工務店の生産性をICTを活用して加速させる

2019/06/0913:39243人が見ました

はじめまして、大分の工務店 ㈱坂井建設でWEB事業部のマネージャーをしています、渡辺 洋一郎と申します。 このチ力ラボを通して、企業のICT化への知識共有のお手伝いができればと思い、記事を書かせていただくことになりました。

坂井建設では、ICT化を推進し社員のやりがいを高め成長しつづける企業を目指して日々頑張っています。また改めて私の業務内容等は書かせていただくとして、本日は坂井建設の取り組みについてお話させていただきます。

ICTって何?

ICTとは、「Information Communication Technology」の略語で、日本語では、「情報通信技術」として表すのが一般的です。IT 「Information Technology」とほぼ同義語であると言われていますが、ITは、情報通信技術そのもの、ICTは「Communication」をプラスすることでIT技術を活用し効率化を図ること、と覚えておくと良いかもしれません。

ICT化について

私が働き方改革で感じていること

世間では「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」成立したことで「働き方改革!働き方改革」と騒がれています。 また、大手ハウスメーカーが「プレミアムフライデー」の実施を行うなど建設業界でも長時間労働の削減への取り組みが行われています。

そんな中私が感じているのは「働き方改革」の本質はあまり理解されていないことです。

残業することが「悪」早く帰ることが「正」となっているように感じます。単に働く時間が短くなれば、今までの業務時間で稼いでいた売上は確保できなくなり収益は下がってしまいます。これでは企業は衰退していくしかありません。

時間短縮と生産性向上の違いを理解する

では限られた時間の中で、企業は今まで以上の収益を確保していくのか?これはどこの企業でも課題でしょうし、社長様も感じていらっしゃるのではないでしょうか?そんな時に、キーワードとして上がってくるのは、

「時間短縮」と「生産性向上」です。

「時間短縮」と「生産性向上」は働き方改革の上では、同じような意味で捉えられることが多いように感じます。ですが実際はまったく異なる意味合いの言葉です。

単に働く時間が短くなると従来のやり方では時間内に業務を終わらせることはできません。これはただ単に時間短縮しただけですね。時間の概念だけなので、利益の要素は含まれていません。契約は思うように取れなくなり、工事は終わらない…そうなれば、経営状況は悪化しやがては終焉を迎えます。

一方で限られた時間の中で以前よりも成果を向上させること、例えるなら1時間あたりの売上比率を向上させることです。時間軸に利益の要素が加わり、成果を計ることができます。私はこれが生産性の向上だと定義しています。

生産性向上の鍵は?

坂井建設では、生産性を向上するため、ITを活用し1時間あたりの生産性(利益 / 時間)の向上に取り組んでいます。

具体的には

  1. ・物を探す時間
  2. ・移動時間
  3. ・書類の作成時間
  4. ・会議の時間

などバックオフィス(社内業務)をIT活用することで仕組み化を行い、利益に直結するフロントオフィス(営業活動、お客様と直接対峙する業務)に使える時間のシェア率を増やすことを行っています。

そうすることで、以前よりも働く時間は短くなっても、営業活動の時間は増やすことができます。もちろんそれだけで急に状況や成果が変わるというものではありませんが、坂井建設の経営において大事な要素の一つです。

覚悟を決めた瞬間

ICT化とは別にもう一つ取り組んでいることがあります。それは「働く時間に制約を設ける」ことです。取り組みを始めた5年前全員で「22時以降働かない!」と覚悟を決めました。提案したのは代表です。

もちろん、反発する社員も多かったです。坂井建設も最初から生産性が高かったわけではなく、時間を費やして成果を出していた工務店でした。今思えば深夜まで働く理由は会社を成長させて行くために必要なことだと認識していました。

ですが、全員がそのように思えるわけもなく一部の社員はおそらく「なんでこんな遅くまで働かなければならないのだろう…」そう思っていたでしょう。当時社内で風邪が流行ると、体調が悪くなる社員が多かったと記憶しています。このままの働き方では、長く持たない…そう代表は感じていたのかもしれません。

そんな矢先に国会で働き方改革法案の推進が始まり、坂井建設では、22時全消灯するルールが始まりました。そしてその時間は、22時、21時と徐々に早くなり現在は20時30分消灯に設定されています。

どのくらいの変化が起きたのか?

具体的に制約を設け業務を行うことでどのような変化、成果がでたのかグラフにしてみました。

残業時間のグラフ

当時社員1人あたりの年間労働時間は2016年8月〜2017年7月の約3,100時間に比べて、2017年8月〜2018年7月は約2,600時間まで削減することができました。約60%の削減ということになります。

これだけでは時間削減ですが、これに売上の要素を加えてみます、同じ期間の売上高を比較すると、14億5,000万円から14億6,000万円となります。働く時間は60%も減ったのに、売上高はほぼ同じ。生産性は以前の倍以上になったことがご理解いただけると思います。

時間削減と利益の対比を意識してはじめて生産性向上と言えるのではないでしょうか?

大事な指標[粗利 / 時間 ÷ 人]

時間あたりの生産性について

これは坂井建設の生産性指標の1つです。正確には、「MQ / H ÷ 人」なのですが、ここではわかりやすく記載してます。ちなみにMQはマージンクオンティティの略で粗利のことです。この方程式は、商品を販売しどれだけの粗利が出て、その粗利から時間的コストと人的コストを割り、1時間あたりのMQ(粗利)を算出する意味を表しています。

例えばどんなに粗利が高い住宅商品でも、工期が長ければそれだけのコストがかかってしまい、1時間あたりの利益額は少なくなってしまいます。そう考えるとこれからのコスト削減は、時間軸も意識していく必要があります。

本日のまとめ

ICTツールを活用し業務を効率化するだけではなく、生産性の向上が鍵だと思います。月あたり、週あたり、1日あたり、1時間の利益額をアップさせるためのキーワードは「Hour」だと考えています。

特にバックオフィスで効率化が図れない原因は、「二度手間」です。何度も同じような書類を作成したり、情報の転記を行う書類が多いなど、業務フローのムダを省きシンプルにすることが、生産性の向上に繋がります。そのためには、便利なもの(IT)に任せ、本来人がしなければならない仕事に時間を使うことが重要だと思います。

従来のやり方だけにとらわれずに、業務の改革を行う、そうすることでお客様と向き合う時間と、次の一手(戦略)を考える時間を増やす!単に時間圧縮や、NO残業ではないことを理解することが重要です。

ポイント

  1. ・時間短縮と生産性向上の違いを理解する
  2. ・生産性向上の鍵は、バックオフィス業務の改善
  3. ・時間軸と利益の関係性が重要「粗利 / 時間 ÷ 人」

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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