今回はパッシブデザインの蓄熱利用についてお話させて頂きます
ある意味 私が一番このパッシブデザインで楽しみながらやっている内容です
蓄熱利用って何?
この蓄熱利用については これまであまり触れてきませんでした
何故か?
「武器は使い方を間違えると 大失敗する!」
蓄熱という武器が お客様のクレームになりかねないからです
ですから、私はこれまで 木造住宅であっても
コンクリートやコンクリートブロックなどの
容積比熱と呼ばれる 蓄熱量のある部材をデザイン的に配置し
事前にシミュレーションを行ったうえで HEMSによる実測結果を見て
検証を重ねてきました
実際のところは 私の今のやり方では 冬ではなく
夏により効果を示しています
冬の効果を求めるのであれば
南側の窓近くに 土間のコンクリートなどで 蓄熱をさせるのが有効ですが
日本は最近暑い・・・
太陽高度が高い時期なら 庇などで日射を遮ることができますが
太陽高度が下がる9月や5月も暑い・・・
そうなると その太陽熱が室内に入り込み
断熱性能が高いのと相まって オーバーヒートを起こしていまいます
ですから 南窓近くに蓄熱材を置くのであれば 夏の為には 庇 シェードやルーバーが
絶対に必要となるのです
さて、私がこれまで行っている 蓄熱利用ですが
土間などの蓄熱ではなく
LdKの壁やキッチンの腰壁などをコンクリートやコンクリートブロックにしてきました
となると 窓から少し離れているので 熱の移動に少し時間がかかります
それが室温と消費エネルギーにどう影響をしているのかは もう少し検証が必要ですが
あきらかに室温が安定しています
外気温の影響による室温のムラが 明らかに小さくなり
消費エネルギーの削減につながってきています
では どのくらいの蓄熱材を配置し
熱容量はどのくらいが妥当なのか?
東京大学の前准教授の大学院のゼミの方が 130KJ/㎡K という数字を先日
IBEC 循環型住宅のシンポジウムで発表されていました
私はこれまで 当社の設計ですと 120KJ/㎡Kという数字が一番妥当だとシミュレーションしています
国は170KJ/㎡K と言っていますが・・・
設計の違いによる日射熱取得量の違いや断熱性能によっても変わります
私の自宅はRC住宅の外断熱工法で 室内はほぼコンクリートの打ち放しで
熱容量は550KJ/㎡Kもあります
ここまで熱容量があると 昼間室内に入ってきた太陽熱は コンクリートに吸収されて
室温の上昇を抑えてくれます
ただし 外気温が夜下がってくると 放熱を始めるので
室温が若干上昇します
ここで 排熱をどう考えるか?
冬でいけば もっと南側に配置をして蓄熱させ 外気温が下がった夕方以降の
エネルギー負荷をどう減らすか?
まだまだいろいろわからないことは多いですが 不利になる事はありません
デザインを楽しみながら いろいろやってみるのが パッシブデザインの楽しみです
シミュレーションと実測を 繰り返しながら
蓄熱もデザインもしながら さらなる良い家造りをしていきたいと思います
ちなみに 私どもがやっている蓄熱だと 自然室温で1~2℃の室温安定につながります
1~2℃を断熱で室温安定させようと思うと 大変です
ということで 蓄熱の重要性が解って頂けたら嬉しいです!