こんにちは
ネクストプラスの戸谷です。
この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしています。
今回は売上を上げるための施策として挙がる「セールス」「マーケティング」「ブランディング」について、そのポイントを整理することで、いま取り組むべき施策がどれなのか?を考えていきたいとおもいます。
【目次】
1:消費者心理の振り返る
2:セールスについて
3:マーケティングについて
4:ブランディングについて
5:まとめ
【1:消費者心理を振り返る】
各施策の内容を見ていく前に確認しなければいけないことがあります。それが消費者心理の移り変わりです。本連載を読んでいる方は既にみていると思いますが、はじめての人もいると思いますので簡単に振り返りたいと思います。
こちらが消費者(お客様)が商品を買うまでの心の動きを公式化したものです。
80年以上にわたり長年原理原則は変わりませんでしたが、2000年代に入り大きな変化がありました。この変化を生み出した大きな要因が「SNS」と「スマートフォン(スマホ)」の普及です。
誰もがありとあらゆる情報にアクセスできるようになりました。そして商品を購入するときは口コミを含めて比較検討したうえで、リアル店舗に行くようになりました。特に高額な商品であればあるほどその傾向が強くなります。
これを工務店の見学会(リフォーム店のイベント)に置き換えると、次のようになります。
この内容を前提として「セールス」「マーケティング」「ブランディング」それぞれの強みと弱みを見ていきたいと思います。
【2:セールスについて】
まず最初はなじみの深い「セールス」についてみていきましょう。「デジタル大辞泉」という辞書によるとセールスは「①販売すること。特に外交販売。②セールスマンの略」という意味になります。ここでは来場したお客様に対する一連の行動(接客・商談・クロージング)として扱います。
この場合、セールス力アップの施策をするメリットを3つ挙げると
1:すぐに成果につながる
2:やることがイメージしやすい(これまでもやっているので)
3:(良くも悪くも…)社長がコントロールがしやすい
ことが挙げられます。つまり「すぐに成果を実感出来て、イメージしやすい」ことが最大のメリットです。例えば先ほど紹介したこちらに図をもう一度見てください。
チラシの情報を見て「(とりあえず)行ってみよう!」というお客様にはセールス力が何より重要になります。まだ「なんとなく欲しい」という状態から「やっぱり家が欲しい!」と思ってもらい、さらに自社で契約してもらうにはセールス力が最も必要とされてきました。
しかしその一方で課題もあります。最大の課題は「属人的」であるということです。属人的とは、その人にしかやり方が分からない状態になることです。営業職が辞めてしまうとそのノウハウが途絶えてしまいます。さらに自分のやり方を他の人でもできるように「仕組み化」できる人は本当に稀です。
他にも時代の移り変わりによって、過去の手法が通じない場合もあります。最近で言えば一次取得者のメインとなりつつある「ゆとり世代」の考え方や価値観に対応できないベテラン営業職が失注する確率が高くなっている工務店が増えてきています。
20代や30代で転職してきた人たちは、営業が仕組み化されていないのでそもそもの知識不足ややり方を身につける前に辞めてしまうというケースもよく聞きます。
そして先ほどの図からも分かる通り、スマホを使いこなすお客様は来場する前にある程度の比較検討を済ませて、良いと思った会社にだけ問合せをしたり見学会に参加したりします。これが意味するところはいくらセールス力を高めてもそもそも来場する人が少ない状態では効果的な施策とは言えないということです。そこでこの数年注目されてきたのが「マーケティング」です。
【3:マーケティングについて】
マーケティングの範疇は非常に広いのですが、ここでは分かりやすく「告知」と「集客」のこととします。なぜマーケティングが注目を集めるようになったのかも先ほどのスマホ以後の図を見ればわかると思います。
※告知して知ってもらい → 興味を持ってもらい → 他社を含めて比較検討したうえで選んでもらい → (確度が高い状態で)来場してもらう
マーケティングは一連の流れをすべてカバーしますので、SNSとスマホが普及した時代にぴったりな戦略だということです。集客はもちろん優良見込み客を集めることができます。
インターネット領域で具体的な施策としてはSEO対策、Instagramやfacebook広告、PPC広告、ホームページの充実などが挙げられます。最近では位置情報を利用したジオターゲティング広告なども使われています。非常に強力で有益なマーケティングですが課題もあります。例えば・・・
1:広告費は高騰する傾向にある
2:有効な手法の流行り廃りが早い
3:専門スタッフを雇うか外注に依存することになる
つまり専門的な知識を持ったスタッフか外注を使う必要があり、どうしてもコストがかかります。広告費に投資できる会社はより集客できるようになります。
なかにはインターネットではなくリアルに集客する仕組みを構築している会社もあります。例えば…
・紹介の仕組みを整える
・ママコミュニティをつくりそこに友達のママを読んでもらい接点をつくる
といった方法を取っている工務店もあります。
【4:ブランディング】
本連載のテーマでもある「ブランディング」ですが、まだあまりなじみのない人も多いかと思います。そのような方は以前に書いたこちらの記事もご確認ください。
>「マーケティング」と「ブランディング」の違いが分かっている工務店が伸びている理由
ブランディングの最大のメリットはなんと言ってもコストを掛けずに優良見込み客の集客が可能になることです。さらに会社が良い評判を得られれば得られるほど…
1:良い人材が採用しやすくなる
2:辞める人が少なくなって定着率が上がる
3;割引をしなくても受注できる(価格の主導権を握れる)
といったメリットがあります。しかしブランディングに取り組む工務店は決して多くはありません。
なぜなら成果が出るまで時間がかかり、その効果を実感することが難しいからです。
しかし一回ブランディングを構築できれば、その効果は長期に続き、他社が真似することができない最高の差別化要因となります。マーケティング上手く行っている会社は、広告費を確保できている間にその人的・金銭的リソースの一部をブランディングに回すことをお勧めしています。
【5:まとめ】
いかがでしたでしょうか。「セールス」「マーケティング」「ブランディング」どれも非常に重要ではありますが、取り組むべき順番は会社の現状によって変わります。
今すぐに成果を出したいなら「セールス」に取り組むことがお勧めです。短期間で売上を上げたくて広告費をかける余裕があるなら「マーケティング」です。しかしそのような対処療法ではなくて、中長期に安定した売上を上げ続けたいのであればぜひ「ブランディング」にも取り組んでください。時間がかかるからこそ、少しでも早く始めることが差別化の最大のポイントになります。