通りすがりの『住宅団地』にて(3)■ 土地みたて

2021/11/0701:18459人が見ました

 

土地を見るとよみがえる「職業病」

 

初めての場所に行った時に、昨今の時世にもかかわらず多くの新築現場に出くわす気がします。

 

それはどうしても気になってしまうからで、「職業病」的なものかもしれません。 「どうしてこんなふうに建てたんやろ?」「自分ならどのように提案するやろ?」 そうして長年気にしてきたので、ついつい目が行ってしまうのでしょう。

 

もうすぐ年末です。意外と新築現場が多いのは、新しい源泉徴収票の年収額が下がってしまう前に融資申込みを!といった駆け込み的な契約も実は多いのかもしれません。

 

大半の住宅各社は「いかに早く売って、いかに安全に儲けるか」というテーマでがんばっています。そのためには、販売価格は出来るだけ安い(安く見える)方がいいという基本的なマインドがあります。明快にそういうロジックで事業を走らせているので、自ずと同じような売り物になると言えます。売り手の「経済原理」に根ざして最適化していくと、似通った姿になっていくのです。それが、住む人にとっても喜ばしいものであれば言うことはないのですが、往々にしてそうではない事が多いようです。

 

小さめの分譲住宅の建築現場の脇を通りがかりました。けっこう小さめです。

左右の家とは最小限の間隔しかないようです。時間に余裕があったので、例によってちょっと見てみました。

 

 

四角いブロックの土地をミニマムに分筆した分譲地です

 

ズラリと並ぶシンプルな「デザイン住宅?」のファサード(北側道路です)

 

 

 分譲団地の北側の「顔」南側の「顔」

 

北側の道路から玄関のある正面にまわってみます。土地の広さは40坪を切っているようです。建物の延べ面積も30坪弱ではないかと思います。道路側はフルに駐車スペースになっていてそれぞれの家に2台分確保されていますので、必然的に家の前に土はなくコンクリート仕上げになっています。

 

と言うことは?と思い、反対の南側に行ってみます。

現在は南側は見た目では区画分けされていない広い更地が広がっていて、職人さんたちが車を停めています。このような南北でそれぞれ並びで分譲する場合、北側から販売して完売後に南側を料理するのが鉄則です。そうです。日当たり条件の悪さを実感しにくい状態で北側を売り切るのです。

 

 反対側にまわってみると掃き出し窓がたくさん(ほぼ南向きです)

 

 横から見てみると南側は境界線とあまり離れていません

 

 

ひたひたとせまる隣接地の「脅威」

 

南側には掃き出し窓が沢山取られていて、今はどの家も日当たり抜群です。しかし、よく見てみるとお日さまのいる南側境界線まで少ししか距離がありません。これでは南側に家が建ち並ぶと、間違いなく冬場は日陰生活になります。「北側の物件が完売したら、間も無く南側にも同じ感じで家が建つのだろうなあ」と思ったら、もう既に南側の土地に新築住宅の配置を表す「地縄」が張ってあるではないですか。しかも、かなりいっぱいに北側に寄せて張ってあります厳しい現実です。

 

「土地も建物もミニマムサイズなので無理もないでしょ」と言う声が聴こえてくる気がしますが、広い土地を仕入れて分筆計画や建築計画を行うのなら、もっとやりようはあります。その場所にどのように住まえると暮らす人がよりハッピーか?というゴールイメージから考えることができれば、その答えは大きく変わってきます。また、そういうものは必ず高く売れるようになります。

 

 なんとガッツリ境界線に寄せて地縄が張ってありました!

 

 

 地縄張りはこのような位置関係になっていました

 

 

ひょっとしたら北側の物件はもう既に完売していて、南側の土地も分筆は済んでいるのではないかと思います。(バレないように、わざと境界ポイントを入れない場合もあります)となると、販売形態にもよりますが数ヶ月後には全区画新しい家が建ち並んでいるかもしれません。 北側の住まい手はその時に少なからず落胆することになると思われます。

 

 早ければ数ヶ月でこのようになると思われます

 

 

希望の場所で購入可能な売り物件があったら、売れてしまわないかと慌てて申し込んでしまうのですが南側が空き地の北側物件は要注意です。逆に考えると、南側に建物が建ったばかりで状況が確定していると当面は安心ということになります。南側に新築の平家が建ったばかりというなら安心材料となります。

 

 

 たまたま南隣に平家が建つとラッキー(まさにロシアンルーレットです)

 

 こんなふうに掃き出し窓の前が駐車スペースになってくれればラッキー(車の排気や視線は気になるかもしれませんが

 

 更地で放置されればそれはそれでしばらくはラッキー(洗濯物がうれしそうです)

 

 

 

住宅を提案するつくり手は、料理人と通じるところがあります。

料理人で言う「素材」はつくり手の「敷地」であり、一流の人達は素材の良さを見つけ活かすために存在しているとも言えます。良い「素材」よい「敷地」を見極める見立ての力こそが、その真髄なのです。

 

 

あなたの会社ではお客様が土地を選ぶ際に、近い将来どう変化していくのかを想像してみてアドバイスしていますか?また、確率の高い将来形を元にプランニングを行うようにされていますか?

 

  

通りすがりの『住宅団地』にて(2)を見る。

 

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