vol.05 柱金物の種類が設計図通りである(前編)

2020/06/1515:45650人が見ました

チェックタイミング ~後戻りのできない「10工程」~

 

   
1回目 基礎底盤コンクリート打設前
2回目 基礎立上り型枠施工後、コンクリート打設前
3回目 土台据付後、床下地施工前
4回目 上棟直後、屋根ルーフィング施工完了後
▶ 5回目 構造躯体施工完了後、外壁防水シート施工前
6回目 防水シート施工完了後
7回目 壁・天井断熱材施工完了後、石こうボード施工前
8回目 内部造作・石こうボード施工完了後
9回目 外装施工完了後、仮設足場撤去前
10回目 建物完成時
   

 

今回のピックアップ

NEXT STAGEが行う現場品質監査の5回目「構造躯体施工完了後、外壁防水シート施工前」のタイミングでは、主に耐力壁や緊結金物等、住宅の構造に関わる主要な部分をチェックしています。今回は2回に分けて、この工程における監査項目の中の一つ「柱金物の種類が設計図通りである」を取り上げさせていただきます。

項目:柱金物の種類が設計図通りである

柱金物は「金物図」や「構造図」などで、「取り付け場所」「使用材料・種類」を指示していることが多いですよね。しかし、柱金物の「取り付け方法」までは、設計図書に落としているビルダーは、ほとんどありません。実は、「取り付け方法」が盲点となり、不備を招いている事例も多く、職人さんも監督さんも気づかずに「誤った施工方法」で工事がすすめられていることがあります。

柱金物などは、試験を受けた施工方法により性能が発揮されることが証明しているため、それ以外の方法で取り付けた場合、性能が十分に発揮できるか否か金物メーカー側では判断がつかず性能保証できないことがありますので、注意が必要です。

 

①ビスの本数が不足している事例

大抵の柱金物は、余分なビス穴は無く、すべての穴にビスを打つ形式ものが多いです。職人さんもそのことを理解してはいるのですが、下の写真のような不備が現場で見受けられます。要因としては、うっかり打ち忘れるということが多いのですが、中には使用するビスを紛失しそのままビス不足のまま放置していることもあります。

上の写真の事例では、ビスの不足が一目でわかるのですが、下の写真の事例では見えにくい位置にビス抜けがあります。現場をただ眺めただけでは、このような不備は見つけることができません。柱金物のビス抜けを見つけるには、一つ一つ確実に取り付け状況を確認することがポイントです。

 

②ビスを間違えている

柱金物の施工要領書で指定されたビスを使用しなければならないのですが、柱用のビスを横架材側に打ったり、横架材用のビスを合板側に打ったり、ビスの使用用途を間違えている不備が現場で見受けられます。

下の写真2枚は、誤って横架材用のビスを合板に使用してしまい、ビスの長さが不足している事例となります。柱金物の目的は、柱が横架材から抜けないようにすることなので、合板を挟んでも横架材までしっかり届く長さの合板専用のビスを使用しなければなりません。

要因としては、ビスの使い分けを職人さんがしっかり理解していないことが多いです。又、前の現場で余った金物をまとめて持ってきたため、どの金物のビスか見分けられなくなり、類似のビスを間違えて使ったという事例もあります。

使用する金物の種類を減らしたり、毎回同じ製品を使うようにしたり、間違わない・覚えやすい工夫をすることが未然に防ぐコツです。

③金物の向きを間違え取り付けている事例

柱金物は、指定された向きで取り付けなければならないのですが、まれに向きを間違える不備が見受けられます。職人さんが取り付け方を理解しておらず、指定部位に金物がついていれば大丈夫だろうと誤った判断をしてしまうことが原因です。

製品によっては、向きを間違えないように「柱」などと刻印されているものもありますので、そのような製品を選ぶこともミスを防ぐ一つの方法です。

※vol.06 柱金物の種類が設計図通りである(後編)へと続きます

一覧へ戻る