令和の時代に施工管理者はもういらない。必要なのは、

2019/03/0911:472121人が見ました

工務店がロボット開発?!

先日、とある会合に出席した後に旧知の工務店経営者さんと懇親会に行きました。その懇親会の中で一番盛り上がったのは、住宅の電磁波対策に取り組む工務店が集まったオールアースパートナー会の会長でもあり、古くから何かと仲良くさせて貰っているECOMOの中堀社長が、最近、あれだけ大好きだと言っていた建築設計の実務を離れて全く違うことに没頭していると言う話でして、よく話を聞いていると、それがAIとロボット開発だと言うのです。一見聞くと、工務店のオヤジがロボット開発なんて、どーせたいしたものじゃない、なんちゃってロボットを作っているかと思いきや、この中堀社長は結構凄い人で、なんと一時期大きな話題となったロボット犬「アイボ」を開発した有名な技術者と組んで本格的に開発していると言うのです。

人手不足解消の切り札。

「本気でロボット開発をしてるから買ってね」と言われて、何のロボットですかと聞いてみると、建築現場の施工管理を無人化する現場監督ロボットらしく、もうすぐ発売開始できる位まで実証実験が進んでいるとの事でした。昨年、ゼネコンの現場で犬型の現場管理ロボが実証実験を始めて「気持ち悪い」とか「怖い」と話題になりましたが、中掘社長が開発したロボットはもっと戸建て住宅に特化して床下にも潜ってメンテナンス調査まで出来ると言う優れものらしく、難点は自分で二階に上がれない位で、後は現場監督の仕事をすべて網羅して現場の管理と記録が出来るとのこと。話しかければ事務所のデスクに座っている設計担当者とコミュニケーションも図れる優れもので、職人不足とともに大きな問題になっている現場監督の人材不足、また採用、育成の難しさにあえいでいる建築業界に光明をもたらすはず!との事でした。

資材運搬ロボット

[caption id="attachment_18235" align="alignnone" width="258"]資材運搬ロボット[/caption][caption id="attachment_18236" align="alignnone" width="300"]

人型施工ロボ

人型施工ロボ[/caption][caption id="attachment_18237" align="alignnone" width="300"]

天井貼りロボット

天井貼りロボット[/caption]

抜群の費用対効果。

確かに、図面と現場の整合、工程ごとの記録とその保持、工程の進捗に合わせて部材の発注、センサーを駆使しての施工精度のチェック等々は人間よりもロボットの方が得意そうな事も多くあり、プログラミングした通りに現場を進めていきながら現場に張り付いて全行程をくまなく記録できると言うのは悪くありません。また、完全に自動化でなくても、事業所から遠隔操作ができれば、現場の職人さん達とのコミニケーションがいつでも出来るし、まるで施工管理者がそこにいるかのように現場の状況を見て指示を与えることもできるかもしれません。しかも、5万円/月程度の費用で現場に設置できると言うのですから、ひょとしたらあっという間に深刻な人材不足に喘ぐ建築業界のスタンダードになる可能性も有ると思った次第です。

魂を磨け。

私は職人起業塾の研修で、「技術だけの職人はもういらない、AIや機械にできない、それらが持っていないものを鍛えろ」と以前から言い続けております。機械になくて人間にあるものは心であり、相手の立場に立って物事を考えるとか、相手を思いやる気持ち、慮る配慮、イレギュラーが起きたときに機転をきかすといったいわゆる人間力を鍛えるしかないと思うのです。ちなみに、中堀社長曰く、大工の仕事をすべて網羅するロボットを開発した場合、開発費用は約20億円、1台あたり12億円は下らないとの事なので、まだ当分、現場作業がすべて機械化される事はなさそうです。しかし、それも加速し続ける今の時代にあっては時間の問題なのかもしれません。稲盛和夫塾長が「人生は魂を磨く道場」と言われた通り、いよいよ本物だけが生き残る、魂の時代に突入したのではないでしょうか。人間力を鍛える教育ができるか否かが令和の時代を生き残る分水領になると思うのです。

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