構造計算の必要な荷重とは
木造住宅の構造安全性を確認するために行う構造計算は、建物に様々な荷重(外力)が作用することを想定し、安全性や快適性を計算という手法で確認するものです。
構造計算に用いる荷重とは以下の通りです。
【水平荷重】
■地震力
■風圧力
【鉛直荷重】
■固定荷重
■積載荷重
■積雪荷重
例えば、地震力は建物に対してどの程度の「力」が作用するのかというと、構造計算(許容応力度計算)の場合、耐震等級1(建築基準法で定める耐震性能)で建物の重さの0.2倍の「力」が横方向に作用します。
わかりやすく説明すると、木造住宅の重量が100トンだった場合、地震力は100トン×0.2=20トンの地震力が横方向から建物を押すことになります。この横方向から押す力に対して建物が揺れて変形したり倒壊しないように耐力壁等の設計を行います。ちなにみ耐震等級3は耐震等級の1.5倍の耐震性能なので、100トン×0.2×1.5=30トンの地震力に対して耐力壁等の設計を行うことになります。
*建物の構造や形状により建物重量に対する地震力は変わります。
*建物重量はわかりやすくするための数値です。
次に積雪荷重についてイメージしてもらいます。
雪が多く降る地域は多雪区域として指定されており、屋根に積雪荷重がある状態で構造計算を行います。雪の重さの影響で、建物に作用する地震力は増加します。また、柱や梁の部材寸法も雪の重量により大きくなります。
では、この積雪荷重がどのくらい重いのかというと、
多雪区域の積雪荷重:1m×1mで厚さ1cmの雪は3kgの重さがあります。
雪の量が1m(100cm)だとすると、
1m×1m×1cmで3㎏なので、3㎏×雪の高さ100cm=300kg/㎡となります。
しかし、一年中屋根の上に雪はないため、構造計算では
雪の重量300kg/㎡×0.7=210kg/㎡として計算をします。
この屋根に乗っている雪の重量210kg/㎡をイメージしてもどの程度の重さかピンと来ないと思います。
そこで、イメージしやすく例えてみましょう。
体重が重いといえば力士、現役力士で高立(たかりゅう)が体重約210㎏。ちなみに現役力士体重ランキング2番目の重さです。
この、高立が座るとたぶん1㎡くらいとすると、積雪1mの雪は高立が屋根いっぱいに座っている状態です!想像するだけで恐ろしい重さであることがイメージできると思います。
積雪2mの地域では、高立が二段重ねです!
こんな風に、構造計算で用いる荷重は、イメージしていくと構造計算なしに安全性は確認できないことが理解できると思います。