M's構造設計・構造塾の佐藤実です。チカラボ版「構造塾」の第14回です。今回も四号建築物の「仕様規定」の3回目です。前回・前々回に続き、基礎の仕様を解説したいと思います。
8項目の仕様ルールの確認
①基礎の仕様
②屋根ふき材等の緊結
③土台と基礎の緊結
④柱の小径等
⑤横架材の欠込み
⑥筋かいの仕様
⑦火打材等の設置
⑧部材の品質と耐久性の確認
異種基礎禁止の誤解
木造住宅の基礎に関する仕様規定は令第38条に規定されています。
令38条第2項には「異種基礎禁止」があります。これもよく誤解されている部分です。
ここで規定している異種基礎とは、布基礎とべた基礎という意味ではありません。
異種基礎とは、杭基礎と直接基礎の違いです。
図のように、杭や柱状改良などの「杭状地盤補強」の頭(杭頭)を基礎に飲み込ませるのが「杭基礎」、杭頭を基礎に飲み込ませず、杭状地盤補強上に基礎をつくるのが「直接基礎」です。
ちなみに、表層改良上に基礎をつくるのも直接基礎、地盤補強なしで基礎をつくるのも直接基礎です。
杭基礎と直接基礎の違いは?
では、杭基礎と直接基礎の違いは何か?これは荷重の負担の違いです。
どちらの基礎も建物の鉛直方向の荷重は負担します。しかし、地震力などの水平方向の荷重については違いがあります。
杭基礎は杭頭が基礎に飲み込まれているので、水平方向荷重は杭が負担します。しかし、直接基礎は杭頭が基礎に飲み込まれていないため、杭状地盤補強は水平方向荷重を負担しません。水平方向荷重は、基礎と地盤の摩擦力、根入れ部分の土圧で打ち消されます。
次回は、8項目の仕様ルールのうち②屋根ふき材等の緊結、③土台と基礎の緊結にざっくり触れます。