経営陣が一枚岩になっている?「一枚岩会議」とは

2020/09/0812:27354人が見ました

モノリス株式会社の田近です。前回は、チームコーチングがなぜ必要なのか?の解説でした。チームコーチングによって「チームが機能する」と、どのような変化や成果が生まれるのか?といったゴールの姿を、私自身の経験も踏まえて紹介させていただきました。社員個々人がアイディアを考えて行動できる、そのような瞬間は、すべての企業が実現できると考えています。

今回は、そのために弊社の行っているチームコーチングのかなめ「一枚岩会議」と、ユニークなこの名称がどこから来たのか?ということについてご紹介します。

 

キリンビールでの研修経験

 

 「せめて幹部社員だけでも一枚岩になれたらなあ」という経営幹部の悩みを耳にします。

私たちはクライアント企業でチームコーチングを実施するときに、「一枚岩会議」(※商標登録)という呼称を使う場合があります。実はこのネーミングは、クライアント企業のトップが、私たちがリードする最初の会議を終えるときに、思わず口から出た感想の言葉をいただいたのです。その際のエピソードを紹介します。

キリンビール株式会社から営業部隊約3,500名が切り離されて、201311日、キリンビールマーケティング株式会社が設立されました(2016年にキリンビールマーケティング社は再びキリンビール株式会社に統合されています)。日本ではすでに成熟していたビールの事業であり、なおかつビールの消費量は年々減っていく傾向にあり、ビール大手4社は苦戦していました。そのなかでのビール類営業会社の起ち上げですから、リスクも大きかったはずです。

新会社の社長に内定していた植木宏氏が、私の受講生でもあった直属の部下を通して、私を会社に呼んでくれたのです。そこで翌年に新会社が設立されること、自分が初代の社長になることなどを打ち明けてくれ、相談に乗ってほしいと言われたのです。メーカーと違い資産がないので、「利益を上げなければ、キャッシュフローを確保するために社員を解雇するしかない」という危機感を強く抱いていました。商品を製造する権限を持っているわけではなく、戦力は社員だけだと。これは工務店など住宅会社の状況ともよく似ています。

 

優秀な支店長育成プランが必要だった

 

最初に提案したのは、優秀な支社長の育成でした。聞き取り調査をして分かったことは、業績を左右するのは支社長の能力だということだったのです。そこで、入社以降22年間で4回の研修(計25日間)受けるというプランを提示させていただきました。その中で、優秀な支社長の中からさらに優秀な9名の統括本部長を選んでいくという、壮大な幹部育成プログラムでした。このカリキュラムは私の自慢でもあるのですが、植木社長は手始めに現役の支社長クラスの中から40名を選んで、彼らに計8日間のトレーニングを受講させることを決断してくれたのです(ここで選ばれたメンバーの多くが現在もキリン本体でご活躍中です)。

 

チームコーチングで経営陣のベクトルを合わせる

 

そしてもうひとつ提案したのが、新会社経営陣のベクトル合わせのためにチームコーチングを導入することでした。「何度聞いても、良く分からないのだが、そのチームコーチングは何をするの?」と、社長とそのときの営業本部長に質問されました。研修でもなさそうだし、個別のコーチングでもない。経験したことのないものには警戒心を持つのは当然です。チームコーチ認定を受けるまで学んでくれた優秀な方が社長直属の部下に3名いたことも、信頼に繋がりました。

研修をスタートさせた年の4月に2日間を確保していただき、社長以下15名の新会社幹部が集まりました。大企業で経営幹部にまで昇進した皆さんということもあってか、チームコーチングのコーチからの問いに対して、はじめから意見が活発に出て、いくつもの合意ができました。

 

意識を変えるため会議の名称を変える

 

新しく会社を立ち上げる植木社長が苦慮していたのは、新会社の幹部に経営陣だという責任意識を持たせることでした。そのため情報を共有し、経営に関わる会議を意識的に行っていたのです。ただ、その会議名が当初は「営業戦略会議」でした。それはキリンビール株式会社での会議名だったのです。彼らにとっては、それが当たり前でした。そこにメンバーの意識が現れていたといっても過言ではありませんでした。

チームコーチングで私が、「なぜ、皆さんの会議がいまだに『営業戦略会議』なのですか? それでは誰がこの会社の『経営』会議のメンバーになるのでしょうか?」と問うと、皆さんハッと気づかれた様子で「会議の名称を変えよう!」となり、「創業経営会議」に変更されたのです。このとき初めて彼らは自分が経営者なのだと認識したのです

そこからの議論はさらに熱を帯びて、結果的に、新会社のミッション、ビジョンなどの理念と基本方針、そうしてすでに決まっていた売り上げ目標をどのように達成していくのかという戦略と実行計画が決まりました。これから試合が始まる競技場に出ていくような興奮状態の経営チームが誕生したのです。

研修の2日目が終わるとき、社長が感動した面持ちで仰いました。その時出たのが「ありがとうございました。ようやく経営陣が一枚岩になりました」という言葉だったのです。チームコーチングによって、組織を短時間で一枚岩にすることができるのだとあらためて分かりました。そしてそれは経営者が求めているものだということも。

その経験から「一枚岩会議」を商品にしたのです。

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