マーケティングは「過去」、ブランディングは「未来」

2020/08/2018:11437人が見ました

こんにちは。
ネクストプラスの戸谷です。

この連載では「中小工務店が自社ブランディングを確立して、行列のできる工務店になる方法」についてお伝えしています。

以前の記事で「マーケティングとブランディングの違い」についてはご説明しています。かんたんに復習すると、以下の通りです。

・マーケティング:商品やサービスを知ってもらい、購入してもらうまでの一連の施策
・ブランディング:お客様にある特定のイメージを持ってもらい、会社のファンになってもらう

 

詳しく確認したい方はコチラから記事をご確認ください。
https://chikalab.net/articles/244

今回は「違い」から一歩踏み込んで「戦略立案するときの考え方とポイント」をお伝えします。すぐに数字につながるのはマーケティングですが、マーケティングだけ実行し続けるとどうなるのか?そしてその対策としてのブランディングについてお伝えしてきます。
 

【目次】

1:「マーケティングは過去」とは?

2:「ブランディングは未来」とは?

3:まとめ

 

1:「マーケティングは過去」とは?

 「マーケティングの施策は過去に依存しています」と言われてもピンとこないと思います。そこで今回はコロナ後にさらに重要度を増したオンラインのデジタルマーケティングを例にして説明します。

インターネットのサイトや、SNSFacebookInstagramなど)を見ていると、しょっちゅう広告が表示されます。興味ある広告が表示されて思わず購入した経験があなたもありませんか?



この広告ですがランダムに表示されるわけではありません。実はそれまでに訪問したページ(閲覧履歴)や登録情報をもとにして、あなたが興味ある、そして購入する可能性が高い商品やサービスの広告が表示されています。

このような広告を「ターゲティング広告」と言います。

---以下の解説は飛ばしても大丈夫です----------
ターゲティング広告はいくつかのカテゴリーに分けられます。たとえばFacebbok広告。登録情報をもとに興味関心のある親和性の高い広告を配信します(オーディエンスターゲティング)。また検索キーワードに関連した広告を配信するリスティング広告や、位置情報から場所に合わせて広告を配信するエリアターゲティング(ジオターゲティングとも言います)もあります。

ほかにも会員登録やECサイトでの購入など、インターネット上の行動をもとに、親和性の高い広告を配信する行動ターゲティング(リターゲティング含む)や、特定のサイトや記事に限定して広告を配信するサイトターゲティング・コンテンツターゲティングも、ターゲティング広告に含まれます。
---解説はココまで----------

ここまで見てきて分かることがあります。インターネットのマーケティングは、過去のデータ(登録、行動、購入、移動など)をもとにしているということです。これが意味するところは、人が勘や経験で考えるよりもAI(人工知能)を活用したほうが、精度が高く成果が出やすいことです。

バナーのデザインや広告コピーも同様です。巨大グローバル金融機関のJPモルガン・チェース銀行は昨年、広告制作にAIコピーライターの使用を発表しています。日本でも2017年に大手広告代理店の電通が人工知能による広告コピー生成システム「AICO」を開発したとして話題になりました。


この世界線の行きつく先の未来はどのような世界なのか?


未来は誰にもわかりませんが、予測はできます。より多くのデータを入手して、テストと改善の回数が多ければ多いほどより成果が出やすくなります。つまりよりお金を投資できる会社が、より成果を手にする世界です。

さらに2019年日本国内の「インターネット広告費」は初めて「テレビメディア広告費」を抜きました。コロナによりオンライン化がさらに加速したいま、インターネット広告はさらに影響力を増すはずです。

そしてライバルが増えれば増えるほど、広告費は高騰します。そして残念ながら「ビギナーズラック」や「個人の経験や勘で一発逆転!」は限りなく起きにくくなります。


データによる最適化が進んだ未来には、もう一つの残酷な側面があります。


それがコモディディ化(一般化)です。

簡単に言うと、どこの会社も似たような広告を出し、同じような家をつくり、どの会社にお願いしても大差がなくなる状態になることです。

家電量販店の白物家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)コーナーをイメージしてください。どれも同じような商品が並び、何を選べばよいのか分からなくないですか?もちろん各社とも性能や価格で差別化しているつもりでも、消費者からすればそこに対して意味はありません。

そこで多くの人は予算内で自分が知っている有名メーカーの商品を選びます。つまり広告費をかけて露出して、知名度を上げている会社が強くなるという意味では、結局はお金をかけられる会社が強いとも言えます。

 

2:「ブランディングは未来」とは」?

 ではブランディングはどうでしょうか?ブランディングは会社の「未来」の理想の姿を明確にして、そのイメージを言語化したものをメッセージにして消費者に届ける一連の活動です。

会社の未来を考えるとき、それまでの会社の歴史や経営者の思想と向き合うことになります。そこには他社や他人にはないオリジナルのストーリーが存在します。これが差別化につながり、消費者の共感を生みます。

これはAIにはできないことであり、コストもかからず、競合も関係ありません。


事例を挙げたいと思います。あなたは「バルミューダ」という家電メーカーをご存じでしょうか?数千円の価格帯であるトースターというカテゴリーで、25000円もするかっこいいトースターを売りまくっている会社といえば分かる人もいると思います。


(出典:https://www.balmuda.com/jp/toaster/#&gid=1&pid=4


実はこのバルミューダ社は「マーケティングをしない」という方針があります。ミュージシャン出身の寺尾社長のもと「ものより体験」を掲げ、「市場にないもの」「自分たちが世に出したいもの」「ストーリーが語れるもの」を開発し続けています。

 

今ではApple社と同じように、価格が高いにもかかわらず熱狂的なファンを多数生み出し続けています。

もちろん「住宅は家電とは違うよ!」というお気持ちも分かります。しかし寺尾社長のメッセージにもありますが「自由な心で夢見た未来」に人は集まります。未来を創造するためには時間もお金も関係ありません。どれだけ自分が熱狂出来て、お客様にも支持される・共感される未来を描くかだけ。

つまりあなたが描く「未来」こそがブランディングの核であり、コストがかからない差別化であり、お客様とファンを生み出す原動力なのです。 

 

3:まとめ

 注意してほしいことがあります。決してマーケティングが不要と言いたいわけではありません。ブランディングを確立するためには時間がかかります。それまでの間に売上をつくるためにはマーケティングは必須です。

とはいえマーケティングだけに注力するのは、中長期的には危険だということです。いきなりブランディングに取り組むのはハードルが高いと感じているあなた。まずは理想の未来を妄想してください。場所も時間もお金も必要ありません。自由にあなたが熱狂できる未来を思い描くことがブランディングの第一歩になるのですから。

 

■追伸■

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