引き渡し後片付かない家にありがちの3つのNG

2020/10/0318:428810人が見ました

こんにちは、住宅収納スペシャリストの川島マリです。

 先日、7年前に3LDKのマンションに伺い整理が完了した80代前半のお客様より、リピートのご依頼をいただきました。
ひとり暮らしをしていたお嬢様と二人で暮らすことになり、利便性のいい2LDKのマンションへ買い替えてフルリノベーションしたけれど、
引っ越して1年が過ぎても片付かないので来て欲しいとのこと。

玄関ドアを開けると、きれいな内装の玄関ホールにダンボールのまま置かれている荷物や床置きの物が目に付きました。
間取り図を拝見すると、けっして広くはありませんが、通常のマンションに比べて各部屋に収納が配置され、生活動線も考えられた暮らしやすそうな設計でした。
女性の担当者で、いろいろと考えて提案してくれたのでそこの会社へ依頼したそうです。

お話を伺いながら、何度も打ち合わせを重ね完成させた家なのに気持ちよく暮らせないのは、施工会社もお施主様もお互いに残念だと思いました。
お引渡し後の暮らしはお客様の問題ですが、ご依頼があった段階から打ち合わせの時の関わり方を少し意識するだけで変わっていたかもしれません


引越し後に時間をかけて片付ける

整理収納サービスをご依頼されたきっかけは、リフォーム会社の担当者が1年点検にくるからでした。

3ヶ月点検では、忙しくて片付かなかったけれど1年後にはちゃんと片付けておくと言った手前、恥ずかしいので何とかしたいとご依頼をいただきました。
実は、
3ヶ月点検で片付かない人は1年が過ぎても出来ない方のほうが多いです。

引越してからどれくらいの日数で片付けたのかアンケート調査がありますが、約半数の方は1週間を目処に片付け終わっています。

Q.引越した後の片付け。どれぐらいの日数かける?(単一回答)
1位:1週間程度 23.8%
2位:1カ月程度 16.6%
3位:2~3日程度 16.1%
4位:その日のうちに片付ける 9.6%
5位:2週間程度 8.9%
※上位5位まで表示

「SUUMOなんでもランキング」の調査

キッチンや洗面・脱衣室といった、毎日使う水回りは翌日からスムーズに使えるようにしておきたいですし、今の生活でよく使っている物は3日位で置き場所が決まっていないと日常生活がはじまりますので毎日の生活が不便です。
どんなにいい家を設計しても片付かない家では、お客様の満足度は残念なことに低くなります。

今回ご依頼頂いたお客様も、クローゼットから洗面所へ続く回遊動線の扉前は荷物に塞がれて開かないし、各所に作られた棚の中に何を入れたらいいのか決まらず1年間不便に暮らしていました。
新生活を気持ちよくスタートしていただくためには、収納へ何を入れたいのか打ち合わせの早い段階から確認して、引っ越して1週間でスムーズに生活ができる住まいになることをお施主様と一緒にめざすことをおすすめします。
「とりあえず引っ越して、後からゆっくり片付ける」と思っていると収納は思いつきの家になりますので、設計と平行して収納プランニングを入れていきます。

曖昧な言葉を使う



「引っ越しの時に思い切って沢山捨てたのよ」と、お母様とお嬢様が其々おっしゃっていました。
覚悟してお互いが多くの物を捨てたし、沢山の収納を作るように依頼したので、家が小さくなっても片付くと思っていたようです。
それなのに全ての物が入りきらないのは、設計とお施主様の沢山と思う量が違っていたからです。

今回のように別々に暮らしていた人が一緒に住む場合は、新居に持ってくる家具や荷物について事前に打ち合わせをしてもらい、最終的に家の備え付け収納と物の量を確認していただかなければ引っ越してから困ります。

設計の際に入れる物を想定して収納を作っていたと思いますので、各収納へ入れる物や収納量についてお客様へ丁寧にお伝えしていれば収納に収まる量へ引っ越し迄に調整できます。

沢山とは人によって感覚が違う曖昧な言葉なので、お持ちの物と量を確認しておかないと出し入れしやすい収納は完成しません。


棚をそのまま使う

入れる物の高さに合わせて棚板の調整ができる可動棚は便利ですが、棚板の動かし方が分からなかったそうで動かさずにそのまま使っていました。
硬いビスは女性には動かしずらいし、
ビスは様々な形状の物がありますので、素人にはやり方が分からないかもしれません。

お施主様の中には、可動棚ということに気がついていない方も時々いますので、念のため棚を動かせることやビスの使い方を教えてあげて下さい。

また、
高さの無い物には棚板の間隔を狭めて使いますので、棚枚数が少ないと物の上に大きなスペースが空いてしまいます。
特に洗面所周りの棚には、洗剤のストック、タオル、化粧品ストック、下着などを収納するので、棚がもう一枚欲しいと思うことが多いです。
奥行きの浅い棚を設計する際には、
小さい物を収納することを想定していると思いますので、一枚多めに棚板を用意するか、追加注文できることを伝えると物に合わせて使いやすく棚の位置が調整できます。
棚板を1枚追加できるだけで、収納量が増えて便利な棚に変わります。

片付けが苦手なお施主様でも、新築やリフォームの時はスッキリ暮らしたいとやる気になっています。
引越しの際に
物の収納先が決まるように打ち合わせをして、すぐにスムーズな日常生活が過ごせる家は顧客に選ばれるポイントになります。


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