【事業者必見】注文住宅におけるローン付けの特徴

2022/05/1719:48185人が見ました

    理想のマイホームを手に入れたいと考えているお客様にとって、注文住宅は最適ですよね。

    しかし、注文住宅における住宅ローン付けには、建売住宅やマンションとは異なった特徴があり、複雑な面もあるので注意が必要となります。

    お客様に納得してもらえるような説明ができるよう、注文住宅のローン付けの特徴について確認しておきましょう。

     

    お客様によってパターンが異なる

    まず、注文住宅を検討されているお客様は「土地を持っているお客様」と「土地を持っていないお客様」に分けられます。

    その上で、土地を持っているお客様は以下のようなパターンがあります。

    ・更地に新築で家を建てる
    ・建て替える
    ・実家の敷地内に家を建てる

    また、土地を持っていないお客様は以下のようなパターンがあります。

    ・すでに購入したい土地が決まっている
    ・土地の売買契約が済んでいる
    ・これから土地を探す

    他のケースもありえると思いますが、注文住宅を購入するお客様には様々なパターンがありえます。そのため、建築事業者様には、案件ごとの状況にあわせて最適な住宅ローンを提案することが求められるわけです。

     

    土地を持っている場合

    注文住宅の場合は、建物が完成するまでの間に、着工金、中間金、最終金といったように、複数回に分けて建設費用を入金していただく必要があります。

    一方で、住宅ローンはその名の通り、住宅の購入資金としてを対象に融資されるもので、建物が出来上がってからでなければ融資が受けられない商品が多くあります。

    このような場合には、土地を持っているお客様でも、着工金、中間金の支払において、別で資金を用立てる必要があるということになります。全額、自己資金で賄えるお客様であれば問題ありませんが、そうでない場合には、上記の支払い時期にあわせて融資が受けられるローン商品を選択しなければなりません。

    例えば、つなぎ融資や、住宅ローンを着工時や上棟時など複数回に分けて融資を出してもらう分割融資などがあります。

    つなぎ融資は、住宅ローンの融資が開始するまでに別途支払いを立て替える短期融資を指し、住宅ローンの融資が実行されるまでの間は、つなぎ融資分の利息を払い、建物の引き渡し時に住宅ローンで清算する仕組みになっています。つなぎ融資は無担保であることが多く、金利が住宅ローンよりも高くなります。

    一方で、分割融資のほうは住宅ローンの金利ですので、金利の比較だけで考えると、分割融資の方がお客様にとってメリットがあることになります。

    しかし、全ての住宅ローンで分割融資ができるわけではないですし、たとえ分割融資ができる商品だったとしても、即ちそれがそのお客様にとっての最適な資金計画とも限らないため、各金融機関に、資金を受け取る回数の上限や適用金利、必要条件、返済方法などをきちんと確認の上、選定する必要があります。

    建て替えのお客様の中には、現在住んでいる物件の住宅ローン残債がある方もいるでしょう。そのような方向けに、建て替えローンというものもあります。

    建て替えローンは、現在の住宅ローンの残債分を新しい住宅ローンに組み込むことができるというものです。現在よりも金利の高いときに借りた住宅ローンであれば、建て替えローンにまとめることで金利が下がるというメリットもあります。

    実家の敷地内に注文住宅を建てるお客様の場合は、その敷地に既に抵当権が設定されていることもあり得ます。それを抹消しない限りは新たな融資が受けられないことが殆どです。お客様の実家の土地の筆界がどうなっていて、抵当権がどの筆に設定されているかなどを確認し、適切な融資プランを提案するようにしましょう。

    敷地を分筆して建築する計画の場合は、住宅ローンの事前審査をしたあとに、敷地が狭くなるような計画の変更をしてしまうと、改めて審査をし直さなければいけなくなりますので、注意しましょう。

     

