リノベーション事業への業態転換し、3年間で70棟(2000万円級リノベ)事例&ポイント解説

2022/02/0318:53411人が見ました

 今回は日本ではまだ例が限られる新築工務店からリノベーション会社への業態転換について、概要と事例を下記にまとめます。

 まず業界内の動向ですが、マッチングサイトや工務店YouTuberさんに対してさらに「建て替えかリノベーションか迷っている」という相談が増えているようです。建て替えの値上がりが顕著なのと、リノベーションが認知されてきていることが要因だと考えています。

 日本では2025年の省エネ基準義務化がスタートするようですが、ドイツでは2000年頃に国の方針が既存住宅へシフトしたこともあり、その後、住宅業界の雇用人口は約6割になったと言われていますが、住宅全体の需給バランスが変化する中で、リフォーム・リノベーションの専門会社へ業態転換し、活路を見出した例も多く存在します。

 一方、日本ではとにかく新築を追求するという方針でパワービルダーも攻勢をかけていますし、性能面を訴求した新たな規格住宅も出てきており、ドイツのような産官が連携しストック住宅の活性化を加速させるような動きはまだ弱いのが現状です。市場縮小が確実視されている中、各社の経営判断が問われている状況です

※全業界のうち、業態転換の予定ありが20.3%(帝国データバンク、11479社集計/20211月発表)

  工務店経営はできるだけ同じ業態、同じ業態で事業展開していくことが基本ですが、外部環境がこれまでの延長戦上では成果を出しにくくなった場合は、もちろん本体の規模にもよりますが、中には業態転換という選択肢が浮上する会社も出てきます。

 ただし、市場の変化(規模、成長性)、競合状況、自社の経営資源の適合という視点で、判断し、業態転換を図るべきで、下記にポイントを記載します。

 

<業態転換のポイント>

・トレンドではなく大きな潮流を見る

・自社(新築事業)の強みを活かせるかどうか

・会社のDNAとの融合

・強みや差別化要素は独りよがりではなく、市場、顧客視点で付加価値となるものか

・強みや差別化要素は他社にとって模倣しづらいか

・販促コストの最適配分(投資すべき要素はどこか見極める)

・新業態の顧客接点すべてにおいて、クオリティを高めること、一貫性を持たせること

・新築事業と同じ要素、同じでない要素を見極める

 

<業態転換事例(山陰エリアY社)>

 今後の市場の変化を見据えて、新築工務店からリノベーション専門会社へ業態転換した例があり紹介します。

・転換前(2017年当時)

新築工務店(社員4名)、知人・紹介中心で年商2億円

・転換後(202112月現在)

リノベーション専門会社(社員13名)、ほぼ2000万円級の新規顧客で年商5億円

 当初、案件が発生しても、営業面で課題があり、契約まで時間がかかった時期もありましたが、現在では直近3年で2000万円級の戸建リノベーション案件を70件成約できるまでに成長されています

  立ち上げ前の準備段階からサポートさせていただいていますが、小さな工務店ならではの敏捷性と最適な全体設計を描き、強力なトップダウンにより集客起点、コンテンツと発信、営業フロー等各要素をやり切ったことで、早期に軌道に乗せることができたとつくづく感じます。

 日本でも業態転換という動きはこれから35年で増えてくるかもしれません。人口動態が変化し閉塞感が強まっているからこそ、難しい局面を迎えている住宅業界だからこそ、戦術レベルでは限界があり、自社の存在意義、自社の強み・DNA、自社が目指したい姿、自社は何をすべきか、それらが重なるところに、きっと最適解があるはずです。そして、その実現に向けて、やり切る会社が活路を見出せると考えています。

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