価格競争から脱却する! 「中高価格帯の事業化」
~パッシブデザインによる付加価値戦略~
今回のテーマは「パッシブデザインの日射熱利用暖房は最高に楽しい!」
「お客様は、家づくりを始める時にお客様は何を検討材料にするのか?」
1位:価格
2位:耐震
3位:デザイン
4位;省エネ
5位:快適
こんな順番だそうです。
価格は安いほうが良いでしょうが、
「安かろう悪かろうだったらどうしよう。大丈夫だろうか? ・・・・。」
と安いことへの疑問を持つことさえ出てきます。住宅の価格は安ければ良いというものでなく、
その住宅の価値に相応した価格であるかがお客様に判断されます。
ちなみに、住宅の平均価格は2900万円前後だと言われています。ハウスメーカーの住宅が高いことや、超高級住宅もあるのが要因にはなっていますが、それでも2500万円以上の住宅が5割も超えているのも事実です。「住宅を建てているのは7割が工務店」という事は、中小工務店は、比較的ローコストな住宅を沢山の会社で取り合いをしているという事になります。
そこには、価値提案が薄れた激しい価格競争が存在しています。結局は、価格的強者である大量仕入れをできるものしか生き残れません。
価格競争に打ち勝つために、沢山のコストをかけて商品開発や、多くの資金を投入して企画商品住宅の購入。ナチュラル・スタイリッシュ・南欧風・北欧風、・ブックリン、平屋・中庭・狭小、BBQのできる家・ガレージのある家・ママ目線の家。確かに一時的には売れたりしますが、隣のライバル会社も簡単に真似してできてしまうのがネット社会。自ら情報開示をして集客しているのですから仕方ないですよね。そして、結局は価格のスパイラルに・・・。
では、どうしたら良いのか?
ただ単に高くて、どこに価値があるのかわからないような住宅ではお客様に選ばれませんし、
一生懸命自社の理念や家づくりの情熱を訴えているだけでもいけません。ある程度のデザインや基本構造、基本性能のバランスを兼ね備えていないもであることが最低条件です。そして、さらにお客様から値引きを求められないような付加価値をつけなければ選ばれる事はできません。
付加価値をつけるには、住宅そのものとしては、このチカラボの趣旨にもあるように、実務者のスキルを上げるしかないのですよね。設計者の設計力とそれをプレゼンする営業力もひつようになります。
そうやって、付加価値を上げて競合のないエリアで、適正価格でお客様にお届けしていくしか中小工務店は生き残れません。結局、最後は人ということで・・・。
ではその付加価値には何で上げるのか?
真似されないためにはどうしたら良いのか?
真似されないためには、少し時間をかけて経営者も社員も継続的に勉強して、自分たちの家づくりを奥深いものにするべきです。そこに、パッシブデザインも一つ加えてください(もちろん耐震やデザインも大事です。多少“めんどくさい”と思われる計算やシミュレーションを繰り返し行い、自社マニュアルを作成し、効率化していくのです。
「奥深いものは真似されにくい」
「“めんどくさい”を効率化する」
この2つのテーマが、今後の少子高齢化社会による新築着工棟数減少の中で、中小工務店が生き残っていくには、取り組むべきものだと考えています。是非、このテーマにパッシブデザインを活用してください!
ただ、先にお伝えしたいことは、このパッシブデザインの付加価値は今は差別化に繋がりますが
この先、いろんな住宅会社が取り組めば、差別化に繋がらなくなります。ですが、こうして私が時間とお金を費やして取り組んできた内容を公にしているのは、家づくりをする時にはどんな住宅会社でも普通に取り組むべき内容だと思うからです。
そして、日本中にパッシブデザインが浸透して、多くの人々が快適で省エネになる暮らしをして欲しい。子供達の未来を明るいものにして欲しいと思うからなのです。
長くなりました。やっと今日の本題です。
冒頭でお伝えしたように今回のテーマは「パッシブデザインの日射熱利用暖房は最高に楽しい!」
です。
私が目指しているパッシブデザインは、自立循環型住宅の考え方に由来している部分が多いかと思います。そこで勉強した内容は
① 断熱
② 日射遮蔽
③ 通風
④ 昼光利用
⑤ 日射熱利用暖房
でした。ですが、勉強を重ねていくうちにその重要度から考えると
① 断熱
② 日射熱利用暖房
③ 日射遮蔽
④ 通風
⑤ 昼光利用
の順番で意識をしながら、設計をするようになりました。
断熱に関しては、当然のごとくある程度は向上させなければなりません。どのくらい向上させるかというと、このチカラボの前回の記事でもお伝えしたように https://chikalab.net/articles/79
HEAT20で提唱しているG1からG2グレードあたりが適切だと思います。
(HEAT20より)
「じゃあどんな断熱材でこの基準をクリアするのか?」 答えは
「何でもいいです。」「好きにしてください。」「自分たちのこだわりがあれば、それでいいです。」
そんな素っ気ない答えになります。要するにお客様のご予算やご要望、自社の施工体質で最適なものを選べばそれでいいです。わかっている方には当たり前の話ですが、断熱材は性能だけでなく、厚みが重要です。高性能な断熱材でも薄かったら意味がないですし、お客様のご予算に合わないものをご提案しても仕方ないです。
で、こんな断熱材も計算によって検討しなければいけませんが、私はめんどくさいし、眠くなっていました。以前はですが・・・。という事で、断熱の話はオシマイです!
パッシブデザインで面白いのは断然②の日射熱利用暖房です。
日射熱利用暖房の内容で大事なのは、南に沢山窓をつけて太陽熱を室内に入れて冬の晴れた日室内を暖かくして、暖房エネルギーを減らすことです。もちろんエアコンを使用です。
「ではどのくらい南の窓をつけたら暖かくなるのか?」
答えは、LDKとそれに扉や間仕切りがなくつながる空間の床面積(主たる居室の床面積)の20%以上が正解です。
「20%以上なのでドンドンつければ良いのか?」
沢山つければ良いに越したことはありませんが、窓が沢山出来れば家全体の断熱性能は悪くなりますので、晴れた日なら良いですが、曇りや雪の日はただの断熱性能の悪い家になってしまいます。このバランスが難しいのです・・・。
南に窓を沢山つけながらも、UA値やQ値と呼ばれる断熱性能を確保しないといけませんし、当然夏は室内に太陽熱を入れないように工夫しないといけません。
断熱性能のUA値やQ値と夏の冷房期の日射熱取得率ηAC、冬の日射熱取得率ηAHの計算結果を見ながら、冬と夏のバランスを考えて設計・計算・シミュレーションを行います。これを、いかにスピーディーに導き出すかが、パッシブデザインのさらに楽しい部分です。
で、ここからが重要です。
南に沢山窓をつけても、そもそもその窓に太陽熱が当たらないのでは意味がありません。計算上・数字上は沢山太陽熱が入る住宅というはずが、冬暖かくならない場合があります。これは、外皮計算と呼ばれる省エネの計算は、周りの建物や自分の家の側壁などによる南の窓への日影を考慮して計算されていないからです。
南側に家が迫っていたり、東西隣の家が自分の家の南側に建ってたり、中庭プランで両サイドに玄関ホールや和室などがLDK空間よりせり出しているようなプランでは、せっかく南に沢山の窓をつけても太陽熱が室内に入らず、室温が上がりません。どうせ入らないなら、窓を少なくして壁にして断熱性能を高めた方が良いです・・・。
こんな場合はどうするのか?
日照シミュレーションをしっかりやるしかありません!
では、どうやってやるのか?
どうなっていたら大丈夫なのか?
それは、
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