手摺りや段差解消などに比べて、忘れがちなのが灯りへの配慮。一般にスロープに足元灯はまず付いてない。スロープの工事やるのであれば、下り始めには灯りがあったほうがいい。下りはじめるときに足元が見えない恐怖感は大きい。介助する人にとっても危険だ。
同様にアプローチから玄関まで明るい照明があることも安全性を高める。ただし、夜間に出歩く高齢者は少数なので、そこまで配慮は不要と言う考え方もできる。
スロープに用いる灯りは人感センサーで点滅するタイプが扱いやすい。光源は長寿命で交換がほぼ不要なLEDライトが便利だ。この種の灯りは介護保険の対象ににはならないが、設置を検討したい。
室内を移動する際にも灯りは重要だ。特に廊下が薄暗いと転倒事故につながる。実際にあった事故事例としては、廊下の歩行中に物が落ちていると認識して、立ち止まった瞬間に転倒したというものがある。実際はものが落ちていたのではなく、自分の影であった。実際、転倒しないまでも自分の身体や家具の影にはっとさせられることは多い。前述したような事故を引き起こさないためにも、廊下は全体を明るく照らすことが望ましい。
同様に夜間のトイレ動線などにも配慮が必要だ。こちらは足元灯のほうが目にも優しく、再度眠りにもつきやすい。廊下の角やトイレの入口、階段の登りばななどに設置したい。
手摺りにLEDライトを埋め込んだ商品。夜間に手摺りの存在認知を図るにはよい(写真提供:高住研)