いい家創り応援ネットの半澤です。
コロナ禍でのインフレトレンドや日本の構造的問題からくる職人不足などから、建築価格は上昇し続けています。
また一次取得者のメインとなる中間層は、上昇しない賃金やリストラ、教育資金や老後資金への不安などから住宅購入資金の検討に対して、より慎重になってきています。
その結果、以前は総額(土地+建物+諸費用)3500万円~4000万円の資金計画をしていた多くの中間層も、今では(都市部でも)2000万円台~3000万円台前半で抑える傾向が強まっています。
そしてローコスト住宅を検討していた顧客層は、中古住宅や建売住宅に流れています。
このような流れや人口減少による見込み顧客の減少もあり、多くの中小工務店がローコスト住宅(薄利多売)から高単価住宅(厚利少売:こうりしょうばい)への転換を図ろうとしています。
しかしローコスト住宅と高単価住宅では営業のポイントも手法も異なり、同じやり方では通用せず契約はできません。
そこで今回はローコスト住宅を取り扱ってきた工務店や営業スタッフが、高単価な住宅を販売し始める移行期に気を付けるべき営業のポイントについてお伝えしていきます。
高単価住宅営業のポイント
その1.営業スタッフのマインドチェンジ
ローコスト住宅でモノ売りをしてきた営業スタッフは「安い=良いこと」という認識が、意識的にも無意識的にも染みついています。つまり住宅購入最大の決断要因を金額(価格)に置いてしまっているわけです。
同じ注文住宅というカテゴリー内での比較においては有効かもしれません。しかし中古住宅や建売住宅と比較されると敵いません。つまり価格勝負は自分から負け戦に突入していくのと変わらないのです。
ではどうすればよいのか?
その答えは判断基準を金額ではなく、自社で建物を建てた後に実現する「理想の暮らし」に置き換える必要があります。つまり訴求することを「価格から価値」へ転換するべきなのです。
なお価値についてはこの後にお伝えします。ここでは引き続き認識を改めるべきマインドセットをお伝えします。
「何回も打ち合わせした方が満足度が高まる」
高単価住宅を検討する高単価層のお客様は仕事やプライベートで非常に忙しく、効率性を重視します。つまり、少ない回数と短い時間で成果を出すことに価値を感じやすいのです。
「お客様の要望は何でも受け入れた方が良い」
高単価層のお客様はプロフェッショナルとしての対応を求める傾向があります。つまり要望をただそのまま鵜呑みにして受け入れるのではなく、その背景にある意図を汲み取り自分が想像できなかった提案に価値を感じるわけです。
その他にもできること/できないことを忖度せず、理由と対案と共に伝えてくれる人を信用する傾向も強いです。
「とりあえず次につなげるためにアポを取ろう」
これは高単価層の信頼を失う愚策です。「なぜ次回のアポイントで〇〇について話すのか?」「なぜ今じゃないのか?」など、その理由を自社や営業の都合ではなくお客様のメリットと結び付けてお伝えする必要があります。
その2.価値と付加価値
先ほどお伝えしましたが高単価住宅を販売するためのポイントの一つが「価値」と「付加価値」です。
大切な観点は、
- 価値:お客様が決めるもの
- 付加価値:ニーズが源泉
ということです。
ここで「ニーズ」という単語が出てきました。そこで少し補足します。
顕在ニーズと潜在ニーズ
ニーズの語源は英語の「need」で、意味は欲求や必要性です。そしてニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズの2種類あります。
顕在ニーズはお客様本人がすでに自覚していて、言語化できている表面化されたニーズです。一方で潜在ニーズはお客様本人もまだ気づいていないニーズで、当然言語化できていないので直接的な質問をしても表には出てきません。
より重要なのは潜在ニーズです。もし営業スタッフの質問や指摘からお客様が自分の潜在ニーズに気づくことができれば、一発で大きな信頼を勝ち得ることができます。
価値と付加価値の違い
もう一つ、価値と付加価値についても違いを明確にしていきましょう。
価値とはそのモノ自体が持つどのくらい役に立つかの度合い、値打ちのことです。一方で付加価値は、生産や購入の過程で新たに加えられた価値のことです。
例えば、家を購入してきれいで広い住環境が手に入ることが価値だとすると、図面や模型を初めて提案されたときの驚きや感動、地鎮祭や上棟祭やお引き渡し式などの体験が付加価値とだと思ってください。
そして高単価住宅の営業においては「どれだけ付加価値の質と量を高めていけるか」がポイントになります。
3つの付加価値
付加価値にも種類があります。その中でも最も重要なのは感動価値で、お客様にどれだけの感動を与えられたのかが重要になります。
つまり高単価住宅における最大の競合対策は、他社ができない・真似できないレベルでお客様に付加価値としての感動を与えることです。
高単価住宅を扱う営業の仕事
ここまで見てきてすでに分かっていると思いますが、高単価住宅を扱う営業スタッフの仕事は「どれだけお客様に付加価値を提供できるか?」になります。
ただ説明するだけだったり価格の安さを訴求するだけの営業には存在価値はありません。それこそ魅力的な商品サイトや営業資料やパートスタッフで十分です。
どれだけ「お客様の潜在ニーズを汲み取り、付加価値を追加できるか」が住宅営業の存在意義であり、同時に高単価住宅を販売するためには欠かせない要素となります。
最後に…
ぜひ今回の記事を参考にして、自社や自分ができる付加価値(特に感動価値)を考えてみてください。できることや伝え方の工夫はいくらでもできるはずです。
もし何も思い浮かばないときは、OBのお客様がどんな時に喜んでくれたのか?を思い浮かべてみてください。または直接話を聞いたり、顧客アンケートを見返しても良いかもしれません。
ぜひお客様に質が高く多くの付加価値が提供できる営業スタッフに成長できるように、日々情報収集や営業努力を続けていきましょう。
追伸
今回の内容は弊社の有料会員コミュニティ「成功事例共有会」の定例セミナーの一部を抜粋編集したものになります。
より詳しい内容や具体的な事例などをもっと知りたいという方は、ぜひ入会をご検討ください。
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