四号建築物の仕様規定の確認と問題

2020/12/1410:105589人が見ました

 M's構造設計・構造塾の佐藤実です。チカラボ版「構造塾」の第11回です。今回は前回/前々回

に引き続き、木造住宅の四号特例について考えてみたいと思います。

 皆さんもぜひ考えてみてください。

 

 

四号建築物とは

建築基準法第6条第1項に、構造種別、用途、規模などにより建築物は一号から四号までに分かれています。

木造の場合、四号建築物は以下の通りです。   

・階数が二階建てまで(二階建て、平屋建て)

・延床面積500㎡以下(500㎡含む)

・最高軒高9m以下

・最高高さ13m以下

多くの木造住宅は四号建築物となります。

 

仕様規定とは

木造住宅の構造安全性確認方法のひとつで、四号建築が最低限行わなければいけない構造安全性確認方法です。

 

 

 

 

四号建築物の仕様規定

 四号建築物が最低限行うべき構造安全性確認方法である「仕様規定」は、3つの簡易計算と8項目の仕様ルールで構成されています。

 ○3つの簡易計算

①壁量の確保(壁量計算)

②壁の配置バランス(四分割法)

③柱の柱頭柱脚の接合方法(N値計算法)

 

○8項目の仕様ルール

④基礎の仕様

⑤屋根ふき材等の緊結

⑥土台と基礎の緊結

⑦柱の小径等

⑧横架材の欠込み

⑨筋かいの仕様

⑩火打材等の設置

⑪部材の品質と耐久性の確認

 

仕様規定では簡易計算として①壁量の確保(壁量計算)、②壁の配置バランス(四分割法)、③柱の柱頭柱脚の接合方法(N値計算法)を規定しているだけで、その他、木造住宅の骨組みとなる「柱や梁等の部材検討」、木造住宅を支える「地盤・基礎の検討」は仕様のルールが決められているだけで、建物ごとに安全性の計算をする規定ではありません。 

 

 

 ということは、仕様規定は最低限の構造規定であるにもかかわらず、木造住宅全体の構造安全性を確認する規定にはなっていないことを理解してください。

一覧へ戻る