ウッドショックで浮き彫りになった3つの経営課題

2021/05/3107:48996人が見ました

 財務も見ながら全体最適を考えて少数精鋭で粗利を増やす経営パートナー、出口経尊です。
 

 さて、4月中旬にチカラボで『ウッドショックによる資金繰りへの影響』というタイトルで寄稿したところ、あっという間に閲覧数が3000人を超えました。

 

 https://chikalab.net/articles/912

 

 有難い反面、深刻さを表しているかと思います。

 

 前回は、お金に纏わる話、特に着工の遅れによる資金繰りの影響についてシンプルにお伝えしました。

 

 今回はまず最初にウッドショックと工務店のお金の問題について、次にウッドショックが直撃している会社とほとんど影響を受けていない会社の違いについて合わせて説明します。私の支援先である工務店を中心とした現場の取材が元になっています。

 

 

課題1.お金

 まず、最初に挙げる課題は『お金』です。お金の話については、2つの視点で説明します。

 1点目は、着工が遅れる、つまり完工が遅れ、入金も遅れる『資金繰り』についてです。中間金があったとしても毎月の固定費や返済を賄うには厳しく、貯めたお金にせよ、借りたお金にせよ、支出を補う資金力が必要になります。

 全般を見ればコロナ融資で市場にお金が余っているため、新規の融資に積極的な金融機関もあるようですが、基本的には財務内容が悪ければ、融資を受けるのは難しいでしょう。

 さらに、あと1~2年後には無金利や据置のコロナ融資の返済が始まるため、返済能力が問われます。

 わかりやすくお伝えすると、返済は税引後利益から捻出するものなので、ウッドショックを機に利益が残る体質になっておく必要があります。

 

 2点目は、仕入れ価格の値上がりによる『粗利低下』です。

 厳密に言えば、必要な粗利を確保できれば粗利率に拘る必要はないと思いますが、原価の値上がり分の価格反映はかなりハードルが高いようです。また、今後の契約で法的には随時値上げができるとしても、お客様に言えるかと言えば、言えないという返答ばかりでした。私も逆の立場なら、言い難い話だと思います。

 

 仕入れの値上がりに注視や予測しながら積算し、かつ同業他社との競合に勝とうとすれば、業務の負担だけでなく、心理的負担も大きいようです。

 

 また、木材だけでなく、鉄や生コンなど他の資材も値上がりしており、仕入価格の交渉以上に、手戻り防止やオプションの明確化、社内の業務効率など自助努力が欠かせない状況です。

 

 

課題2.関係性

 次に挙げるのは『関係性』です。時間軸だと『過去』、考え方だと『価値観』とも言えます。

 極端に言うと、特に小さな工務店ほど関係性の良し悪し、信頼関係が問われるのではないでしょうか。

 

 プレカット工場や製材所の立場から見れば、よく理解できるかと思います。商品の木材が限られると納入先を選ばざるを得ません。その時に何を基準に選ぶかです。

 

 市場の原理から言えば、『需要≧供給』の状態ですから価格は自然と上がります。仮に価格と発注量が同じ条件だとすれば、選ばれる条件になる変数は『好み』になります。端的に言えば、好きか嫌いかです。

 

 今までの言動や振る舞いが、巡り巡ってブーメランのように戻ってくるイメージでしょうか。過去を変えることはできませんが、望まない現象が起こっているとしたら、改める機会かもしれません。

 

 

課題3.将来展望

 最後に挙げるのは『将来展望』です。時間軸だと『未来』、将来の『期待値』とも言えます。

 今はお互い苦しくても、未来に希望が持てれば頑張れるのが人間です。上記の関係性と同じく、仮に価格と発注量が同じで、さらに関係性も同じだとしたら、選ばれる条件になる変数は『将来像』です。希望が持てなければ意欲のある人ほど離れていくものです。

 

 関係性や将来展望については、木材を納入する供給側の目線でお伝えしましたが、例え良好な関係であっても、プレカット工場や製材所の木材の調達力など問題解決の意欲が無ければ、共倒れになる可能性があります。

 

 厳しい状況下だからこそ、木材を売る側も買う側も将来どうなりたいかの『ビジョン』、何のために仕事をしているかの『ミッション』など、考え方の本質が問われるタイミングなのではないでしょうか。

 考え方が明確であれば、そこに共感が生まれる可能性が高まります。

 

『ビジョンとお金は両輪』のイメージ図ビジョンとお金は両輪

 

 また、国産材を選ぶ場合も価値観や将来展望が合致すれば、プラスに転換できる可能性があります。実際仕入先をやむを得ず切り替えた工務店では、ウッドショックがきっかけで共感するパートナーと出会うことができました。

 

 このように、協力会社も工務店の発展繁栄に必要なステークホルダー(利害関係者)の1つです。良好な関係構築は、経営の全体最適に必要な仕事の1つではないでしょうか。

以上

 

心楽パートナー株式会社
https://shinraku.biz/

独自の『全体最適型・粗利増加法』にて
工務店、工事会社の業績改善を行っております。

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