代はかかります。
お客様の車に乗る状況を考えると、車の購入費用とガソリン代金の差は10年程度で逆転しますね。どちらにします?
■安全性能について
プリウスの安全性能はお客様に選んでもらっています。
エアバッグの数量が少なめ、中くらい、多めとあります。
エアバッグ多めとは、少な目の1.50倍のエアバッグを入れますよ。どれがいいですか?
このような会話はないですよね。
自動車業界では、省エネ性能は最高ランク、安全性能も最高ランクを標準装備にしています。
ここは、比較して選んでもらう部分ではないのです。
選ぶ部分は、車の色であったり、内装やシートの素材や色、オプションなどです。
木造住宅も、車に例えて考えると、性能を選んでもらうべきでは無いことがわかると思います。省エネ性能、耐震性能は最高ランクを標準装備で考えてみてください。