地域と切ってもきれない関係にあるのが地方工務店だ。だが当たり前のようにその地域の誰もが知っていて、紹介で仕事が続く時代は過ぎ去って久しい。「どのように知られたいか?」指向性を定め、工務店ならではのPR戦略を持つべき時代に入っている。業界に先駆けて広報企画室(=イノベーションラボ)を設立し施策を実践、ノウハウを蓄積する長野の工務店・サンプロからPR戦略をお届けします。
チカラボ特別版の第1回は、工務店にとってのPRの目的とは何か?をお伝えします。
今回から地方工務店のPRというテーマで解説をさせて頂きます、小松昭と申します。私は信州、長野県の工務店、サンプロ建築設計でイノベーションラボという、簡単に言えば広報企画部の責任者をしています。元々大手広告代理店に務めていた経歴を買われ、昨年故郷である信州に帰ってきました。早速ですが、私がこの業界に入り広報を担当することになって驚いたのは、PRという概念の誤解と、未熟さです。まず、“PR”の意味について、一度考えてみてください。
思い浮かべたことと一致していたでしょうか?本来、上記のように定義される“PR”ですが、PRをPromotion(販売促進)とお考えの会社も多いのではないでしょうか?「これを買ってください!」はPromotionであって、PRではありません。人間に例えるとよくわかるのですが「私はこういう人間です(信頼してください)」これがPRです。そして、このPRによって形成されていくものこそ“企業ブランド”なのです。
ブランドをつくるのにPRは不可欠
「あの会社は信頼できる会社だ!」「この会社にはこんな点で共感できる!」そういう状態を創ることができれば、自社Product(商品)のPromotion(販売促進)はより効果を増すでしょうし、適正な利益を確保しやすくなることは想像に難しくありません。これは、身近にあるブランド企業(スターバックス、Appleなど)をイメージして頂ければより分かりやすいかと思います。
しかし、PRをおろそかにしPromotion(販売促進)のみに傾倒している会社が大多数というのが、我々住宅業界の現実ではないでしょうか。
その先にあるのは価格競争です。皆さまの会社の一番の武器は何ですか?最終的に「値引き」が一番の武器になってはいませんか?
PRの重要性に規模は関係ない
今回から数回(隔月)にわたり、こちらの連載で解説させていただく狙いはPRという企業活動を住宅業界に浸透させること。その重要性に気づいていただくことです。
このチカラボに触れる工務店を中心とした企業様の中には、サンプロを知って頂いていて、サンプロは大きいから、工務店というよりほぼメーカーだから、あまり参考にならないなどと思われる会社さんもいらっしゃるかもしれません。前述の通り弊社には「イノベーションラボ」というPR専属の部署があり、サンプロという企業全体のプロデュースをしていることが理由の一つではあるでしょう。
しかし、PRという考え方をしっかり理解すると、企業の大小にかかわらず「企業ブランド」に直結する重要性が見えてくると思います。
サンプロ建築設計(サンプロ)とは?
1996年長野県塩尻市で創業した工務店。リフォーム事業から新築、不動産と多角化し、顧客にワンストップの長期的な価値を提供する「トータル住生活事業」を展開。また、「信州の暮らしをデザインする」を理念にメディア露出やマルシェの実施など地域価値の向上と共にブランド価値を高める取り組みを進めている。一方で社員総出の経営会議、ナンバー2マネジメントなどにも積極的で、モチベーションの高い個性的な社員も強み。長野県全域で継続した売上を上げている。
コメントをもっと見るコメントをもっと見る