地域工務店で仕事をされている皆さんにお尋ねします。
家づくりの中で、デザインを優先したばっかりに痛い目にあったことはありませんか?
例えば
「デザインを優先したばっかりに工事費が余計にかかってしまった。」
「デザインを優先したばっかりに使い勝手の悪い家になってしまった。」
「デザインを優先したばっかりに施工性が悪くなってしまった。」
そして極め付けは
「デザインを優先したばっかりにお客さまに喜ばれなかった。」
これではもう、デザインは百害あって一利なしですね。
そんな経験をした皆さんがデザイン嫌いになるのは当然でしょう。
でも、そのデザインは私たちが目指すべきデザインと別物だということに気づいて欲しいのです。
私たちが目指すべきデザインのことを、先の「デザイン」と区別するため「私たちのデザイン」と名付けます。
そして「私たちのデザイン」の特徴を挙げます。
〈その1〉 私たちのデザインは、できるだけお金がかからないように考えるものです。
〈その2〉 私たちのデザインは、できるだけ使いやすいように考えるものです。
〈その3〉 私たちのデザインは、できるだけつくりやすいように考えるものです。
そして何よりも、私たちのデザインはお客さまに喜んでいただくことが目的です。
どうでしょう。
「そんなこといつも考えているよ。」という声が聞こえてきそうですね。
でも敢えて言わせてください。
皆さん考えているけれど、できていないのではないでしょうか。
なぜそんなことが言えるかというと、それができていた人たちを私は知っているからです。
それは誰か。
それは今から300年前に民家をつくった人たちです。
限られた資材と労力の中で家族の幸せな暮らしを守るために考えに考え抜いたものが民家です。
そんな民家は現代の住宅よりも「私たちのデザイン」というものを実現できています。
私たちのDNAには民家をデザインした先人と同じセンスが眠っているはずです。
でも、それを活かすためのデザインの作法が途絶えてしまっていると感じています。
その原因は明治以降の西洋建築の流入や近年の家づくりの機械化、自動化、分業化などがあるからだと思います。
この途絶えてしまった先人の作法をもう一度「私たちのデザイン作法」としてこの手に取り戻したらどうでしょう。
デザインが好きになって、家づくりの仕事がもっと楽しくなると思いませんか。
その作法のことは、また別の機会にお話しさせていただきます。