IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(2)■売れる力とは?

2021/12/1900:42881人が見ました

 

IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(1)からつづく

 

 

IKEAが繁盛する理由とは

 

ある方が「IKEAやニトリが繁盛するのは、工務店がダメダメだから」と厳しい一石を投じられました。 また、その方は「大塚家具は残念やった。本物になれたかもしれないのに」ともおっしゃっていました。 会員制である代わりに、高くてもいいから「本物」の生活提案ができる企業を目指して欲しかったそうです。

 

これまで耐久消費財の代表格であり続けた『家具』ですが、現代ではどんどん短期消費化しているとも思えます。 ファストファッションならぬファストファニチャーなどと最近では言われている所以です。生産や流通の見直しやグローバルにプレーヤー再編が進んでいるところは、若かりし頃に身を置いていたアパレル業界とも通じるものがあります。ファストファッションなるものは未だ存在しない時代でしたが、当時の強敵レナウンが姿を消すなどとは思ってもみないことでした。

 

IKEAには繁盛する理由が他にもいろいろあります。個人的にも大変お世話になっているのでそう思うのです。 あの、迷路のような総延長の長いショールーム(生活シーンを提案する展示スペース)の順路は、テーマパークのようで、なんとなくワクワクして楽しいものです。しかも順路が決まっていて一方通行なので、しっかり見ておこうという心理が働き続ける気がします。そして、もう2度と逢えないかもしれないとカートに余計なものまで入れてしまうのです。 誠によく設計されていますよね。

 

IKEAお馴染みの迷路のようなショールームの順路(わかりにくいですが近道もあります)

 

ショールームのディスプレイ(明るすぎず住んでいる家のような雰囲気があります)

 

ショールームのディスプレイ(照明がベッドの下の空間に座ってみる体験を上手に促します)

 

 

IKEAのショールーム

 

ショールームのディスプレイは、様々なアイテムを組み合わせて部屋感を演出しています。特に建築屋さんが弱い、キッチンやベッドルームの密度の高いディスプレイとその世界観は新鮮です。

 

会社の業務として完成物件の見学会や写真撮影のためのしつらえや、個人的な買い物として娘の部屋用の買い出しにつきあって福岡や東京周辺の店舗にはかなり通いましたが、出かける度に新しいアイテムがあっていつも脱線し長居してしまうのでした。

 

 

何気に外国っぽいディスプレイのアイデアがあちらこちらに

 

キッチンまわりも小物の組合せパターンも豊富で勉強になります(そして安い!)

 

 

毎回余計なものを相当量カートに入れてしまうのですが「え、そんなもん?」というぐらい合計プライスが安いのです。

 

北欧っぽい綺麗な合板の製品などは、合板そのものの材料費より製品価格の方が安いのでは?というぐらいのものもあったりします。ちょっとしたものはDIYで作ってしまう私ですが、とても作る気にならないぐらいコスパがいいのです。おそらく大量生産や計画生産はもちろんのこと、端材は小物にしたりして無駄のないオペレーションのもとで流通しているのだと思います。この値段でも儲かるのですから「いったいいくらで作ってすのだろう?」と考えてしまいます。そうして「安い安い」と言いながらも、結果的に予算以上の支払いをすることになるのです。

 

ホームセンターで買う材料代より安い!圧倒的なプライス設定

 

フライパンだけでもこんなにあるとディスプレイ用備品を選ぶのに最高です

 

 

IKEAの商品倉庫

 

2階にあるショールームをぐるぐる廻って、満載のカートを押しながら1階に降りていくと、高い天井を持つ巨大な商品倉庫にたどり着きます。大物は品番や倉庫内の在庫の置いてあるアドレスを控えておいて、ここでピックアップするのです。IKEAの商品の多くは組み立て式になっていて、大物もコンパクトな箱に入って在庫されています。なので、箱はコンパクトですが中身がぎっしりで見た目より重い箱ばっかりです。

 

こちらもお馴染みIKEAの「商品倉庫」(ここでまた相当うろうろすることに)

 

天井の高い「商品倉庫」の実際の景色

 

 

サービスの進化

 

初めて会社の業務でIKEAに買い出しに行く時は「なんで休みをつぶしてこんなことまで自分でやらないといけないのか」とブツブツ言いながら、鹿児島から最寄り(といっても福岡)のIKEAまで日帰りで往復したものです。帰りは色々な箱が満載で後ろが沈んでバックミラーも全然見えない状態でした。

 

ひとりで完成物件用のひと揃えを買い出しに来ていると、キチンと入れても大きなカートが2台満載になってしまい甚だ動きにくく「爆買い」な感じがいささか恥ずかしかったものです。 週末などだったりすると人混みの中で取り回しが大変で、途方に暮れて休憩していると同じような人がまあまあ居るのに気づきました。お互い気になって、声をかけたりかけられたりしてみるとやはりディスプレイ用品の「買い出し組」でした。巨大な店舗には次々に色々な人が訪れてくるのですが、何を買っているのか?何のために買っているのか?様々な事情が面白いのです。さながらNHKテレビの『ドキュメント72hour』みたいな体験です。

 

以前のIKEAはオンラインストアもなく、とにかく自分で行って、選んで、買って、運んで組み立てないといけませんでした。最近ではオンライン通販はもとより商品倉庫内の商品ピックアップサービス、大量でも格安で定額の配送サービス、組み立てサービスなども登場しています。知らない人とカート脇でブツブツ言っていた頃になんとかならないかと思っていたことが、次々とレギュラーサービスに組み込まれ実現していっています。お客の不満を捉えて常に研究しているのでしょう。

 

「そりゃ売れるわ。。」率直な感想です。

 

 

 

これを発見した時、それは嬉しかったです

 

 

工務店経営者が意識すべきこと

 

IKEA売上げの一角を思った以上にプロユースが占めているようです。プロも一般の人と同じ店で同じ価格で物を買っているのも最近の傾向です。単に物の仕入れ価格に利益をのせて買ってもらう商慣習の範囲は確実に狭まっています。それ故に利益は明快な付加価値で稼がないとならなくなってきたということだです。

 

元々営業マンであった私ですが、そんなこんなで何回となくIKEAに通っているうちに、使える使えない、高い安いなど物の良し悪しが見えるようになってきました。また、何がしか生活を良くする欲求を持って足を運んでくる人たちを目の当たりにしていて、多くの気づきがありました。

 

「なんで自分がそこまで」と思って渋々始めたことでもある視点を持って取り組めば、見えない何かがその人だけにそっと「ヒント」を教えてくれるのです。何でもやってはみるものです。

 

 

 

あなたの会社では完成見学会の際にどのくらいしつらえをしていますか?その際に生活する楽しさを色々とシミュレーションしてみる事にトライしていますか?

 

 

 

IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(3)へつづく

 

 

 

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