こんにちは。
ネクストプラスの戸谷です。
この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしています。
早速ですが「中小工務店が消費者から選ばれるブランディングを確立するために欠かせないものは何ですか?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?かっこいいロゴマーク?見栄えのするホームページ?高性能でデザイン性が高い建物?それとも素敵なオフィスや人材育成?
どれもあればよりよいのは確かです。しかし私が最も欠かせないと思っているのは「商品化」です。ここで言う「商品化」とは建物にコンセプトと名前を付けることです。
工業デザイナー出身の私は、独立前の10数年以上前から建物の商品化に取り組んできました。独立後も各工務店のブランディング支援を通じて、建物の「商品化」を進めてきました。建物を商品化する重要性は、平成の終わりから令和に変わるタイミングでさらに加速しています。
そこで今回はなぜ商品化がブランディング(お客様に選ばれるため)に欠かせないのか?その理由についてお伝えしていきます。
【目次】
1:なぜ「商品化」が欠かせないのか?
2:「商品化」が求められるようになった理由
3:ブランディングにつながる「商品化」のポイント
1:なぜ商品化することが必要なのか?
まずは建物の「商品化」とは何かを明確にしたいと思います。ここで言う商品化の定義は「消費者がコレをくださいと言える選択肢を用意すること」です。もう少し具体的に言えば「商品名」「コンセプト」「価格」が明確になっていることです。
ではなぜこの「商品化」が工務店のブランディングに欠かせないのでしょうか?その答えはシンプルで、商品化されていないと消費者が選べないからです。
今さらの話で、すでに実感していることだと思いますが、初めて住宅を購入する一次取得者は「うちの商品は注文住宅です。」「どんな建物でもご要望を伝えてくれたら形にします!」と言われても、自分の要望を正しく伝えることはほぼできません。
そんなときにコンセプトやデザインが統一され、自分の欲しいイメージが明確になっている商品があれば、迷うことなく選ぶことができます。さらにそもそもの問題があります。価格が分からないと、問い合わせや来場のハードルが劇的に上がってしまうということです。
つまり「商品化」されていないと問い合わせが少なくなるということです。
2:「商品化」が求められるようになった理由
言われてみれば当たり前のことなのですが、近年ますます「商品化」が求められるようになってきています。ここではその理由を明らかにしていきます。
「商品化」が求められるようになった要因はいくつかあるのですが、そのなかでも大きな影響を与えているのが「インターネット」と「SNS」です。
インターネットの登場前は、とりあえず近くのお店に行くという消費行動をとっていました。それがあらゆる商品が簡単に検索できるようになった結果、事前にある程度の比較検討を済ませたうえでお店に行くようになりました。つまり「商品化」されていないと比較検討の土台にすら乗らなくなりました。
この流れはSNSとくにInstagramの登場と普及により新たな局面を迎えます。それが写真イメージによる世界観による選別です。ハッシュタグで検索して自分が気に入った写真イメージを選ぶようになりました。このとき自分の好みと違う写真が混じっているとそれだけで「あれ、ちょっと違うかも……」と思うようになります。
もしあなたの会社が一つのデザインだけに特化しているのであれば問題ないのですが、きっとお客様の要望に応えてさまざまなデザインに対応しているのではないでしょうか。ではどうすればよいのでしょうか。
その答えは商品ごとにデザインイメージを分けるです。
さらに消費者が商品を選ぶ基準で、時代とともに重視されてきているのがコンセプトです。そしてこのコンセプトがブランディングに直結するのです。
3:ブランディングにつながる「商品化」のポイント
日本にいればあらゆる商品が手に入ります。さらに各商品は非常に高品質です(この状態を超成熟市場と呼ぶ人もいます)。つまり品質は良いのが当たり前で、それだけで差別化することは難しいということです。ではどこで差別化するのか。一つは価格です。とはいえ価格競争に巻き込まれると経営は苦しくなる一方です。
そこで注目されるのが「コンセプト」です。ここでいう「コンセプト」を簡単に説明するとマーケティング的な意味で「一貫した考え方」くらいに捉えておいてください。超成熟市場において消費者はこの「コンセプト」で自分に合った商品を選び、お金を払います。
たとえば私が企画して大きな反響と成果を上げた「コンセプト」の一つが「ママのための家づくり」です。それまでもキッチンや収納はママが使いやすいようにしようという考えはありました。しかし家づくりのすべてをママに特化した商品はありませんでした。
当初は「お金を出すのは男だからあり得ない」「それでは男性が見向きもしないから反響も契約も半分になる」と言った声もありました。しかし結果をみれば一目瞭然。年間数十棟だった会社が100棟を超えるエリア有数のビルダーに成長した事例を皮切りに、全国で30社を超える工務店が類似コンセプトで「商品化」を実現して、売上を上げ続けています。
ここまでお読みいただいたあなたなら商品化のポイントはもうお分かりかと思います。それは「誰に何を売るのか?」です。ここが明確であればあるほど分かりやすい商品ができます。ここでの分かりやすさは、メッセージとデザインです。特にSNSはパッと見たときの分かりやすさと統一感は非常に重要です。ここがぼやけると「あれ、ちょっと違うかも……」が生じて選ばれなくなります。
もしまだ建物を「商品化」していないのであれば、ぜひ思い切った「コンセプト」で「商品化」することを一度考えてみてくださいね。
■追伸■
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