掃除や手入れなどの手間は、生活しないと分からないが、事前にリスクとして伝えておかないとクレームになる。たとえば浴室と洗い場との段差をすのこで解消する場合、すのこの掃除が問題となる。裏側は不潔になりやすく、まめに掃除する必要がある。もとの床も洗わなければいけないので、掃除の手間が増える。すのこを採用する際には、掃除の手間がかかることを伝えておく。その上ですのこを分割して外しやすくするなど、手入れの手間を軽減する。
操作性のよさやポーチを広く使える点から、玄関扉を引き戸に変える改修もある。引き戸はレールに砂が入ると開閉がしづらくなるため、ある頻度でレールの掃除が必要になる。こうした点もあらかじめ伝えておく。
同様に寸法対応などから木製建具を用いる場合、反りの可能性に言及しておく。特に寒冷地など寒暖の差が生じる地域では反りやすい。反った場合はすぐに直しにくることを伝えておく。
メンテナンス費用の説明が必要な場面もある。たとえばレンタルで段差解消機を利用する場合だ。定期的に保守点検がくるが、その料金は介護保険の対象外であり、実費で支払うことになる。機器で言うと、トイレの蓋にも注意する。身体状況によっては寄りかかってしまうことがあるが、そうした使い方で破損しても保証の対象外となる。
ヘルパーがすのこを洗うことを前提に3分割にして納めた(写真提供:あいる)