自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順①

2020/09/2307:19441人が見ました

こんにちは。

ひと・住まい研究所の辻です。

前回までの記事では「つくるプロセス=生産工程」の意義や必要性、事業的なメリットなど、確立へ向かうための前段的な話でしたが、連載5回目となる今回からは「では具体的にどう確立すればよいのか」について、その手順をお伝えしていきます。

 

意識すべき重要な3つの視点

自社独自の「つくるプロセス」を確立するためには、次の3つの視点を持ちながら検討していくことになります。

① 自社が目指す「いい家」を、ちゃんとカタチづくれるか

② 顧客に満足してもらえるか、喜んでもらえるか

③ 自社の「家づくりコンセプト」を体現できているか

①は、「つくるプロセス」のベースとなる一番本質的なもので、家づくりのプロとしての妥協なき視点が求められます。ここでのポイントは、そもそも「自社の目指すいい家とはなにか」を明確にしておく必要があるということです。

②については、いわゆるCS(顧客満足度)的な視点です。「つくるプロセス」という言葉のイメージから、つくり手の視点に寄り過ぎてしまう傾向にありますが、そこにCS的な視点を加えて「工程を演出する」という意識を持つということです。「いかに顧客(施主)に参加してもらえるか」を検討すると言えばイメージしやすいかもしれません。

最後の③についてですが、要するに自社らしさを「つくるプロセス」の中にいかに組込めるかということです。ここでも「自社の家づくりコンセプト(考え方や方向性)とはなにか」を明確化しておく必要があります。

この3つの視点はこれから具体的に「つくるプロセス」の中身を考えていく上で、とても重要なので強く意識して欲しいところです。

 

確立するための全体の流れ

では次に「つくるプロセス」を確立する全体の流れを示します。

STEP1:これからの10年を考えた自社の「家づくりコンセプト」を検討、構築する

STEP2:自社の目指す(約束する)「いい家」を定義付ける

STEP3:現状の「つくるプロセス」を洗い出す

STEP4:「3つの視点」から現状の「つくるプロセス」を見直し、新たに構築する

STEP5:文書化し、社内ルール化する

STEP6:実施した結果を検証し改善していく

会社の規模や体制にもよりますが、各業務担当者が集まって「社内プロジェクト形式」で進めることをお勧めします。小規模な会社であれば社員全員が参加してもよいと思います。

なぜなら今後の各自の業務全般に深く関わってくる内容になるため、社内的なコンセンサスを都度得ておく必要があるからです。また「つくるプロセス」の中身を検討していく作業を通じて社内の連帯感が高まり、「みんなのもの」であるという意識が芽生えやすいというメリットも考えられます。

 

STEP1:これからの10年を考えた自社の家づくりコンセプトを検討、構築する

ではここからは上記の流れに沿って、順番に解説していきたいと思います。

既に自社の「家づくりコンセプト」がある工務店は、この機会に改めて見直してみるとよいと思います。「家づくりコンセプト」をまとめたことがない工務店は、この機会にぜひ検討してみてください。

ここで言う「コンセプト」とは、家づくりに対する「自社の想いや考え方、方向性」のことです。住宅事業がメインの工務店にとっては企業理念そのものという場合もありますが、あくまでも「家づくり」に特化したものと捉えてください。

具体的には「自社の想いや考え方、方向性」を言葉としてまとめていくという作業になります。最終的には簡潔な言葉、いわゆる「キャッチーな言葉」で表現することを目指したいところですが、まずは皆で協議しながら“キーワード”を洗い出していき、書き留めるところからスタートしてみるとよいと思います。

その時のポイントが2つあります。

1つ目は「これからの10年」という時間軸を意識するということ。つまり、できるだけ「本質的かつ不変的な観点」で検討するということです。

2つ目は「顧客(住まい手)や社会にとって、どのような存在でありたいか」という「外側からの視点」を加えるということです。そうしたことで「自社の想いや考え方」が、より深みを増すと思います。

そしてこのように構築された「家づくりコンセプト」は、工務店事業を運営していく様々な場面において、自社の立ち戻れる「原点」として、とても重要な存在となります。

なおこの作業を外部の人の力を借りて行うことも有効です。より客観的な視点が加わり、自社の新たな発見を生むことも期待できます。実際、私にもそうした工務店からのオファーが多くあり、客観的に見てこの作業に関わる意味は大きいと思っています。

次回はSTEP2以降の内容を、お伝えしていきます。

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