自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順③

2020/12/1116:15759人が見ました

こんにちは。

少し間が空きましたが連載7回目となる今回は、前回に引き続き「つくるプロセス=生産工程」を確立するための残りの手順(STEP4~6)をお伝えしていきたいと思います。

前回の記事はこちらです。ご参照ください。自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順②

 

STEP4:3つの視点から現状の「つくるプロセス」を見直し、新たに構築する

前回まで(STEP1~3)は、このSTEP4に対する事前準備という位置付けであり、ここからが本番となります。STEP4では、前回でまとめた現状の「つくるプロセス=生産工程」を見直し、新たに構築していきます。その時に重要になるのが「3つの視点」です。連載の5回目(自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順①)でも紹介しましたが、下に再掲しておきます。

① 自社が目指す「いい家」を、ちゃんとカタチづくれるか

② 顧客に満足してもらえるか、喜んでもらえるか

③ 自社の「家づくりコンセプト」を体現できているか

この「3つの視点」をしっかりと意識しながら、現状の「つくるプロセス」において追加および改善すべきところを1つ1つ検討していき、新たなものに仕立て上げていきます。

では具体的な作業手順を見ていきましょう。

・「いい家」をカタチづくるために必要となる各工程の「作業項目」を検討し、設定する

        ↓

・上記の②・③の視点から「演出的な作業項目」を追加する

        ↓

・それぞれの「作業項目」の詳細(内容・手順・社内ルールや基準)を検討し、設定する

まず最初に「いい家」をカタチづくるために必要となる「作業項目」を、それぞれの工程ごとで検討して、全体の骨子を構築します。

次に②や③の視点を意識して「演出的な作業項目」を検討して、そこに追加していきます。ここが独自性を表すポイントとなり、「単なるつくり手の作業項目の羅列」だけではない内容へと深めていくことになります。

そしてそれぞれの作業項目ごとに「内容・手順・社内ルールや基準」の詳細を検討しながら詰めていくという流れです。まとめ方の具体については、今後の連載の中で取り上げていきたいと思っています。

なお独自性を表すポイントとなる「演出的な作業項目」とはどのようなものかについて、少し触れておきます。

例えば「地産地消の家づくり」をコンセプトに掲げている会社があるとしましょう。その場合、構造材の品質管理のために生産元となる製材所へ出向いて、使用する材料を自ら確認することを「つくるプロセス」の中に組込んでみます。加えて、せっかっくなのでそこに施主も同行してもらい、メインとなる柱や梁材などを選んでもらう場として活用することも併せて考えてみるといった感じでしょうか。

つまり「いい家をつくる」ための“品質確保”という視点と、自社の「家づくりコンセプト」である“地産地消”を、製材所へ直接出向くということで「実態化」して、さらに施主が参加できるイベントに仕立てて満足度も高めようというわけです。こうした複合的な意味を持たせることで、独自性の高い「つくるプロセス」となり、他社との差別化にもつながっていきます。

 

STEP5:文書化し、社内ルール化する

次に、STEP4で構築した「つくるプロセス」の中身を文書化して、ルール化します。「文書化する」ことは、目に見えるカタチとして残すということであり、社内のルール化を図る上で欠かせない作業となります。文書化の詳細については、今後いくつかの例を挙げてお伝えしたいと思います。

ちなみに「文書化する」ことのメリットを、ざっくりまとめてみると以下の感じでしょうか。

・物事が明確になり、共通理解が進む

・新任者への業務説明や引継ぎが効率的に行える

・不具合が生じた時、即見えるカタチで改善することができる

場合によっては業務管理システムなどのソフトウェアを導入することも考えられると思いますが、そうしたシステムを自社用に構築したりする上でも、この「文書化する」作業は、事前準備として必要不可欠なものだと思います。

そして、社内の定例会議などで物件ごとに「つくるプロセス」に沿って実施状況を報告し、その進捗や内容を都度管理することで社内ルール化を促進させていきます。

なお、社内用の資料として「文書化」できたら、それを「顧客用の説明資料」として編集し作成することを、ぜひお勧めします。接客時において自社の「つくるプロセス」を具体的な資料を見せながらじっくり説明することは、以前にも述べましたが他社との差別化となり、競合対策として大きな効果が見込めるからです。

 

STEP6:実施した結果を検証し、改善していく

新たに構築した「つくるプロセス」に従って業務を進めていき、完成引渡しの段階で、改善点などを協議する社内ミーティングを実施します。このミーティングは物件ごとに必ず実施するようにして、いわゆるPDCAサイクルの核の役割を担います。こうしてPDCAサイクルを回し続けることによって、自社の「つくるプロセス=生産工程」の確立が促進され、より充実したものに進化していきます。

また住まいのメンテナンスにあたる「見守り工程」に関しても、上記のような社内ミーティングを定期的に行いたいところです。このミーティングの場で共有できる「暮らしの結果(住み心地や不具合事象など)」は、「つくるプロセス」へ随時フィードバックしていくべき貴重な情報となるでしょう。

 

次回は「つくるプロセス」を深める2つの存在について、まとめてみたいと思います。

 

 

引き続き希望者に冊子を進呈します

昨年私が書き下ろした「地域工務店的生産工程の確立」という冊子があります。このチカラボの記事の基にもなっているものです。この冊子のタイトルやチカラボの連載記事に「ピンとくる」方は、必要事項をご記入いただき下記のメールアドレスまでお送りください。冊子を進呈します。

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