大きな窓の外側、どうやって掃除するか説明できますか? ― 手が届かない窓は、メンテナンスまで含めて設計する

2026/11/0221:5121人が見ました

大きな窓、高窓、吹き抜け。どれも施主様に喜ばれる提案ですが、「この窓、掃除はどうするんですか?」と聞かれたときに、すぐ答えられるでしょうか。

結論から言うと、高い窓は「掃除の方法まで説明して」はじめて提案が完成します。私は窓拭きロボットを数年使い続けてきましたが、とても便利な一方で、万能ではないことも分かりました。この記事では、その経験をもとに、手が届かない窓のメンテナンスをどう設計に組み込むかをご紹介します。

購入ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FSKG1CGR?tag=hidenori2458-22

公式サイト:https://www.kimuras.jp
X:https://x.com/hidenorikimura
LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/hidenorikimura/

 

窓拭きは、貼り付けてボタンを押すだけになった

 

ガラス面に吸着して動く窓拭きロボット「HOBOT-R3」

ガラス面に吸着して動く窓拭きロボット「HOBOT-R3」

 

私が使っているのは「HOBOT-R3」という窓拭きロボットです。ガラスに貼り付けてスタートを押すと、洗浄液を吹き付けながら水拭きと乾拭きまで済ませてくれます。人は終わるまで別のことをしていられます。

 

丸いパッドを回転させて汚れを拭き取る

丸いパッドを回転させて汚れを拭き取る

 

本体は約930gと軽く、吸引力でガラスに張り付きます。2022年の発売時は4万5,800円でしたが、今は国内の取り扱いをLIXILが担っていて、LIXILの公式セットがAmazonで3万7,500円でした(2026年11月時点)。施主様が入居後に自分で買える価格で、新築のお祝いの品としても無理のない金額だと思います。

 

ロボットにも「できないこと」がある

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。窓拭きロボットがあれば高い窓も大丈夫、と説明してしまうのは危険です。

1つ目は、貼り付けるのも外すのも人だということです。ロボットはガラス1枚の中を上まで動いてくれるので、背の高い窓でも脚立はいりません。ただし、それはガラスの下のほうに人の手が届く場合の話です。下端が床から3mの高窓は、ロボットがあっても脚立か足場が必要になります。また、枠を越えて隣のガラスへは移れないので、貼り替えはガラス1枚ごとです。

2つ目は、外側に手が出せない窓は掃除できないということです。はめ殺しの窓は、室内側は拭けても、外側に貼り付ける手段がありません。開く窓でも、手の届く範囲にしか貼れません。

3つ目は、電源と落下対策が要ることです。HOBOT-R3はコード式で、バッテリーでは動きません。停電しても約20分は張り付いたまま警告音で知らせてくれますが、2階以上の窓の外側で使うなら、付属の落下防止ロープは必須です。

 

本体からコードと落下防止ロープが下りている

本体からコードと落下防止ロープが下りている

 

ロープを結ぶ先は室内の動かないものになるので、高い窓ほど「どこに結ぶか」を考えておく必要があります。万一に備えて、使っている窓の真下には人が入らないようにし、風の強い日や雨の日は外側で使わない。このことも施主様にお伝えしておきたい点です。

 

使う前に確かめたい、ガラスの種類

もう一つ、窓そのものの条件があります。公式の案内やこれまでの経験から、次の点を確かめておくと安心です。

  • フィルムを貼った窓:LIXILは同じシリーズの「HOBOT-2S」の案内で、吸着が足りず落下の恐れがあり、フィルムを傷つける可能性もあるとしています。遮熱や飛散防止のフィルムを貼る予定があるなら、掃除の方法も一緒に考えます。
  • 枠とガラスの段差が小さい窓:同じ案内では、ガラス面と窓枠の高さが5mm以下の窓や、周囲のシール材が薄い窓は、自動運転で使えないとしています。枠が目立たない納まりの窓は、ロボットが端を見つけられない可能性があります。
  • 型板ガラス・すりガラス:曇りガラスに対応している機種もありますが、凹凸が深いと吸着しにくくなります。実際のガラスで確かめるのが確実です。
  • Low-E複層ガラス:多くは金属膜が中空層の側にあり、ふつうの掃除で膜に触れることはありません。ただし、膜が室内や屋外に面した製品は傷に弱いので、ガラスメーカーの資料で確かめます。
  • 網入りガラス:割れや錆の原因になるので、ガラスの端に水分を残さないことが大切です。また、フィルムを貼ると熱割れの条件も変わるため、貼る前にガラスメーカーへの確認が必要です。

