地域工務店のリノベーション事業(事業化できている会社、軌道に乗っていない会社の特徴・傾向とは)

2021/09/1317:50654人が見ました

昨年あたりから、地域工務店によるリノベーション事業参入事例が各地で増えてきました。新築市場の縮小を見据えた参入はもちろん、今年はウッドショックによる先行き不透明感をきっかけに参入した例も増えている印象です。

 下記は、地域において先導的にリノベーション事業に本格参入した一例です。

    地域工務店出身Y社・・・商圏人口20万人(小商圏)

・新築からリノベーション専門会社へ業態転換しリノベーション年商5億円

2000万円級リノベーション案件20件超が着工待ち

    地域工務店出身W社・・・商圏人口40万人(中商圏)

・リノベーション事業を立ち上げ、その後、リノベーションを主軸とした専門会社設立

・初年度から2000万円級リノベーション案件を10棟受注し、今期は3億ペースで推移

    地域工務店出身H社・・・商圏人口190万人(大商圏)

・リノベーション事業年商5.5億円

・大商圏に適合したWEB戦略を軸にサブブランドとして安定成長

こうした先進事例も踏まえて、下記にリノベーションが事業化できている会社、軌道に乗っていない会社の特徴、傾向を記載します。

<事業化できている会社の特徴、軌道に乗っていない会社の特徴、傾向>

 以上、それぞれの傾向として、今後の事業展開のヒントにしていただければと思います。

 <地域工務店にとってのリノベーション事業>

外部環境としては、リフォーム全体の市場規模はコロナ禍でも堅調に推移していますが、参入ペースに見合うほどの成長性は期待できない状況です。競合も着実に増えているのが現状です。

※参考(リノベーション事業を取り巻く外部環境)

■機会(追い風)

・リノベーションの認知が進み、「建て替えかリノベーションか迷っている」というニーズが増加傾向

・ボリュームゾーンである団塊ジュニア世代がリノベーション市場を牽引
・リノベーションは、(団塊世代である親世帯が住む)実家問題の大きな解決策のひとつになる
・コロナ禍での、住まいの価値の見直し(「快適にしたい」「新たなライフスタイルに合った家にしたい」がという志向が増加)

■脅威(向かい風)

・類似コンセプトの競合が増加傾向(市場活性化につながるというプラス面もある)
・一定の性能をクリアし、デザイン性にも配慮した建売住宅や新築ローコスト〜中価格帯商品が増加傾向

  また、事業特性として、他の住宅ビジネスとの比較では生産性に課題が残る点、人に依存しやすく体制づくりの難易度が高い等、参入障壁が高いという側面はありますが、その分、地域で独自ポジションを築くことができれば、長く競争優位性を保てる点は大きなメリットの一つです。

 地域工務店のリノベーション事業として先導的な取り組みをされているある社長が「リノベーション事業を展開することは地域工務店の使命である(地域工務店が取り組むべき事業)」とおっしゃっていたのが強く印象に残っています。

  「自社の理念に合致する」「自社の強みに適合する」「リノベーション事業で自社の建築リテラシーを活かしたい」という方はぜひ取り組んでいただきたいと考えております。

 引き続き、「一隅を照らす」思いでリノベーション事業の研究を通じて、微力ながら住宅業界と地域社会の発展に貢献していきます。

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※地域工務店のリノベーション事業に関するご質問、ご相談、取材等も受け付け中です。お気軽に下記までどうぞ。

コダリノ研究所 稲葉元一朗

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