こんにちは。
ネクストプラスの戸谷です。
この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしています。
ブランディングを展開する上で重要なことは「誰に」「何を」訴求するのか?を明確にすることです。自社のどんな価値を伝えるのかが明確でないと、何を伝えたらよいのか、そのメッセージも決まりません。そして伝えるメッセージは対象となるターゲットの心に響くものでなくては意味がありません。
そこで今回はターゲットとして一次取得者である「ゆとり世代」の特徴について見ていくことで、どのようなメッセージが彼ら彼女らに響くのかについて考えていきたいと思います。
【目次】
1:ゆとり世代とは?
2:ゆとり世代の住まいへの価値観とは?
3:まとめ
1:ゆとり世代とは?
最初にお伝えしておきます。これから述べることは一般論であり、すべてのゆとり世代の方に当てはまるとは限りません。とはいえ「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」という孫氏の言葉があるように、相手(ここでは「敵」ではなく「お客様」ですね)の傾向をつかんでおくことは、最適な対応と提案をするため有効です。
すでにゆとり世代について学んだことのある人はスキップしても構いません。ということで早速ゆとり世代についての基礎知識をお伝えしてきます。
■ゆとり世代の定義
諸説ありますが、ゆとり世代とは「ゆとり教育」を受けた世代のこと。ゆとり教育を一年でも受けているという意味では1987年4月2日生まれ以降(2020年現在で33歳)以前の世代であり、まさに住宅の一次取得者層です。
※ゆとり世代の中でも昭和生まれは「第一世代」と言われるなど傾向が違うと言われていますが、ココでは割愛します。
■ゆとり世代の一般的な特徴
学生時代からインターネットが普及していて「ネットで検索すればすぐに答えが分かる」という世界線で生きてきているので、効率的で合理的な考えを好むと言われています。また手っ取り早く成果を上げたい、すぐに成果を求めるようになったとも言われています。
そして物心ついたころから日本の競争力は低下し続け、不景気の影響で親の失業や年収の低下などを目の当たりにして育ったので、お金やモノへの執着が少ないとも言われています。
とくにリーマンショックが原因となる就職氷河期を経験したゆとり第一世代は、自分の努力とは無関係の時代の変化に翻弄されたため、より一層堅実で安定した生活を求める傾向があり、プライドよりも合理的なものを選ぶと傾向があるとされています。
■ゆとり世代の消費行動傾向
シンクエージェントの調査によるとゆとり世代は発散型ではなく会費・休息型の傾向が強く「ゆとり世代は消費意欲が薄い」と思いがちだが、決してものを欲しがらないわけではないと結論付けています。
具体的には安くても一定の性能を持っているモノがあふれる超成熟社会を生きてきた世代なので「安かろう、悪かろう」という感覚もなく、最低限の住宅性能は当たり前だと考えています。そして所有することが自己表現にはならないので、モノ消費からコト消費を重視する傾向がより強くなっていると断定します。
住宅におけるコト消費とは例えば、気の合う仲間とのホームパーティーの開催や自分で手を加えるDIYを楽しむことだと思ってください。近いところでは自分好みのインテリア選びを楽しむこともコト消費と言えます。
2:ゆとり世代の住まいへの価値観とは?
2020年1月8日付け、カーディス生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」では
・平成世代:平成生まれおよび主にゆとり教育を受けた世代(20~34歳)
・ロスジェネ世代:主にバブル崩壊の影響を受けている世代(35~49歳)
・バブル世代:主にバブル景気時に就職した世代(50~59歳)
という世代ごとに住宅に関する価値観を調査しています。
出典:https://life.cardif.co.jp/documents/138542/905819/2_cardif_view_house.jpg
特徴的なのはゆとり世代が住まいを「家族が団らんをするところ」「思い出を刻むもの」「友人や仲間を招いて交交流する場」ととらえている点です。その一方で「老後の安心」や「財産・資産」としては捉えていないということです。
ただこの辺りはもう少し慎重に見極める必要がある気もしています。というのも時代の変化に翻弄された経験があり、所有よりも共有・シェアへの抵抗がなく、ブランド品もメルカリで売る文化になじんでいるので、住宅に関しても一定期間(例えば子供の独立まで)住んだら手放すことを前提に考えているのかもしれません。
(もちろん現実には思い出が詰まっている、買い替えできる経済状況ではないなどの要因で、当初の思惑通り住み替えが上手くいくかどうかは別の問題ですが……。)
とはいえ調査結果から考えられる一つの答えとして、賃貸よりも購入したほうが「資産になります、老後も安心です」と説得するよりも「家族との団らんや、仲間との思い出を積み重ねることができる」という方が響く可能性は高そうです。
次に住宅購入に向けた行動について見ていきたいと思います。住宅産業研修所の「ゆとり世代の住宅購買 傾向と対策」は20代、30代、40代、50代という区分なので厳密にゆとり世代とは言えませんが、20代と30代の回答は参考になると思います。
ここで意外だったのは住宅ポータルサイト・ホームページで情報収集していたのは40代で、住宅展示場や見学会など「建物を体験する」ことを重視していたのが20代・30代だったのです。
出典:https://www.tact-jsk.co.jp/archives/11865
デジタルネイティブと言われるほどインターネットを使いこなしているからと言って、リアルを軽視しているわけではありません。それどころか自分の目で確認することを重視しているのは、フェイクニュースやネットの情報が偏っていることを理解しているからこその行動なのかもしれません。
3:まとめ
一次取得者であるゆとり世代をターゲットにブランディングしていくには「性能やデザイン性の高い住まいづくり」でブランディングしていくのは少し弱いのかもしれません。彼ら彼女らにとって、これらは当たり前のことだからです。
DIYやインテリア、家族との思い出や仲間との交流などの「コト」を楽しめる家づくりを打ち出すことも一つの手段です。ほかにも安定した生活を実現するライフプランやファイナンシャルプランを設計することもある意味で「コト」を提案することにつながります。
そして見落としがちなのがインターネットで情報発信するだけではなく、モデルハウスや見学会など実物を体験できる場を提供することの重要性です。これも体験=コトです。
つまりゆとり世代に対してブランディングするにはSNSでの「映え」だけではなく「体験・コト」に注力して、メッセージを検討して、リアルな空間のつくり込みや家づくりの体験までを設計していく必要があります。
■追伸■
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