■まず、はじめに
はじめまして、PASSIVE DESIGN COME HOME 木村です。私が、今後みなさんにお話をしていきたいのは結論から言うと「中高価格帯にパッシブデザインのノウハウを付加価値として加え事業化しましょう!」という内容です。
先日、ナガオカケンメイさんをはじめとした講師の講演があった、新建新聞社/新建ハウジングさんの「住宅産業予測フォーラム2019」にはご参加されましたか? その中で、同社の三浦社長からもお話がありましたが、「価格競争されない」という事が、今後の中小工務店の生き残りをかける上での一つのキーワードになってくると私は思っています。
ローコスト住宅では、価格競争ばかりで、よほど大量仕入れを行わない限り、中小工務店では体力が持ちません。100棟ビルダーくらいにならないとなかなかキツイかと思います。もしくは、社員が頑張って残業するか自宅に仕事を持ち帰って、お客様からのプランや仕様の変更地獄に付き合いながら、売上を維持するのか?・・・。
そうなると、会社は疲弊した社員の社員満足の為に、自己啓発セミナーなどにお金をかけて、社員満足を高めようとします。それってどうなんでしょう?・・・。 社員の為にも、会社の為にもなるんでしょうか? 私は、それだけでは、社員の満足度は上がらないと思います。逆にただでさえ忙しいのに、そういうセミナーなどの勉強会に時間を取られてさらに疲弊してしまいます。
それよりも、もっと建築の勉強をさせて自信をつけさせ、お客さまをどんどんリードしていく。提案していく。真の住宅コンサルティングができれば、若い社員であってもお客様から信頼されて、ひいてはその信頼から変更もなくなり、かえって効率化されるでしょう。
新入社員も最初は理想に燃え、社長を信じて頑張るでしょう。ですが3年もすると、だんだんと疑問を抱き始めて、5年もすると不平不満の日々となってきます。売上に追われて、1物件をこなす事ばかりに集中し、できればお客様とのコミュニケーションなど取りたくない・・・。そんな負のスパイラルが見えてきます。建築業界に言えるのは、もっと建築の勉強をしなくてはいけないということです。
これまでは、売れている商品などを取り入れて、ある程度適当にやっていても、ホームページなどの見せ方や売り方が上手な会社が売上を伸ばしてきました。でもこれからは、人口減少から新築着工棟数も減り、ある程度住宅会社も淘汰されてくると、お客様が住宅会社を厳しい目で選ぶ時代時なってきます。そうなると、その住宅会社の薄っぺらさはすぐに見抜かれるようになってきますし、売れている商品を導入して売れるということは、ライバル会社に真似されて、やがて価格競争になっていきます。
また、商品住宅や規格型住宅も会社の売上や利益の為には一時的には良いとは思いますが、営業力があれば売れるだけで、設計力や施工力のアップには繋がりません。建築を勉強してきた者や真面目に住宅をやりたい社員にとっては、「それって楽しくないし、自分の成長に繋がらない・・・。」という事になってしまいます。
これからは、もっと家づくりの本質的な部分で、家づくりを考えていかないと中小の住宅会社はお客様にも選ばれないし、社員からも選ばれないと思います。
■パッシブデザインを自社のブランドに付加価値として加える
私は以前、パッシブデザインの事業化の講師として、前職の会社と全国的に有名な建築コンサルティング会社との業務提携で約130社にノウハウ提供していました。どうなったかというと、「売れてない会社は、これに賭ける!」「売れている会社は、とりあえずノウハウ買い」そんな感じでした。
売れていない会社でも、これに賭けると思ってやれば大きく変貌しましたが、パッシブデザインがこれまでの住宅商品と同じ感覚で、導入したらすぐ売れると思った会社さんは上手く進まなかったのが事実です。
売れている会社はどうだったかというと、前述の通りとりあえずはノウハウ買いをしたものの社員も経営側も「それどころではない」と売上と利益に追われる日々でした。しかしながら、ここに来てそれが変わろうとしてきています。大きな会社であっても、「さらなる受注アップと社員のスキルアップの為にパッシブデザインをやりたい。」と再度勉強を始めたり、新たに「若い社員に勉強させたい」と勉強をスタートさせる会社が出てきました。
さらに、勉強が深まりお客様の共感を得ながら、実際に提案して受注して家を建てることができるようになり、引き渡しした後もお客様から感謝されて、仕事への満足度が高まるだけでなく、省エネ社会への貢献という家づくりの誇りも社員に生まれてきます。
■パッシブデザインとは?
一口にパッシブデザインと言っても、色々な考え方があります。私が考えるパッシブデザインは、次の通りです。
~パッシブデザインとは、快適と省エネを両立するもの~
ある程度の断熱性能(「HEAT20」G1からG2グレード以上)を確保した上で
冬は南の窓からの沢山の太陽熱をしっかりと室内に取込み
夏は窓からの太陽熱が入らないように、庇、ルーバー、シェードなどを設置する
庇は冬の為には長すぎず、夏の為には短すぎず
これを、計算や日照シミュレーションを繰り返しながら設計を行う
さらに、暖冷房器具、換気扇、給湯器、照明計画、などを適切にアドバイスしながら
窓の設置場所や種類なども考慮しながら
小さなエネルギーで快適に過ごす家を実現さる設計手法の事で
自社のブランドイメージ、外観やディティールがどんなものであるかは問わないもの。
でしょうか?
決して高気密高断熱だけで実現するものではありません。設計者がいかに太陽熱や風という自然エネルギーを考慮しながら、計算や日照シミュレーションを繰り返しながら設計を行うものなのです。
以上のようなパッシブデザインの内容と、パッシブデザインを通じて、
①どう集客し
②どうセミナーなどの勉強会を開催し、顧客をファン化させ
③どうプレゼンをして、受注につなげ
④どうパッシブデザインのPDCAサイクルを回すのか?
⑤パッシブデザインの計算や日照シミュレーションなどをどうマスターし効率化するのか?
「『面倒くさい』を効率化して、顧客の信頼を勝ち取る」というテーマで、このチカラボを通じて少しずつ情報発信しながら勉強会も随時開催していきたいと思います。