    土地を持っていない場合

    土地を持っておらず、これから土地を購入するというお客様の場合、上述の着工金、中間金、最終金(完工)に加えて、土地の購入資金においても、まとまった資金が必要になります。この土地の資金を調達する方法として、前述のつなぎ融資や住宅ローンの分割融資の他に、土地先行融資と呼ばれるかたちの住宅ローンもあります。

    こちらの土地先行融資は、つなぎ融資よりも金利が低い反面、土地に対して抵当権の設定が必要になり、その分の登記費用がかかります。

    上記のお客様のパターンで例をあげたように、土地はまだ取得できていないものの、すでに土地の売買契約が済んでいるお客様もいらっしゃいます。このようなお客様の場合、土地購入の際に関わった不動産仲介会社から案内を受けて、住宅ローンを選択し終えていることも考えられます。

    しかし、その選択した住宅ローンの借入予定額に、十分な額の建築費用が組み込まれているとも限りません。また、十分な額が組み込まれていたとしても、自社の支払い規定にあうように融資が受けられる商品とも限りません。

    ですので、もしお客様が「土地の契約時に既にローンは選んである。」とおっしゃった場合には、理由を説明の上、借入予定額や融資の実行条件等を、詳しくヒアリングするようにしましょう。

    以上のように、土地代金や建築途中の代金を用立てるための融資の種類はいくつかあり、それぞれ、必要な手続きや必要になる諸費用が異なります。お客様が用意できる自己資金や、土地の売買や建築スケジュールなどを考慮した上で、最適なものを提案するようにしましょう。

     

    多くの業者との連携と長期の融資工程管理が必要

    注文住宅のローン付けの際は、多くの業者との連携が必要になるのも大きな特徴と言えます。

    例えば、土地を持っていない方が不動産仲介会社を利用して土地を購入しているケースでは、土地の売買契約のスケジュールについてその会社に確認する必要があるでしょう。それに合わせて融資の手続きを考えなければならず、間違えてしまうと最悪の場合、資金が必要なタイミングで融資が受けられず、売買契約の違約や、着工遅れになってしまうため注意が必要です。

    また、すでに解説しましたが、お客様が不動産仲介会社から住宅ローンの紹介を受け、既に住宅ローンを選択し終えている場合もあります。この場合も、仲介会社と連絡を取り合い、ローン計画に合わせて建物の計画を考えたり、あるいは別の住宅ローンの提案をし直すなどしなければなりません。

    他にも、注文住宅を建てる際には、土地の整地や外構工事、ライフラインの引き込み工事などについて、お客様と自社とでまとめて契約していることもあれば、それぞれの業者とお客様との直接契約としている場合もあると思います。

    業者とお客様との直接契約の場合、その工事費が融資対象にならないこともあるので、それを踏まえた資金計画を考え、お客様にもきちんとお伝えしましょう。

    ご存知の通り、注文住宅が完成するまでには、長い時間がかかります。その間、住宅ローンに関する手続きは何度かありますが、それらを適切なタイミングで忘れずに行えるよう、融資工程を管理していく必要があります。

    お客様が手続きをしなければいけないこともあれば、建築事業者が行わなければいけない手続きもあります。自社の支払い規定に沿って請負代金を回収することができるよう、工事の進捗の確認、必要書類の準備、金融機関への確認・報告、お客様へのご案内等、もれなく対応を進めるようにしましょう。

     

    それぞれのお客様に最適な住宅ローンを提案しよう

    融資を利用する金融機関やお客様のパターンが同じであれば、ミスも起こりづらく、業務負荷軽減のための改善を行いやすくなります。

    しかし、お客様の属性、趣向、土地の区画形質・権利関係、それに合う住宅ローン商品、といったように注文住宅の購入にあたっては無数の組み合わせが有り、その業務を標準化して効率化するのは非常に困難といえるでしょう。

    そういった課題を解消するために、弊社では建築事業者様の住宅ローン業務を代行するサービス「いえーる ダンドリ」を提供しております。お気軽にお問い合わせください。

    https://lab.iyell.jp/service/

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