四号特例を考えてみる

2020/09/3016:122423人が見ました

M's構造設計・構造塾の佐藤実です。チカラボ版「構造塾」の第9回です。今回は、木造住宅の四号特例について考えてみたいと思います。

大前提として、建築基準法第6条第1項にて、構造種別・用途・規模などの違いにより、建築物は一号から四号までに分かれています。

木造の場合、四号建築物は以下の通りです。

・階数が二階建てまで(二階建て、平屋建て)

・延床面積500㎡以下(500㎡含む)

・最高軒高9m以下

・最高高さ13m以下

つまり多くの木造住宅は四号建築物となります。

つぎに、四号建築物の構造安全性確認方法についてみてみましょう。

構造安全性確認方法は、建築基準法第20条(構造耐力)に規定されており、四号建築物の構造安全性確認については、建築基準法第20条でも四号に規定されています。具体的な内容としては、建築基準法施行令第3章2節と3節にあり、壁量計算や四分割法、N値計算ほか仕様ルールがあります。これが「仕様規定」です。(前回の「木造住宅の構造安全性確認方法について」も参照してください)

四号特例とは?

ここからが本題なのですが、木造住宅の四号特例についてです。

まず四号特例は、建築基準法第6条の4(建築物の建築に関する確認の特例)に規定されています。これが何かというと、四号建築物の構造安全性確認方法の一つである「仕様規定」で、建築士が計算や確認を行うことで、確認申請時に計算結果や関連図書を省略できることとなっています。これが、四号特例です。

四号特例は仕様規定の図書省略だけではなく、幅広く図書等の省略を規定していますが、ここでは仕様規定(構造安全性確認部分)の図書省略のみを四号特例として考えていきます。

 

四号特例の勘違い

 四号特例は、上記説明の通り図書省略であって計算省略ではありません。しかし、多くの建築士は確認申請時に壁量計算等の計算や、関連図書の提出がないため「計算省略」と勝手に勘違いしています。

 この勘違いにより、現在木造住宅の多くは、耐震性能不足または耐震性能不明確な状態で建築され続けています。このような現状から、約10年前には四号特例廃止の動きが出てきました。仮に四号特例廃止になったとしても、確認申請時に仕様規定の計算や関連図書を提出し、審査されることになるだけです。しかし四号特例廃止を反対する動きも多く見受けられ、結果、四号特例廃止は見送られました。現在もなお四号特例は生き続けています。

 

 今回は四号特例について考察しましたが、万が一、誤解があるとすればぜひこの機会にあらためて頂きたいと思います。皆さんも四号特例についてこの機会に考えてみてください。ではまた次回。

一覧へ戻る