マネジメント改革無くして市場の創造なし。〜現場マーケティング、マネジメント一体論〜

2020/09/2211:48424人が見ました

インナーブランディングは環境整備から

私は神戸で大工9名、女性設計士8名の工務店を経営する傍ら、一般社団法人職人起業塾なる研修事業を全国で展開しています。ただ、コロナ下の現在は大人数を集めてのセミナーや集合研修の開催は控えて、関西を中心に職人育成に取り組む事業所向けにブランディングの基礎であるインナーブランディングのお手伝いに注力して少人数でのWSを毎月行なっています。モノづくり企業のブランディングは高い施工品質に根ざした顧客の感動体験の創造と、その拡散が根本にあるべきで、アウターブランディング(認知拡大の為のプロモーション等)を行う前に、インナーブランディングで社内統制を固めるべきだと考えて、まず初めに取り組むべきは、従業員がモチベーションを高め、理念を共有し、同じ目的に向かって進んで行く状態を整える人事制度の整備からだと役割と責任と報酬の関係をつまびらかにする等級制度、評価制度とその運用の導入のサポートをしています。

成功の鍵はリーダーの存在

最近はその人事制度の運用をスタートされた企業からマネジメント層と呼ばれるリーダー、もしくはリーダー候補に対して、やるべきこと、進むべき道を明確にしてもらうマネジメントのWSをスタートさせました。このステップでは人事制度改革をスタートしてもらった企業に評価制度の運用のステップとして、マーケティングとマネジメントの両面から事業の全体像をを把握してもらうこと、役割と責任を細分化して役割分担することで事業計画の刷新を図り、経営者とリーダー層が一体となって取り組む体制を整えてもらい事業計画の実施スピードを早めてもらうまでを目的にしています。インナーブランディングは文字通り内側から求心力を高める取り組みであり、経営者一人の力ではなかなか前に進みません、共に理念の実現を目指すリーダーの存在が不可欠だと考えています。

リーダーシップとは他者の課題を引き受ける器量

WSの冒頭に目的と概観を説明するのですが、その中で「人の器の大きさ」についてを研修を受講する上でのマインドセットの1つとしてお話ししています。地域工務店、職人会社では事業を行っていく上で、時にキリがないとさえ思える、ビジネスモデル構築の為のタスク、数々の課題はその殆どが経営者の課題になってしまっています。リーダーシップを発揮するとは、一見、他者の課題として割り切ってしまいそうなことを、自分自身の課題として取り込む器の大きさをさしており、経営者の抱える課題だけではなく、同僚や後輩の課題を解決すべくモチベーションを燃やすようなリーダーになってもらいたいとお願いしています。事業の根幹と言われる人事制度、その改革の目的は役割と責任と報酬を明確に示し、従業員に自分の努力、取り組み次第で役割を広げて、未来を切り開くことが出来る事に気付いてもらう事にあります。そして、役割を引き受けると自ら手を上げるリーダーを生み出し、経営者と力を合わせてビジネスモデル構築のためのタスクを片付けてもらいたいと思っています。

マネジメント改革研修

マーケティングマネジメント一体論

事業を存続させる売り上げ、利益を生み出す自社独自の市場を作るマーケティング、そしてそれを支える組織を運営するマネジメントは常に表裏一体で、密接な関係を持っています。私たち一般社団法人職人起業塾のコミュニティーではマーケティングとは「市場の創造」と定義しており、新規顧客創造と既存顧客との信頼関係構築によるLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を引き受ける仕組みづくりを指しています。そして、VUCA化と言われる外部環境の激しい変化にさらされる今の時代には、競争が激しい新規顧客の獲得よりも、一度購入してもらった事のある既存顧客からのリピート、紹介からの受注を重視すべきであり、少子高齢化、人口減を迎える日本では新築着工棟数は必ず減少しますし競争はより厳しくなるのは自明の理、先行き不透明な今こそ中長期の視点を持ってLTVを引き受ける事で安定的な経営の基盤を築くべきなのはごく当たり前の選択だと思います。

マーケティング実行の主体は顧客接点

新規顧客の創造は本来、同業他社が行えていない問題解決を提案する事で成り立つもので、社会を良くするイノベーションがその根底にあるべきです。これはおいそれと誰にでも出来る訳ではありません。中小零細企業にあっては直接の顧客との接点はさておき、価値提供の根幹の部分については経営者がその役割を担うことが多く、殆どその責を負っていると思います。翻って、既存顧客との信頼関係の構築は全ての顧客接点がファクターとなります。これは逆に経営者にはカバーしきれず、従業員に任せるしかないのが実情で従業員の判断、選択がそのままその会社に対する信頼に大きく影響を与えます。このように考えると、マーケティングは従業員が担い手の中心であり、実践者となります。従業員の考え方やスキル、人間性がそのままマーケティングを支える資源であり、その成長こそが企業の成長、安定に直結することになります。やっぱりマーケティングとマネジメントは表裏一体なのです。

マネジメントが機能しない理由。

マネジメントの実務を細分化すると、人事制度(賃金制度、等級制度、評価制度)の構築から始まり、人材採用、人材育成とそれを支える教育制度、そして同じ目的を共有し、目標達成を繰り返すことができる組織作りとその運用となります。特に、チームで戦うにはゆるぎない目的意識を全員が持つ事が不可欠で、事業の目的=経営理念を全てのメンバーがあらゆる業務で体現する事、その実務のチェック(Ex,顧客アンケートなど)と検証、改善がマネジメントの最も重要な部分になると考えています。このように細分化して並べてみると、一言にマネジメントと言ってもそのタスクは多岐に渡り、大企業のようにそれぞれに専門の担当が配置されていればまだしも、そうでない中小零細企業では経営者一人がマネジメント担当として奮闘されていることが殆どですが、一人では到底手に負える代物ではないのは誰の目から見ても明らかだと思います。これが、私達が経営者と同じ志を持ってマネジメント層に入ります、と言ってくれるリーダーを育てるマネジメント改革WSを行なっている理由です。

マネジメント改革マインドマップ

進むべき道が拓けた。

実際のWSではマインドマップを使って、「事業の目的(理念構築とその共有)」「目的を実現する方法(マネジメント、マーケティング、ブランディング)」を経営者とリーダーが一緒になって実務レベルに落とし込むところまで細分化し、その役割分担を見直すシンプルなフローとなっています。今月開催したマネジメント改革の1回目のWSを終えて、職人起業塾(現場実務者向けマーケティング研修)の卒塾生で中堅の大工であるOさんに感想を聞いてみたところ、「社長のやっている事の全体像が見れて、それがなぜ必要かを話してもらう機会が出来て良かったです。」と言っておられました。そして、「大工として現場で働くだけでは先が見えていたし、後輩を引っ張る立場になって来たのに、自分がどん詰まりでは下の者に希望を与える事が出来ないので悩んでました」とも言われていました。また「今回のWSに参加して、社長がなぜいつも一生懸命に学びに出かけるのかも分かったし、自分も役割を買って出て、新しい道を進もうと思う」とのことで、私が伝えたかった事が、現場実務者にダイレクトに伝わり、彼の意識が一歩進んだのを実感する事が出来ました。私たちが行なっているマネジメント改革のロジック自体は難しいものではありませんので、社内で取り組んで見られることをお勧めします。取り組まれる上で疑問点や不明点などがありましたら、ご質問にもお答えします。来年からの建築業界淘汰の時代に備え、今こそ事業の根幹をしっかりと固める時期、内側(マネジメント)から地道にブランディングの種を育てて見られては如何でしょうか。


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