ConTech総研の髙木です。
前回の「【図解】コロナ禍の工務店の資金計画」に続き、
「コロナの後、売上計画をどう見直すか?」というの経営者の方の声を踏まえ、「売上計画」のポイントを以下3つのポイントで説明します。
なお、分かりやすさを優先し、計算方法等はかなり簡略化していますので、自社の業態、経費構造、取引業界等を加味して詳細については個別で検討をお願いします。
1:リーマン・ショック後、建設投資は1~3割減
2008年のリーマン・ショックと今回のコロナ禍は、問題の発生した要因も建設業が置かれている状況も異なります。
単純な比較はできないのですが、直近で最も建設業の需要が悪化したのがリーマン・ショックなので、今回リーマン・ショック時の統計を参考に「何もしないと不況でこれくらい売上が減る」を考察しました。
リーマン・ショック時は新築25~30%減、リフォーム15%減
以下の図は国交省の建設工事施工統計調査(※)より、維持・修繕工事(リフォーム、設備修繕等)、新設工事(新築住宅・マンション等)、元請完成工事高において、リーマン・ショックの前年度である2007年度実績からの差異をグラフ化したものです。
リーマン・ショックのあった2009年度の落ち込みを見てみます。
・維持・修繕工事は、2007年度比14%減と、悪化の幅が全体に比して小さい
・それに対し新設工事は、同比30%減と、全体に比して大きく悪化している
さらに、2007年度の水準まで戻ったタイミングを見てみると、維持・修繕の方が6年も先に回復していることが分かります。
※建設工事施工統計調査:国土交通省が建設業許可業者(約47万社)の中から約11万社を抽出して毎年行っている統計調査。今回は住宅分野の影響を考えるため「土木工事業」「舗装工事業」等の土木工事業の影響を除いて集計しています。
2:不況で売上が減る中、返済の負担は増す
今回のコロナ支援策の中心は金融機関からの借入です。
当然ながら、不況で売上が減る中、「お金を返すための売上の確保」もしくは「コスト削減」が必要になってきます。
多くの会社で、「コロナ前」と「コロナ後」で売上計画を見直すと、「コロナ後」の会社が借入返済分、多くの売上確保が必要になっていると考えられます。(計算式は後述)
コロナ支援策の一つである日本政策金融公庫の借入の据置期間(返済が始まるまでの期間)が2年間なので、借入分を考慮した売上を2年間で目指していくことになります。(お金を貸す側も2年間の猶予を見てくれている)
3:コロナ後の売上計画の考え方
コロナ後の売上計画について平均的な規模の工務店の決算(参考:TKC経営指標 木造建築工事業2020年版)をサンプルとして図にしました。
以下のサンプルで考えてみると…
上記の会社の売上が全て新築住宅の場合、以下の計算になります。
上記の計算は、分かりやすくするためにかなり単純化して前提を置いており、本来は粗利率の悪化、設備投資、借入利息等も考慮しなくてはならないのですが、目安として考えていただければ幸いです。
当然、借入額が増えるほど、「返済のための売上」は増加していきます。
手元資金の確保は企業存続に不可欠なので、バランスが悩ましいところですが、参考にしていただければ幸いです。
なお、対策他詳細は以下の弊社リンクもぜひ参考にしてみてください。
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