新築やリフォームを希望している方へ間取り図を使った収納コンサルをしています。
よく考えられた収納のある間取りもありますが、明らかに使い勝手の悪いと分かる収納がついた家も時々見受けられます。
お施主様ご自身が収納に詳しくて、細かく指示をしてくれたらいいのでしょうが、ご希望がない方には、きめ細やかなヒアリングをすることで暮らしへ配慮した収納を一緒に考えることができます。
収納に不安を感じながらも工事がスタートしたお施主様の話し
注文住宅を建築中の方へ、収納コンサルを行いました。
奥様が細部にわたって考え抜いた1階の間取りには、海外メーカーのオーダーキッチンとパントリーがあり、引越し後の家具配置まで考えられています。
しっかり考えて依頼しているだけあって、収納に関しての質問にもテキパキとお答えいただけました。
とても使い勝手のよさそうに出来ていると思いながら、2階の間取りになった途端に端切れの悪い答えが返ってきます。
そして、「これでいいの?」と思うような残念な収納しか付いていません。
1階と2階の間取り図の完成度があまりに違うため、不思議に思ってお話を伺いました。
すると「総2階の家なので、2階に部屋が沢山作れると言われたが、ご夫婦二人なので主寝室と納戸以外は、使いみちも考えられないし特に希望がない。
もしかしたら、将来ご両親が泊まりにきた時に使うかもしれない、と思ってもどんな風にその部屋を使うのか想像がつかない。」とのこと。
営業の方には「洋服が沢山あるので納戸が欲しい」と要望しただけとおっしゃっていました。
その結果、2階にある全ての部屋、納戸、階段を上がったホールの収納内部全てにポールと枕棚が作られることになっていました。
完成間近の家を見て、2階の収納の使い道が分からないことに気が付き相談にいらっしゃいました。
お客様の言われた、一言のまま提案すると
ここからは私の想像になりますが…
1階でかなり細かい指示をされたお施主様なので、ご要望をそのまま形にしたほうがいいと営業の方は思ったのかもしれません。
だけど、家を初めて建てるお客様は決めることが多すぎて、2階まで同じ熱量で収納を考えられなかったようです。
私がコンサルしても、最初はボンヤリとした答えしか返ってきませんでした。
もしこのまま家が完成していたら、暮らしてから2階の収納を使い切れずに家に対して不満に思われたかもしれません。
日常生活や将来の暮らし方への希望、お持ちの物の確認などをお聞きしているうちに、この家での暮らし方がイメージできたようです。
そして、各部屋の使い方がハッキリ決まり、家具の配置や収納内部が枕棚とポールでは入れたい物に合わないことに気が付きました。
すでに建築中のお住まいなので、今の間取りを生かして暮らしやすくするために、階段を上がったところにある収納は、奥行きの浅い可動棚を入れてもらうことになりました。
手前にスペースがあきますので、そこには2階専用の掃除機を収納することに決まり、収納への不安が解消されました。
やっと新しい住まいが楽しみになったそうです。
洋服には、枕棚とポールがついた収納と思い込んでいませんか
クローゼットを見ると、ほとんどが洋服収納にポールと枕棚の提案だけで終わっているのが、以前から不思議でした。
たとえば、みなさんの衣類について考えてみてください。
型崩れが気になるセーターや小さい下着、靴下は、引き出しや棚へ収納していませんか。
また、洋服以外のカバンや帽子の置き場所に困ることはないですか。
後から、プラスチックケースや棚をクローゼットの中へ置くことはできますが、ポールが邪魔になりますし、奥行きが深すぎて出し入れしずらいと思う場合があります。
「洋服を沢山収めたい」と言われるお客様には、さらに具体的なヒアリングが必要です。
そして、提案する際にはこのクローゼットのポールなら洋服が何枚かけられると、大体の数をお客様へお伝えすることをお勧めします。
前回のコラムでは靴について書きましたが、洋服でも計算すれば枚数を割り出すことができます。
お客様の言われる『沢山』の実数が分かれば、持っている洋服が全て新しい収納へ収まるのか、引っ越しまでに減らさないと収納しきれないのかを伝えることができます。
お客様へ収納したい物を確認することは面倒な作業に思われますが、ご満足していただく収納や動線の住まいを考えるには必要なことです。
*お客様の物の持ち方や暮らし方が聞けるヒアリングシートや、提案する際に持ち物の指さし確認のできる分類ツリーがついている資格講座を、住宅関連の方むけに開催しています。オンラインでの受講も可能になりました。
「住宅収納スペシャリスト」公式HP
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