朝、誰がカーテンを開けていますか? ― 窓まわりの電動化は、家族の生活リズムまで変える

2026/10/3109:1520人が見ました

窓まわりの打ち合わせは、カーテンレールを付けるかどうか、どの色にするかで終わってしまいがちです。でも、窓は「開け閉めの仕方」まで考えると、暮らしそのものを変える設備になります。

私は以前、自宅の窓すべてに電動のロールスクリーンを入れ、時間が来ると自動で開閉するようにしました。結論から言うと、いちばん変わったのは便利さではなく、家族の生活リズムでした。この記事では、そのときの経験をもとに、新築やリノベーションの段階で窓まわりの電動化をどう提案するかをご紹介します。

私が使っていたIKEAの製品は、いまは販売されていないため、同じ充電式の現行品のリンクを載せておきます。

購入ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0DFG8B5N9?tag=hidenori2458-22

公式サイト:https://www.kimuras.jp
X:https://x.com/hidenorikimura
LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/hidenorikimura/

 

目覚ましより、窓が開くほうが起きられる

 

ロールスクリーンや掃除ロボットなどを時間で動かしていた1日のスケジュール

ロールスクリーンや掃除ロボットなどを時間で動かしていた1日のスケジュール

 

当時の我が家では、平日の朝6時15分になると、まずキッチンのロールスクリーンが開きます。私はこの時間から妻のお弁当を作り始めるので、開くまでに支度を済ませておく、という使い方でした。

キッチンが少し明るくなると、妻が起きてきます。そして6時50分に残りの窓がすべて開くと、娘が自然に目を覚まします。声をかけて起こさなくても、部屋に光が入るだけで家族が動き始めるようになったのです。

夕方も同じです。照明が点き、ロールスクリーンが閉まるのを目安に仕事を切り上げ、娘が遊んだおもちゃを片付ける。そんな流れが、毎日自然にできるようになりました。

自動化と聞くと、楽をするためのものに思えるかもしれません。でも実際には、毎日決まった時間に動くものがあると、人はそれに合わせて動くようになります。私が感じたいちばんの効果は、この「生活のリズムを整えてくれる」ことでした。

 

日本の家こそ、ロールスクリーンが向いている

 

カーテン・ブラインド・ロールスクリーンの比較

カーテン・ブラインド・ロールスクリーンの比較

 

日本の住宅では、薄手のカーテンと厚手のカーテンの二重吊りか、ブラインドが主流です。ただ、「窓を気持ちよく使う」という視点で比べると、私はロールスクリーンをおすすめしています。

カーテンは開けた状態でも布の存在感が残ります。ブラインドは閉じたまま光を入れられますが、羽根にほこりがたまりやすく、仕組みも複雑です。その点、ロールスクリーンは開けてしまえば窓の上に収まり、窓がそのまま見えます。窓が大きくなく、部屋の広さにも限りがある日本の家には、この「開けたときに何も残らない」良さがよく合います。

 

窓の上にすっきり収まった状態

窓の上にすっきり収まった状態

 

明るいうちは開けておくほうが、部屋はずっと気持ちよくなります。リノベーションに携わっていて、いつもそう感じます。ところが、昼間も薄手のカーテンを閉めたままの家は少なくありません。自動で開く仕組みがあれば、開け忘れがなくなり、部屋の広さも光も毎日きちんと使えます。

もちろん、ロールスクリーンは閉めると光が入らず、外も見えません。道路に面した窓など、昼間も視線を遮りたい場所には向かないので、そうした窓は別の方法を考えます。すべての窓を同じにしないことも大切です。

 

電源を取らなくていい、という選択肢

 

IKEAの充電式の電動ロールスクリーン「FYRTUR」(写真:IKEA)

IKEAの充電式の電動ロールスクリーン「FYRTUR」(写真:IKEA)

 

電動ブラインドが普及しにくい理由の一つは、電源です。窓の上にコンセントがなければ工事が要りますし、入居後に後付けしようとすると、配線が目立ってしまいます。

私が使っていたIKEAの「FYRTUR(フィルトゥール)」は、バッテリーで動く充電式でした。気になっていた充電の頻度は、実際に試してみると半年以上充電せずに使えました。動作音もとても静かで、開閉の音で目が覚めることもありませんでした。以前見学したスマートハウスで、他社製の電動ブラインドの音の大きさに驚いたことがあるので、ここは大事な点だと思っています。

 

取り外して充電できる充電式のバッテリー(写真:IKEA)

取り外して充電できる充電式のバッテリー(写真:IKEA)

