西野亮廣さん(キングコング)売り方と広告が変わった②「今は、作りこまれたものを出していく方がナンセンス〈1〉」

2019/06/2518:381203人が見ました

5月27日に長野県・松本で工務店のネットワークLOCASによるセミナー「LOCASミーティング」が開催され、建築家の谷尻誠さん、お笑い芸人・西野亮廣さん、BETSUDAI 林哲平さん、サンプロ/LOCAS代表 青柳弘昭さんたちが登壇。約150社の住宅会社が集まった。内容を一部抜粋してお伝えする。

 

西野亮廣さん(キングコング)

 

Profile

お笑いコンビキングコングを結成。漫才、バラエティでの活躍などの一方、絵本作家として作品をヒットさせる。現在はビジネス書の執筆やオンラインサロンの運営などジャンルを超え多岐に活躍。

 

今は、作りこまれたものを出していく方がナンセンス〈1〉

 

 お金と広告の問題をこれから話していくんですが、最初に少し印象的なエピソードを話しますね。若い人に人気のファッションブランドを展開している人間が友人にいるんですが、彼が言うには最近「セール品が売れない」と。なぜセール品が売れないかと言えば、セール品を買っても「メルカリで売れないから」つまり、安いものを買っても「売れないから高い」という結論です。

 

 従来の常識でいったら、売れないものを値下げしてきたわけじゃないですか。こういうところからも、広告と売り方の常識が世代ごとに変わっていて、こういうことをいちいち捉えていないとまずいよね、ということを考えてもらいたいです。

 

 絵本作りから分かってきた「売れるモノ」と「売れないモノ」

 

 どうやって絵本を作ってきたか、売ってきたかという話からします。

 絵本作家を目指そうとスタートした最初の時に思ったのは、何年もかけて絵本を作っている作家がいないということです。なんでかというと絵本作家の人たちは専業でやっているのでじっくり一冊に時間をかけてしまうと食えない。

 その時僕は芸人をやめていたので、時間だけはある状態になった。そうやって時間をかけて絵本を描いたら爆発的に売れるんじゃないかと考えました。最初に絵本作家になろうと思ってから何年かかかって、一作目を出したんですけど。ところがこれが売れなかったんですね。ついでに、二作目もタイミングバッチリで出したんですけど、両方とも3万部くらいしか売れなかったんですよ。どちらも絵本業界の中ではヒットになるような数字なんですが。

 

 この間お客さんはどんな反応をしてたかというと、「最近西野見なくね?」「干されたんじゃない?」「西野オワコンだね」自分でいうのもなんですけど僕オワコンじゃなくて絵本書いてたんですよ。1作目も2作目も3万部売れて、絵本業界では売れた方ですけどでもそれが話題にならず、世間の目に触れなければ僕は世間の人たちから見れば何もしてない人になるんですね。

 

 そのとき、作品に対して僕は親なのに、売る作業を放棄してたなと気が付きました。育児放棄みたいなもんですよ。うちの子だけは大人にさせないといけない。つまり自分の作品はヒットさせる、絶対に売るってことを決めました。

 で、ここからようやく売るってことと向き合うわけですけど、みんな売ろうとしているのに売れている人と売れていない人がいる。この違いはなんなんだ?って考えて。

 

  売る側から考えても良く分からないので買う側から考えてみたら、普段僕って書籍あんまり買わないんですよ。CDも7,8年買ってない。壺。壺買ったことないですよ。売り場も知らない。それどころか僕はクリエイター然として喋ってますけど、作品を買ったことがないんです。

 一方、水は買ってるし米は買ってるし高くても冷蔵庫買ってるし、家も買ってる。買ってるもの結構あるんですね。生活必需品は買うってことです。

 

 では、作品は買わないのかというと誰でも買ってる作品がありました。おみやげです。宮島行ったときのペナントとか。芸人仲間と京都旅行して、京都駅で買った「御用」って書いてある提灯とか。買っちゃってるんですよね。これだけスマホだなんだ仕事がなくなるぞといってもおみやげ屋さんって全然なくなってないですよね。

 

 どうやら人はおみやげを欲してるらしいぞって分かってきた。お土産という形なら作品を買うということです。ではなんで人はおみやげを欲するのか?

 

作品を「おみやげ化」する

 

 答えは2つで、おみやげはその時の思い出を思い出す装置として必要であるということ。すごく楽しかったシンガポール旅行を思い出すのにマーライオンのおみやげが必要だとか、身近な例だと映画を見た後のパンフレットとかもその機能を一部果たしています。体験を閉じ込める機能として、作品のカタチをしたおみやげがある。

 もう一つ(の機能)は、おみやげは自分のポジションを守るために必要だということです。旅行行って帰ってきたら、その間仕事を代わってくれた人たちにおみやげを買ってくるとか、あるコミュニティでの自分の地位を守る機能を果たしていたりする。作品のカタチは取っているんだけど、その時は生活必需品に分類されている。

 

 であれば、自分の作品も「おみやげ化」できないか?と考えて。絵本がおみやげになる体験って何だろう?と考えたら、自分の家に絵本の原画が200枚くらいあったので、絵本の原画の貸し出しを無料にして、どこでも「西野亮廣・絵本原画展」を開催していいですよという権利をお渡しすることにしました。

 すると一般の様々な方が、「西野亮廣・絵本原画展」を開催してくださって、その代わりに絵本を入り口で販売させてくださいねとお願いする。すると絵本が爆発的に売れた。つまりこの瞬間は絵本はおみやげとして売れたわけです。

 

 こうすることで、絵本原画展をやめなければ絵本を売り続けることができるという仕組みをつくることができました(編集注:「えんとつ町のプペル」は版権フリーにもなっている)。これで絵本を作っても「売れない」ことにはならない状態に持っていくことができた。

 

 本屋さんとかAmazonとかで売れたらラッキーくらいにしておいて、本丸の販売場所は個展会場ということです。

 

 ここから分かるのは、モノを売ろうと思ったら「おみやげ」というキーワードは外せないということです。

 

「 今は、作りこまれたものを出していく方がナンセンス〈2〉」につづく

 

 

 

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