一目惚れしてしまいそうな美しい住宅ってありますよね。
今回は、そんな住宅をつくる方法をお伝えします。
私は今年から工業高校建築学科の非常勤講師として住宅計画の授業をしています。
いきなりですが、そのテキストの1ページ目の巻頭の言葉に少し違和感を感じました。
“紀元前1世紀頃のローマの建築家ウィトルウイウスは、住宅・神殿などの形式などについてまとめた「建築十書」の中で「建築は強・用・美の理が保たれるようにつくられるべきである」と記述している。”
だから私たちも強・用・美を備えた住宅を計画できるように学んでいきましょうと言いたいわけですね。
うーん…。
ウィトルウイウスの活躍した紀元前1世紀は、日本の卑弥呼の時代です。
さらにパルテノン神殿のような壮大な建築をつくった古代ローマの人の言葉です。
これから日本で住宅計画を学ぶ学生さんのための巻頭の言葉にしては異次元すぎないでしょうか。
でも調べてみると、強・用・美という言葉は日本の建築教育の場でたくさん使われているようです。
この考え方がベースにあるから「美しさ」の部分が意匠とかデザインと言われ、見た目の学問と勘違いされているのかもしれませんね。
そんなモヤモヤを抱えていた時に、ある文献に出会い納得しました。
民家をみる場合三つの視点がある。それは、「間取り」「つくり」「かたち」である。
「間取り」は暮らしが直接反映したもの、「つくり」は骨組みである木構造、「かたち」はこれらが生み出した姿である。
そして、「美しさ」はその生み出された姿の中に含まれている。
つまり、「間取り」と「つくり」をデザインした結果「かたち」の中に美しさが生まれるということです。
私はこれを、「正しくデザインすれば、自ずと美しくなる。」と言っています。
もしあなたがもっと美しい住宅をつくりたいならば、見た目ではなく「間取り」と「つくり」についてもっと考えてみてください。
その良いお手本が古い民家なので、そこから学ぶこともお勧めします。
建築家の吉田桂ニさんは若い設計者にいつも言っていました。
「架構(つくり)と間取りを合一せよ。」
「そして目指すのは美である。」