 

ただ、不満もありました。リモコンは1回押しただけでは反応しないことがまれにあり、1台につき1つのリモコンとしかペアリングできませんでした。窓ごとのリモコンと部屋全体のリモコンを両方作ることができなかったのです。

 

壁に並べたリモコン。窓ごとに名前を付けている

壁に並べたリモコン。窓ごとに名前を付けている

 

それでも、壁にリモコンがあることには大きな意味があります。アプリや音声で操作できても、手元のボタンで済ませたい場面は意外と多いからです。家族全員が迷わず使えるという点でも、物理的なスイッチは残しておくことをおすすめします。

 

いま提案するなら、何を選ぶか

FYRTURは、2026年10月に確かめたところ、IKEAの日本のサイトでは取り扱いがなくなっていました。IKEAは海外向けのサイトでも、スマートブラインドの後継は出していないと案内しています。

ただ、選択肢はこの数年でむしろ増えました。

  • SwitchBot ロールスクリーン:充電式で、満充電で最長8か月使えるとされています。幅58〜185cmの4サイズで、生地を裁断して窓に合わせられます。別売りのソーラーパネルを併用すれば、充電の手間も減らせます。Amazonでの価格は1台およそ2万円から3万3千円(2026年10月時点)です。Alexa、Google Home、Siri、Matterとの連携には、別売りのハブが必要です。
  • タチカワブラインド「ホームタコス」:国内メーカーの電動ロールスクリーンで、コンセント仕様とバッテリー仕様があります。窓の近くにコンセントがなければバッテリー仕様を選べます。

施工後の相談先まで考えるなら国内メーカー、費用を抑えて始めるならSwitchBotのような製品、という使い分けになると思います。

 

新築・リノベーションの段階で押さえておきたいこと

充電式なら、あとからでも付けられます。ただ、きれいに、確実に使える状態にするには、やはり設計の段階で考えておくほうが有利です。

  • 窓の上に、ビスの効く下地を入れておく(将来の取り付けまで見込んで、窓より広めに)
  • 窓枠の内側に付けるなら、枠の奥行きを確かめる(SwitchBotは7cm以上、完全に収めるなら9cmが目安)
  • 寝室のようにしっかり遮光したい窓は、窓枠の外側に付ける前提で考える(内側に付けると左右に隙間が出ます)
  • 高い窓や吹き抜けは、充電のたびに脚立が要るので、コンセント仕様を前提に窓の上の電源を計画する
  • ソーラーパネルを使う窓は、パネルに光が当たる位置かを確かめる
  • ハブ(連携の親機)の置き場所を、電源とあわせて決めておく(我が家は1か所のゲートウェイで4台を動かしていました)

 

FYRTUR4台とゲートウェイの配置

FYRTUR4台とゲートウェイの配置

 

ここは、工務店の皆さんにぜひ押さえておいていただきたいポイントです。窓まわりは「カーテンは施主様のほうで」と、打ち合わせの最後に回されやすい部分です。そこで「この窓は朝、自動で開くようにできます。下地だけ先に入れておきましょう」と提案できると、費用をほとんどかけずに将来の選択肢を残すことができ、それだけで他社との大きな差になります。

特におすすめしたいのは、お子様のいるご家庭です。朝、子どもを起こすのは毎日のことなので、「お子様の部屋の窓を、起きる時間に開くようにしませんか」という一言は、設備の説明よりずっと施主様に伝わります。共働きで朝の時間が足りないご家庭にも響く話です。

全部の窓を一度に電動にする必要はありません。まずはキッチンと寝室の2か所に絞ると、費用を抑えながら効果を実感していただけます。モデルハウスの寝室に1台入れて、打ち合わせ中に実際に開いてみせるのも、いちばん伝わる方法だと思います。

 

窓は、毎朝の始まりをつくる設備になる

窓は光を入れる開口部です。でも、開け閉めまで設計すると、家族の1日の始まりと終わりをつくる設備になります。私自身、ロールスクリーンを自動にしてみるまで、ここまで家族の動きが変わるとは思っていませんでした。

カーテンを開ける役割を、毎朝誰かが担っている。その小さな手間を家が引き受けてくれるだけで、朝の空気は変わります。下地を1本入れておくだけで、その暮らしを先の選択肢として残せます。

「カーテンは入居してから考えましょう」で終わらせず、窓まわりを暮らしの話として提案できること。それが、選ばれる工務店になるための一つの近道だと私は考えています。

 

Amazonのアソシエイトとして、木村ヒデノリは適格販売により収入を得ています。

 

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