不便を感じていても、見慣れた環境を変えたくない。それが高齢者の本音だ。違和感のない改修が大事になる。手摺りの設置にしても、既存の雰囲気を残すことを意識する。
外構や庭も愛着が強い部分だ。雑草の庭のようでもその雰囲気が気に入っていることもある。写真のように、竹の手摺りとして雰囲気に馴染ませるなどの工夫をしたい。
家族の希望で多いのは、将来の現状復帰が容易なこと。この場合、取り外し可能な福祉用具の手摺りやスロープを用いるとよい。同様に屋外にスロープを設ける場合もコンクリートではなく、木製にすることもある。写真のように固定しないと撤去は容易だ。
バリアフリー改修で住みづらくなった。そんな風に家族が考えない配慮も重要だ。そのために、バリアフリー改修時に家族の不満点を同時に解消する提案を行なう。たとえば浴室改修に際して、家族が寒さや清掃性への不満をもっていれば、ユニットバスに変えることを提案する。同様にトイレ改修の際にウォシュレットを入れたり、外構を整えることも受けられやすい。
高齢者と家族の意見が食い違うこともある。たとえば出入りについて。家族としては危険なので高齢者に勝手に外出してほしくない。本人は自由に出入りしたい。この場合、高齢者の状態にもよるが、家族の意見が優先されやすい。
庭の草木が生い茂った雰囲気を生かして竹製の手摺りを設けた(写真提供:高住研)