こんにちは
ネクストプラスの戸谷です。
この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしています。
今回のテーマは『会社パンフレット』です。「いまさらですか?」という声も聞こえてきそうですが、リブランディング、新たなブランドを立ち上げる時にパンフレットは非常に役立ちます。その理由と事例をご紹介していきます。
【目次】
1:なぜパンフレットなのか?
2:パンフレットを見直すメリットについて
3:パンフレットの構成内容について
4:まとめ
【1:なぜパンフレットなのか?】
パンフレットが使われる場面を想像してみてください。大きくは2つあります。1つは資料請求されたときに郵送するとき。もう1つは対面で会社説明をするときです。共通点は前のステップで「ホームページが見られている」可能性が高いということです。
ネット時代はホームページを見て資料請求か来場予約する人がほとんどです。ここから導き出されることは、ホームページとパンフレットは内容的にもデザイン的にも一貫性がある必要があるということです。
ではなぜ今回パンフレットの方を取り上げたのか。本当はホームページでもよかったのですが、ホームページはSEO対策やサイト内の導線設計など、特殊な知識が必要で専門家でも意見が分かれるところがあるくらい難易度が高いのです。
一方でパンフレットはシンプルに1ページ目から順番に見られる前提で考えられるのと、これまでも使ってきているのでイメージがしやすいので、題材としてよいという面もあります。
またホームページには力を入れているのに、パンフレットには手が回っていない工務店も意外に多いので、ここで改めてパンフレットを見直してもらいたいと思います。
【2:パンフレットを見直すメリットについて】
ここでは3点、パンフレットを見直す(新たにつくる)ことで得られるメリットについて考えていきます。
[メリット1]ブランドコアが明確になるから
パンフレットはブランドコア(会社の理念やビジョンといった核となる概念)を誰にでも分かりやすく伝わるように言語化する必要があります。そのため何度も時間をかけて自社の考えと向き合い、表現を考えることになります。その過程で他社がまねできない、そしてブランディング構築最大のポイントであるブランドコアが磨かれていきます。
ちなみに口頭の場合は、時と場合と相手によってブランドコアの説明自体にアレンジを加えることが可能です。しかも記録として残りません。つまり不明確でもどうにかなるので、そこまで深く考える必要がないのです。
[メリット2]デザインルールが決まるから
パンフレットをつくるにはフォント(打ち出す文字のこと)一つとっても、どのフォントにするか?フォントサイズは?色も黒一色でよいのか?まで考える必要があります。さらにどんな写真にするのかを検討するとき、ブランドイメージによってはイラストの方が良い場合もあるくらい、選択肢が無限に出てきます。それらを一つ一つ決めていくことを求められます。
ここでの決断は(一貫性のことを考えると)チラシなど他の紙媒体で文字や写真やイラストにまで影響を与えます。つまりパンフレットで使っているデザインルールがそのまま他の媒体のデザインルールになるわけです。ちなみにデザインのルールはロゴマークから派生させて考えるという点は忘れないようにしてください。
[メリット3]情報発信の内容に迷わなくなるから
これはメリット1とメリット2の副次効果です。メッセージとデザインが決まれば発信する内容の方向性も決まります。パンフレットという会社を説明する媒体の内容が決まると、SNSの発信やホームページの記事の内容もおのずと決まってきます。結果として「書くことがない」「どんな写真をアップしたらよいのか分からない」といった問題もある程度解決していきます。
【3: パンフレットの構成内容について】
ここでは具体的なパンフレットのページ構成をご紹介します。もちろん会社の考えやブランディングによって内容や順番はアレンジが必要になってきます。今回は比較的規模の小さい中小工務店の会社パンフレットの基本だと思ってください。
[P1]表紙
どんなイメージを持ってもらいたいかにより、デザインが大きく変わります。タイトルも「会社案内」なのか「Concept book」なのかで第一印象は大きく変わります。ほかにも写真にするかイラストにするか、文字の大きさによってもブランドイメージは違ってくるので、デザイナーとよく話し合いましょう。
[P2]社長あいさつ
最初にパンフレットを手に取ってくれたことに対するお礼を述べます。そしてどんな想いで会社を立ち上げたのか、日々の仕事に取り組んでいるのかを書きます。
[P3]会社理念、ミッション、ビジョン
ブランドコアのメッセージを端的に分かりやすく表現します。
[P4]建物(リフォーム)のコンセプト
提供している商品(新築住宅、リフォーム工事など)のコンセプトを説明します。コンセプトが難しければ「大切にしていること」くらいに捉えておけば大丈夫です。その時、ポイントは3つ程度に絞ることをお勧めします。数が多すぎると印象に残らず、結局何が言いたいのか分からなくなるからです。
[P5,4]を実現するための具体的な取り組み
スペースの関係もあり前頁で詳しい説明まではできないと思います。そこで「本当に実現してくれそう」と信頼してもらえるような詳しい説明を加えます。
[P6,7]代表的なプランとその(イメージ)写真
理想のお客様の要望をかたちにしたプランを載せます。移動展示場やモデルハウスを持っている会社は、そのプランでも構いません。お客様が欲しいと思えるプランであることが重要です。
[P8,9]商品ラインナップやリフォームメニューとその写真
スマホ世代のお客様には比較検討できる情報を提供することが重要です。商品のラインナップやメニューは会社の考えや特徴が分かりやすく表れる部分です。改めて内容を見直してみるといいかもしれません。
[P10,11]基本仕様、[P12]オプション、[P13]基本性能
写真をメインに分かりやすく表現していきます。住設で差別化は難しいですが、性能や基本グレードにこだわりのある会社は上手くアピールしていきたい部分です。
[P14,15]家づくりの流れ
ここも会社の考えや姿勢が表れやすい部分です。契約までのセールスステップによってお客様の印象も変わります。
[P16]保証や安心安全への取り組み
お客様にとっては当たり前の情報で差別化にはなりにくい部分ですが、掲載されていないと不安にさせてしまう可能性があるので、情報提供することをお勧めしています。
[P17]その他サービスの紹介
アフターメンテナンスやOBコミュニティなど、主にフォローに関する内容になります。
[P18]スタッフ紹介
スタッフの年齢層や性別、服装や人柄からもブランディングは構築されます。契約した理由が「○○さんが担当だったから」と言われることが多い工務店、リフォーム店はスタッフ紹介に力を入れましょう。
[P19]会社概要
会社紹介や来場予約の方法を分かりやすく明示します。
[P20]裏表紙
表紙と同様に、ブランドイメージを伝える写真やイラスト、メッセージを掲載します。
これで全20ページのパンフレットが出来上がりました。余裕があれば紙質にも目を向けてみてください。
【4:まとめ】
いかがでしたでしょうか。今回お伝えしたなかで一番のポイントは『パンフレットを見直すことは、ブランドコアを磨くこと』になるということです。本ルームの記事で繰り返しお伝えしていますが、デザインや戦略はマネできてもブランドコア(会社理念やミッション・ビジョンのこと)は真似できません。つまり最大の差別化ポイントでありブランディングの核となる部分が磨かれるわけです。
さらに他の媒体のデザインルールも決まり、ネットでの情報発信にも迷わなくなるなど、様々な好影響が出てきます。ぜひ一度いま使っている会社パンフレットをお客様目線で見直してみてください。