こんにちは
ネクストプラスの戸谷です。
この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしていきます。
今回は「お客様から選ばれるブランドづくりの基礎を学び、明日から具体的な行動を実行できるようになる」方法をお伝えしていきます。
【全体像】
1:ブランドの正体とメリット(前編)
2:「誰に」・・・お客様を決める(前編)
3:「何を」・・・発信する内容を決める(後編)
4:「何を使って」・・・届ける媒体を決める(後編)
【1:ブランドの正体とメリット】
お店に入るときも、何か物を買う時も、人は必ず理由があって行動を起こします。
街中やショッピングモールに行って休憩するときも、マクドナルドに入るのか、ドトールコーヒーショップに入るのか、スターバックスコーヒーに入るのか、理由があるはずです。
その理由の違いこそが「ブランド」の本質です。そもそも「ブランド」という言葉は「牛の焼き印」から生まれました。
昔、放牧していた自分たちの牛を、他の家の牛と間違わないように「焼印」を押していました。その焼印を押すことを英語で「Burned」といいます。
つまり他のものと差別化する銘柄やマークのことを「ブランド」と呼ぶようになりました。
■「ブランド」と「ブランディング」の違い
言葉が違うということは意味が違うということです。ではこの2つの言葉の違いはどこにあるのでしょうか。早速答えをお伝えすると
「ブランド | BRAND」:他社との違い(差別化項目)
「ブランディング | BRANDING」:ブランドを好きになってもらうこと
INGは現在進行形(今まさに動いているさま)です。つまり他社との違い(差別化)ができ続けている状態を指し示します。なぜ差別化をするかというと、他の会社より好きになってもらい、選んでもらうためです。
■ブランディングするメリットとは
皆さんから「うちもブランディングしたい」と相談を受けます。具体的に話を聞いていくとその理由は様々です。そこでここではブランディングするメリットについて確認していきます。
①:反響が増える
他社(の商品)との違いを明確にできれば、お客様から選んでもらえる可能性が高くなります。つまり見学会や事務所・スタジオの来店が増えます。
②:価格を決められるので売上と利益が増える
高いブランド力があれば、多少高くても人はお金を出します。同じ商品や性能でも「これが欲しい!」という感情の強度には違いがあります。
つまり価格を上げることができるわけです。この「価格決定権」を持てることがブランド確立の最大のメリットです。
③:口コミや紹介・リピートが増える
ブランディングが確立されると会社や商品のファンになってくれます。つまり愛着を感じてくれるようになります。すると自分が購入した商品の良さを他の人にも知ってほしい、自慢したくなります。
今はInstagramやfacebookといったSNSで発信する人もいます。直接的な口コミや紹介ではなくても、SNS上での口コミ紹介を起こすことができます。
またリフォーム工事などではリピート受注の期待することができます。
④:コスト削減
上記でもお伝えしましたが、SNSでの口コミや紹介が増えれば、自社で広告宣伝費をかけることなく宣伝をすることができます。
さらにブランドが確立して受注棟数が増えれば、仕入れ量が増えるので価格交渉がしやすくなります。さらに地域で影響力を持つブランドになれば、利益が無くても自社のブランディングのために取引をしたいという業者も出てきます。
⑤:人材確保
人口減少フェーズの今、人材の確保は切実な課題です。御社のスタッフの中にも直接引き抜きの電話アプローチを受けた人もいると思います。
ブランドが確立されていると、スタッフの会社に対する愛着も強くなるので、引き抜きに応じたり退職を考えるスタッフも少なくなります。逆に「ぜひ一緒に働きたい!」と優秀な人材が入社してくれるメリットもあります。
【2:「誰に」・・・お客様を決める】
ブランディングを考えるときに重要なことがあります。それは「お客様を決める」ことです。なぜお客様を決めないといけないのか。
その理由は、具体的にお客様を決めないと「響くメッセージ」も「メッセージを届ける方法」も決められないからです。
■お客様を明確にする代表的な2つの戦略
ではどのようにしてお客様を決めるのか。大きな戦略が2パターンあります。一つが「まったくのゼロから新たに決める」方法で、もう一つが「会社の強みに共感する人を探す」方法です。
・「全くのゼロから新たに決める方法」
新しくブランドを立ち上げる場合に使うことがあります。メリットは、理想のお客様を自由に決めることができる点です。一方でデメリットは思いっきり外してしまうリスクが高いという点です。
・「会社の強みに共感する人を探す方法」
基本的にはこちらの方法をお勧めしています。過去事例やお客様の声など、これまでの会社の資産を活用できるのと、初期コストを押させてより短い期間で成果が出しやすいからです。
もし「うちには強みなんかないよ」という人は、「○○がうちの強みにしよう!」と決めて取り組むのも一つの方法です。
■お客様を明確にするときに考える3つの要素
大まかなお客様像は、割とすぐに決めることができると思います。しかしブランディングを考えるときのお客様像は、具体的であればあるほどメッセージや使う媒体が明確になるので、詳細に検討していくことが重要です。
ここでは「会社の強みに共感する人を探す方法」を前提として、お客様像が明確になる3つの要素についてお伝えします。ぜひそれぞれの内容について、あなたも書き出してみてください。
①会社の強みを明確にする
「会社の強みに共感する人を探す」にはまずは会社の強みを明確にする必要があります。箇条書きでも構いませんので、思いつくだけ会社の強みを書き出してみてください。
②お客様の痛み/快楽
①で書き出した会社の強みは、お客様のどのような悩みやお困りごとを解決しますか?/要望を叶えますか?
あなたが「これが弊社の強みだ!」と思っていてもそれがお客様のためになっていますか?この視点が抜けていることが良くあります。お客様が求めていないことをいくらアピールしても何も生まれません。
③基本情報(エリア・属性)
②を考えたときに頭に浮かんでいたお客様がいたと思います。そのお客様を深掘りしていきます。具体的には「どこに住んでいる人か(エリア、会社からの距離)」と「属性(家族構成、職業、年代、世帯年収など)」を明確にして行きます。
■チェックポイント
ここまで考えてくると御社のお客様像が明確になってきたと思います。ここで注意点があります。ブランド構築には時間がかかります。成功するとある属性の人ばかりが来場します。
そこで重要なことは、ターゲットにしたお客様は「長く付き合っていきたい人かどうか?」「市場(将来性)はあるか?」という点です。
お客様がたくさん来店して一時的に受注が増えたとしても、そのお客様のことが好きになれなければ、心理的に苦しくなり中長期的には衰退してしまいます。
そして今はお客様がいて受注を狙えるが、3年後5年後10年後にその市場がなくなってしまうリスクがないかを確認する必要があります。そのリスクを感じるのであれば、エリアを変える/お客様を変える/自分たちを変える(新築→リフォーム/新築→新築+リフォーム)という考え方も必要になってきます。
【最後に】
いかがでしたでしょうか。前編の今回はお客様を明確にするところまで来ました。
次回は「発信する内容を決める」そして「使う媒体を決める」についてお伝えしていきます。質問が多いInstagramやPinterestといった媒体の特徴や現状についてもお伝えしていきます。
ぜひ楽しみにしていてください。
<追伸>
もし社長が自分の想いをスタッフに共有できていない、そしてどうしていいか分からない時は、ぜひブランディンカレッジに相談してください。
→http://www.next-plus.co.jp/service/branding_college/
次回は4月23日に体験会を開催します。