【第7回】完成図書による事前発注

2021/07/2810:32481人が見ました

 「完成図書による事前発注」はどれくらい出来ているでしょうか?

 

「そんなこと出来る訳がない」「やりたいけどムリ」「そこまで必要ない」など、現実的には多くの住宅会社で出来ていないテーマだと思われます。しかし、現実にはこれをしっかりおこなっている会社も当然あります。

では、メリットは何でしょうか?

 

 

①現場での打ち合わせ時間が減る

 図面が出来ていないと、大工・職人への説明などで現場に行かなければならない、ということが多くあります。しかし図面があることで「現場へ行く」のが減ります。従って、働き方改革や業務の効率化につながってきます。

 

②原価が確定し違算が無くなる

 仕様等が決まっている為、原価も確定します。原価が確定することで違算も無くすことができるようになります。

 

③品質が向上し、残手直し工事ゼロの引き渡しが実現できる

 仕様等が決まり図面も確定しているため、間違いがなくなります。従って品質向上にもつながってきます。最終的には、残手直し工事ゼロの引き渡しも実現できるようになります。

 

④工期短縮とコストダウン

 図面が確定していることで、工期も確定できます。現場での打ち合わせといった時間が無くなりますので結果的には生産性がアップし、工期短縮につながります。工期短縮が出来るということは、コストダウンにもつながってきます。

 

⑤大工の収入アップ

 工期短縮ができると、大工さんは次の現場へ行くことができ、結果的に収入アップにつながってきます。

 

⑥お客様対応の時間が増えてCSにつながる

 現場でのミス・ロス・ムダが排除されるため監督の余裕ができ、お客様対応をしっかりおこなうことが出来るようになります。これはCSにもつながってきます。

 

 

このような成果がもたらされます。実際におこなって上記のような成果を出している会社があります。でも本当に出来るようになるのか? これには、設計だけの問題ではないという事を理解してください。「完成図書による事前発注」を実現させるには、営業・設計・工事の各部門がそれぞれの仕事を理解し、チームになることが求められます。決めたことを守ることであり、「今回はやむをえない、仕方ない」といった判断をするのではなく、ここで妥協するのは他にも迷惑をかけるという考えを持つことが重要になります。

 

 「お客様の要望だから」「お客様が決めてくれないから」という話はどうしても出てきます。そうならないためには、まずは営業がお客様にこの趣旨をよく説明し、協力していただくようにします。そのためには営業は何を伝えるのか、例えば「不完全な図面で着工に入ることがミス・ロス・ムダの原因となり、それはお客様にとっての不利益になること」「完成図書により着工することで、工期を守り良い品質の住まいづくりができること」などお客様にとっての利益になることを伝えてください。家づくりとは、いろいろな業種・職人が集まってつくり上げるものです。一つの工程でズレてしまうと、その他もズレてしまい迷惑をかけることになります。そのためにも、お客様には予め伝えると共に、早め早めに決めていただくことを事前にお伝えしなければなりません。

 

 お客様の要望を全て聞くことがCSと考えている方もいると思います。しかし、本来はプロとしての提案をすることの方が大切です。また、その要望を聞くことで工程がズレ、職人の仕事が進まず、どこかでしわ寄せがきて品質が疎かになる可能性がある、といったことがCSと言えるのでしょうか? 家づくりはお客様と住宅会社が一緒になっておこなうものです。そこの部分を事前にしっかりと説明すれば、お客様もわかっていただけます。

 

「完成図書による事前発注」は、業務改善の中でも非常に大きな成果を期待できます。実際におこなうには仕組みをつくらなければなりません。しかし、「働き方改革」「工期短縮」「利益向上」「ESの向上」「CSの向上」などが求められる現代において、挑戦してみる価値は十分あります。

 

 多分信じられない方も多いと思います。住宅産業塾では、実際におこなっている会員さんに、これをどう取り組んできたのか、実際のお客様の声はどうなのか、といったことをオンライン視察会でたっぷり話していただいた時の動画があります。興味のある方は、住宅産業塾HPよりお問い合わせください。

 

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