借入後の工務店利益倍増計画③(減価償却費の繰戻)

2020/06/2010:51793人が見ました

住宅業界のキャッシュフローコーチ、出口経尊です。

毎回お伝えしている弊社や顧問先(工務店)の融資状況ですが、弊社は民間金融機関に続き、日本政策金融公庫からも融資が実行されました。公庫は申請から実行まで1か月弱でした。

顧問先の手続きも順調に進んでおり、後は本業に集中するのみです。

さて、前回の記事では、繰越の必要性や目的、利益倍増計画の繋がりをお伝えしました。
https://chikalab.net/articles/599

今回のテーマは「減価償却費の繰戻(くりもどし)」です。

名前を聞くと難しそうですが、出来る限り分かりやすくお伝えするので、ぜひ読み進めてみてください。

 

減価償却費とは?

「減価償却費の繰戻」は、下図のお金のブロックパズルだと赤色の箇所です。

減価償却費の繰戻

減価償却費の繰戻は、ややこしく思われがちなのと、業種によっては影響がないので、省略することがあります。

ただ、設備や車両など大きな物を購入して間もない場合は、経営数字に含める必要があります。

そもそも減価償却費の繰戻は、減価償却費と繰戻の2つの言葉に分かれています。

まず、「減価償却費」についてです。

ウィキペディアによると
企業会計に関する購入費用の認識と計算の方法のひとつであり、長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出をその資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである・・・

いかがでしょうか?

読むとさらに難しく感じてしまいます。

一言で表すなら「単年度で全て経費にできないもの」では、いかがでしょうか?

絵で描くとこのような感じです。

減価償却費

例えば、300万円の新車を購入すると、一括で現金払いをしても全てが経費になりません。

あくまでざっくりですが、普通車だと6年、軽四だと4年で割るイメージで、ブロックパズルの「固定費のその他」にあたる経費となります。

国が節税させない仕組みとも言えますし、逆に利益が少ない時は大赤字にさせない仕組みとも言えます。

赤字にさせない伝え方を教わってからは、減価償却費のメリットとデメリットのバランスが整いました。

中古車の減価償却費については、中古車のグーネットで分かりやすく書いています。
https://www.goo-net.com/magazine/103013.html

工務店だと軽トラックや営業車、ショールームの建物や設備機器なども減価償却費に該当します。

修繕に関しても、部位によっては減価償却費になるため、期末に一括償却で節税するつもりでも、適応されない場合があるので、工事前に必ず顧問税理士にご相談ください。ただ、解釈は税理士によって異なることもあります。

ですが、破綻した工務店の決算書を見ると、ショールームなど設備投資が経営に重くのしかかっている場合が多いので、減価償却費になるものは計画的に進めた方が間違いないでしょう。

逆に今期や来期で減価償却を終えるものがあれば、固定費が下がり、利益が増える可能性が高まります。

 

繰戻とは?

再び同じ図ですが、次は「繰戻」についてです。

減価償却費の繰戻

繰戻とは、減価償却費が固定費のその他から税引後利益に移動しています。

なぜ戻すかと言えば、実際に支払ったお金と相違があるからです。

先ほどお伝えしたように、300万円を一括で支払っても、初年度は50万円しか費用にならず、2年目以降は支払っていないのに50万円支払ったことになります。

ここが会計をややこしく感じさせてしまう部分ですが、「支払っていないから戻す」、繰戻はそんなイメージで良いかと思います。
(出口自身もこれを理解するのに何度も聞いた覚えがあります)

借入したお金で支払っていくなら、前々回にお伝えした「返済」になります。

ちなみにリースで購入すると「固定費のその他」のままで繰戻はありません。

実際、出口もリースで車を購入し毎月のリース料×12か月分を費用として計上しています。

今回は、減価償却費とその繰戻についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?

次回のテーマは『根拠ある利益目標の設定』で、会社が1年間に必要とする利益が明確になります。

引き続きよろしくお願いいたします。

 

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