厚みについては、HOBOT-R3は発売時の仕様で「全ての厚みに対応」とされていました。ただ、仕様は機種によって変わることがあるので、施主様にお伝えする前に、その時点の取扱説明書を確かめてください。

また、強い直射日光が当たって熱くなったガラスは、掃除に向きません。ガラスの掃除は、日差しの弱い朝や夕方を選ぶのが基本です。

 

汚れは、ためないほうがいい

 

時間がたった汚れは、ロボットでも落ちにくい

時間がたった汚れは、ロボットでも落ちにくい

 

もう一つ、使ってみて分かったことがあります。時間がたった汚れは、ロボットでも簡単には落ちません。私も、数か月に1回の掃除では落ちない部分が増えていくのを経験しました。

つまり、年末の大掃除に1回だけ使うより、窓ごとに順番を決めて、こまめに動かすほうがきれいに保てます。そのためには、すぐに取り出せることが大事です。私が使っているR3は本体が小さいので、窓の近くに置き場所をつくるのも難しくありません。

 

設計の段階で押さえておきたいこと

掃除のしやすさは、入居後に工夫するより、図面の段階で決めるほうがずっと簡単です。

  • 高窓は、ガラスの下端に手が届くかを確かめる(ホールの腰壁、キャットウォーク、室内の小窓など、手が届く場所をつくる)
  • はめ殺しの窓は、外側を誰がどう掃除するかを決めておく(バルコニー、庇、足場の掛けやすさ)
  • 大きなガラスは、分割の仕方まで考える(ガラス1枚ごとに貼り替えることになります)
  • 窓の近くにコンセントを用意する(高窓のそばの1口があるだけで、コードの取り回しが変わります)
  • ロープを結ぶ固定点を決めておく(手すりや下地の入った金物など)
  • ロボットの置き場所を、窓の近くの収納に用意する
  • フィルムを貼る予定の窓は、貼る前に掃除の方法を決めておく

ここは、工務店の皆さんにぜひ押さえておいていただきたいポイントです。窓の提案は、開放感や採光の話で終わりがちです。そこで「この窓の外側は年に1回、業者に頼むとこのくらいの費用です。内側はロボットで拭けますし、そのためのコンセントもここに用意しました」と説明できると、施主様の不安を先回りして取り除くことができ、他社と差別化できます。

大切なのは、良いことだけを言わないことです。「この窓はご自身では掃除できません」と正直に伝えたうえで、方法と費用まで示す。そのほうが、施主様は安心して大きな窓を選べますし、引き渡し後のクレームも防げます。

引き渡しのときに「お手入れの説明書」を1枚お渡しするのもおすすめです。窓ごとに、自分で拭ける窓、ロボットで拭ける窓、業者に頼む窓を分けて書いておくだけで構いません。モデルハウスの大きな窓で実際にロボットを動かしてみせると、話もいっそう伝わると思います。

 

窓の魅力は、きれいなうちに続く

大きな窓は、外の景色と光を毎日届けてくれます。でも、その窓が汚れていると、魅力は少しずつ薄れていきます。いつの間にか汚れている窓は、住む人が気づかないうちにストレスにもなります。

私の家は集合住宅で窓もそれほど多くありませんが、それでもロボットは手放せなくなりました。窓の多い戸建てなら、窓拭きの負担はもっと大きいはずです。

「大きな窓にしましょう」で終わらせず、「10年後もきれいに保つ方法」まで一緒に提案すること。それが、施主様に長く信頼される工務店になるための一つの方法だと私は考えています。

Amazonのアソシエイトとして、木村ヒデノリは適格販売により収入を得ています。

 

IoTの選定、物件のコンサルについて
ご質問、お仕事の依頼はこちら:https://www.kimuras.jp/contact/

一覧へ戻る