IV章:会社へのBIM普及法・『BIMが中々浸透しない問題について』前編

PICKUP!2018/11/1914:092274人が見ました

遂にわが社もBIMソフトを導入した!と言ってから時が経ち、なかなかBIMでの設計が進まない、環境が整わない、設計効率が 出ない、そもそもソフトに触れることすら諦めてしまった、というお話をよく耳にする。BIMの導入を検討されている会社様から 「BIMを導入すれば効率が上がりますか?」と、よく質問も受ける。 

こういった質問には、各会社の業務体制にもよるので、ストレートに答えを申し上げることは難しい。なので今回は、BIM 導入時に直面しがちな課題をあわせて説明させていただくことにする。

※BIM ソフトや、それに対応できるスペックの PC は既に導入している前提とする。 

私は主に以下の 3 要素が、BIM 導入におけるハードルだと捉えている。

①.従来の CAD と、BIM のギャップ

②.BIM ソフトを扱う人材の確保

③.社内におけるBIM ルール


まず①の「従来のCADと、BIM のギャップ」について。 

社内の設計図作成方法が、手書きもしくは2次元CADだったとする。実施図面ともなると、太い線や細い線、そしてハッチングなどを美しく使い分け、意匠や構造、設備や家具などを表現してゆく。 実際に投影されない部材は点線などを駆使し、設計者(作図者)以外の人に伝わるよう、図面を仕上げてゆくものである。 

設計者の頭の中にある建物を、水平に切断すれば「平面図」、垂直に切断すれば「断面図」、視点を屋外に置き、建物を見つめれば「立面図」、視点を屋内に置き、内観を見つめたら「展開図」、というように建物の姿や情報を 2 次元化して図面を描くというプロセスになるかと思う。 

一方、BIMによる設計は、従来の作図作業を根底から覆すようなフローとなることは、今まで説明した中でご理解いただいたと思う。 

BIMとはコンピュータ内に 3 次元建物モデルを作成し、それを基に図面作成を行う。更に、数量を拾い出して積算参照として 活用することや、モデルデータを施工現場で閲覧して部材確認等が行える。

しかし長い間、従来の設計手法で作図を行ってきた設計者にとっては、このギャップにアレルギーを感じる方も多いのではないか。 

この流れで②の「BIMソフトを扱う人材」へ進む。

設計事務所や建設会社にお勤めの設計者は、会社に利益をもたらせる案件を抱えているだろう。設計士という職業はとにかく忙しい。(もちろん、設計士だけが忙しい訳ではないが。。。)

設計に思考を凝らし、作図の期日に追われ、クライアントの要望もこまめに対応し、更に議事録を書くとなれば、一日などあっという間に過ぎ去る。更に建築法規や申請業務、環境性能なども付きまとう。 

そんな「忙しい設計者」が、BIMという新しいソフトを覚えるとなれば、もっともっと忙しくなる。BIMに興味津々で研究意欲が あるか、「BIM導入をしなければ明日は無い」とお考えの方以外、BIM習得は苦痛だと思える。

BIMを習得するためには、時に試行錯誤も必要である。そこに時間を割く必要がある以上、会社の業務効率は一度低下してしまうものだと、私は考えている。

BIMを導入する会社とって重要なことは、試行錯誤に費やす時間を短縮させ、業務効率低下の落差を少なくすることではないだろうか。ただ、BIMソフトを扱い始める頃は、「どのようなことが不効率に繋がるのか」ということが分からないということもある。こ の問題が解消できるよう、私が勤めるカシモ株式会社では、対会社様向けにBIM講習(ARCHICAD のみに限る)をさせて いただいている。(講師:左近充)

③の「社内における BIMルール」の構築は、業務効率向上にかかせない。

だがBIMは、従来のCADと比較して、機能や設定項目が多く、何から手をつけたら良いのかが分からないということもあるだろう。 

例えばカシモ株式会社では、設計建物のモデル精度に、ある程度のボーダーラインを決めている。細かくモデリングしすぎたら時間がいくらあっても足らないし、かといって大雑把にモデリングするのも、BIMデータとして良くない。そこのバランスは、弊社スタッ フと協議をしてルール決めている。カシモ株式会社におけるBIMルールは、BIMソフト導入時すぐに形成されたものではなく、 長い年月を経て育ったものである。ルールを形成しても、マイナーチェンジが繰り返され、徐々に成長を遂げてゆく。道筋が1つ見えてくれば、会社としてBIMをどう扱えばいいかが見えてくる。 

ここまで、①~③のハードルについて、少し具体的にお話しした。 次章ではこのハードルが少しでも低くなるように願いながら、打開の可能性を探ってみようと思う。

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