住宅業界のキャッシュフローコーチ、出口経尊です。
まずは弊社の直近の融資状況です。
(これまでの弊社の融資状況については、今までの連載も参考にしてみてください)
日本政策金融公庫の融資申込は、進行中で5月22日に電話確認の後、26日に契約書が届きました。
希望通りの融資額で連帯保証人はありません。
(ちなみに、民間金融機関経由の信用保証協会だと連帯保証人が無い場合は0.2%上乗せされます。現在、日本政策金融公庫と民間金融機関のどちらも、地域やタイミングによって融資実行までの期間にかなりの差があるので、ご注意ください)
また、月の売上が50%減で対象になる持続化給付金(補助金ではない)は、申請から2週間後に入金された話をよく聞くようになりました。
加えて調べていただきたいのが、地方自治体独自の支援制度です。
例えば、大阪府の休業要請外支援金50万円や、香川県の持続化応援給付金20万円など、地方自治体によって様々な給付制度がありますので、ご確認ください。
給付金に関しては課税対象となるので、黒字の場合は約70%が手元に残ります。
個人的には、給付金も融資と同じで早々に申請して、速やかに本業に集中することをお勧めします。
さて、今回のテーマは「繰越」です。
繰越の必要性
前回の記事では、利益倍増計画を掲げる理由と返済についてお伝えしました。
https://chikalab.net/articles/589
今回は『繰越』について触れていきます。
下図のお金のブロックパズルだと赤色の箇所です。
繰越をもっと身近な言葉に置き換えるなら1年間に貯金する額です。
予測にしても、結果にしても、家計と同じで会計でも貯金は大事です。
貯まったお金は内部留保ですが、言葉のイメージがもう少し良くなってほしいと思います。
ここで繰越が重要な理由を2つお伝えします。
1.万一の備え
万一の備えとは有事への対応で、まさに今回のコロナショックです。
その影響は納材の遅延から始まり、集客や受注が一気に止まりました。
また、最近だと豪雨による水害、頻発する地震による震災などのリスクが高まり、もし打撃を受ければ営業できない状態が何日も続きます。
東日本大震災では、コンパネや断熱材などの資材が不足した時期もありました。
災害が起こると工務店の仕事は一時的に増えますが、さすがに被害を受けてしまうと、自社の店舗や倉庫、協力業者の車両や道具が使えない状態になります。
売上が立たず、お金が足りない時に貯金があれば、すぐに取り崩しができますし、借入でも現預金があれば危機は凌げます。
要はすぐに遣える現預金が沢山あるほど、資金繰りに困らない潰れにくい会社になります。
実際、現預金や受注残がしっかりある工務店、協力業者はコロナでも慌てることなく、本業に集中できています。
前回もお伝えしましたが、過度な節税は税引後利益を減らし、繰越や返済に影響を及ぼすので、長い目でみれば、有事の際に倒産のリスクが高まります。
2.将来の設備投資
万一の備えを守りとすれば、将来の設備投資は攻めです。
工務店の場合だと、ショールームの出店計画や商品パッケージの購入、協力業者だと機械や車両を購入するための資金や頭金です。
投資を全て借入で賄う方法もありますが、返済や金利の負担を少なくした方が、キャッシュフローは楽になります。
もし、利益倍増計画が実現できれば、繰越が増えて設備投資の時期を早めることもできます。
これを一言で表すとしたら、『ビジョンの前倒し』や『事業計画の前倒し』です。
弊社が支援している工務店を一つ例にして説明しますと、当初の利益目標が1000万円に対し結果は1600万円、債務超過だったため税金はほぼ0円なので、年間800万円の返済をした想定の4倍の800万円を貯金できたことになります。
絶対に返済以上の税引後利益を残すという意気込みと行動、こまめな現状把握や軌道修正で、想定以上の繰越を残すことができました。
今回は繰越の必要性や目的、利益倍増計画の繋がりをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
次回の主なテーマは『減価償却費の繰戻』です。
引き続きよろしくお願いいたします。
番外編(工務店経営カンファレンス2020 オンラインを聴いて)
先日の新建ハウジングによる「工務店経営カンファレンス2020」を私も拝聴しました。
ZOOM上で登壇された工務店経営者の方々は、皆さん利益の重要性を口にされていました。
その中で、自己資本利益率の話がよく出てきたので、急遽手書きで恐縮ですがご紹介します。
左図の損益計算書(P/L)にある1年間の税引後利益が、右図の貸借対照表(B/S)の右下にある資本に『繰越利益剰余金』として毎年プラスされます。
逆に赤字だとマイナスになるのですが、貸借対照表は現時点での財務内容とも言えるし、今まで活動してきた成績とも言えます。
自己資本比率とは、資本÷資産(負債+資本)×100で算出できるのですが、基本的には繰越利益剰余金が増えるほど自己資本比率も高くなります。
あくまで目安ですが、自己資本比率25%以上だと良い会社、40%以上だと潰れにくい会社で、実際に50%以上ある顧問先だと金融機関の接し方が全く違います。
今回の感想は、弊社の『本日の出入口ブログ』でもお伝えしています。
http://shinraku.biz/wp/2020/06/04/no-1846/
ZOOMで無料個別相談
コロナを機に、利益倍増計画や根拠ある売上目標、行動計画を立てたい建設業の経営者対象に、弊社ではZOOMを使った無料個別相談を承っております。
相談時間の目安は1時間で、課題の洗い出しと優先順位の明確化により不安を小さくし、行動に繋げていただくことを目的としております。
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